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「あさって」を見分けて「あさって」に備えよう

ひさしぶりに里山のあたりまで10kmほど散歩してきました。今年の春は桜が咲く前から少しずつ外出自粛モードに入っていたため、春が訪れたのをほとんど感じることができなかったのですが、初夏になりかけの今の野山は花が咲き誇り、まだ新緑が若々しく瑞々しくてとてもきれいでした。

平穏無事な生活が続いていると、この状態がこれから先もずっと続くものだと思いがちなのはやむを得ないことだと思います。いっぽうで、現実はこの30年間だけとってみても、バブル崩壊、阪神淡路大震災、911テロ、リーマンショック、東日本大震災、昨今の台風大雨被害、そして今年の新型コロナと、そんな世の中順調ではないことがわかります。
自治体や企業レベルでは、少なくとも自然災害は起こるものとしての対策も進んできていますが、個人レベルになるとほとんど対策はされていない、特に自分に直接の影響がなかった出来事からは、ほとんど教訓として学んでいないように思えます。また自然災害以外に対しては日本は根本的に正しく恐れて準備するという知恵や文化が根づいていないように思います。

そんなわけで、以下ではこの約4ヶ月の私の行動を少し紹介します。

私が家の中で「籠城だ」「籠る準備をする」と宣言したのは2月中旬のことでした。我が家は、元々自然災害対策として、すべてのライフラインが止まったとしても1週間何とか生き延びられるよう準備しています。なので非常食料や水などは多少備蓄があるのですが、それも含めて1ヶ月全く外出しなくても生き延びられるように準備を始めました。
今回は自然災害と異なり、ライフラインが止まる心配は限りなく小さいですから、基本的には食料と生活必需品を揃えればOKです。食料は、冷蔵庫を満杯にすることで1週間、米や各種乾麺とレトルト、さらに袋麺・カップ麺で2週間といったところです。あと忘れてはいけないのがコーヒー紅茶やお菓子類の嗜好品。これ結構大事です。また、この際生き延びることが優先なのでカロリーバランスは二の次です。生活必需品は、たいがいのものは通常時から1ヶ月分くらいは困らないようにしていたので、在庫点検と気になるものの追加買い出しくらいだったでしょうか。

ところで、ここから遡ること3週間くらいの1月下旬、年明けから武漢の新型肺炎のニュースを気にしていた私は、とりあえず必要になりそうなものを買い求めました。このウィルスは確実に日本でも広がると判断したからです。
すでに中国人観光客の買い占めによってマスクは品薄になってきてはいましたが、その他のものは普通に売ってました。アルコール除菌液・スプレー・ジェル、アルコール除菌シート、ゴム手袋、といった類です。ちなみにマスクは、多少買い足したものの家には花粉症持ちがふたりいるため、元々在庫がありました。
唯一悩んだのは、どのくらいの期間分買うべきかというところです。こればかりは想像がつかなったのですが、とりあえず3ヶ月としました。昨今、マスクやアルコールジェルなどを店頭で見かけるようになってきたので、だいたい正解だったのかなと思ってはいます。今後これらのものは、通常に売られるようになったら、また常に3ヶ月分の備蓄をすることにしたいと思っています。

籠城作戦は、生き延びる準備が終わった後は、今度は本格的な在宅勤務環境の整備を始めました。共働きですので、二人分のデスクとオフィスチェアなど。ついでに宅内無線LAN機器も更新、OAモニタも追加しました。
ダイニングの椅子はパソコンに向かって長時間座るのに向いていないということを、社会人大学院に通っていた相方が証明していたので、オフィスチェアは特に重視しました。(ニトリで買いましたが、これまでのところとても満足してます)  ついでに、デスクやチェアを置く空間の床にタイル型のフロアマットを敷き詰め、見た目もオフィスっぽく仕上げてました。

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それでもしばらく通勤はしていたのですが、3月末に急に在宅勤務指示となり、4月に緊急事態宣言が出されたときには、もうすべての準備は終わっていたというところです。
唯一想定外だったのは、在宅勤務になってオンライン会議が想像以上に多かったこと。多いときは昼休みも削って一日会議状態というのは困りました。なぜ困るって、二人同時にオンライン会議になると、どちらかが別のところに移動しないといけないのです。このため、結果的には寝室に簡易サテライトデスクを設置することになりました。
在宅勤務をはじめ、リモートワーク前提の米国などでは権限委譲が明確です。日本はそれができていないので、情報共有や報告で了解を得た形を作るための会議が多いのです。少なくとも自分の部下に対しては自分にも責任があるので、反省含めて課題だと思っています。

日本の緊急事態宣言は、想像していたものよりかなり緩いものだったので、これまでのところ完全籠城対策の実証はできていませんが、それでもかなりの安心感はあります。少なくとも家族がみなStay Homeとなっても、慌てることなく、また特段のストレスはなく暮らしていられるのは良かったと思っています。

投資をしているかたにとって、先を読むというのは大事なことなので当然心がけていらっしゃるとは思いますが、私たちはもっと日々の生活のために先を読むということをしてもいいと思います。天気予報もそうですが、明日のことはみんなだいたいわかるので、読むべきは「あさって」です。いっぽう「あさって」より先のこと、つまり起こる確率が低いことはあまり考えてもしかたありません。隕石が落ちてくるかもしれないとか、北朝鮮からミサイルが飛んでくるかもしれないというのは、個人レベルでは無駄な心配です。
「あさって」のことを先読みして今日もしくは明日に行動することが、結局のところ穏やかな生活につながるのだと思います。念のためですが「あさって」は「明後日」ではありません。起こる可能性が高い出来事、やってくる可能性が高い日、と言い換えていいかと思います。なので、大地震や津波は、いつ起こるかわからないけれど確実に起こる「あさって」です。感染症も昨年までは「しあさって」だったかもしれませんが、今年になって「しあさって」のこととなり、2月に入る頃には「明日」のことになっていました。

先読みをして一番備えるべきなのは、重大なリスクに対してですが、これはビジネスや個人の様々な場面で役に立つと思います。起こる可能性が高いことで、事前に対処できるものはしっかりと対処することでリスク回避できますし、チャンスを掴むこともできます。学生であれば試験対策もそうかもしれませんし、会社では上司に言われそうなこととか、お客様の課題で気がついたこととかもそれにあたるでしょう。いずれも、明日までにと言われて対処するのでは、ドタバタになり十分な対策が取れないまま当日を迎えることになりかねません。

先読みが大事なのはわかったけど、ではどうやったら先読みできるのか、というのが次の課題でしょうか。これは、一サラリーマンに過ぎない私には確かなことは言えませんし、いわゆる方法論はビジネス書などでたくさんあると思います。ただ言えることは、目利き力は必要だろうということです。目利きというのは、情報を探す力、正しい情報を選別する力、過去の事例と比較する知識、ロジカルに考える力、などなどの総合力かもしれません。
ひとつめの記事で書いたように、社会の出来事などであれば目利き力のありそうな人ををネット上でフォローするというのもありだと思います。ただ、それに頼りすぎると力がつかないし、間違った人をフォローすると、とんでもない判断をしてしまうかもしれないので細心の注意が必要ですが。

目下の私の関心は、いつになったら国内を旅したり山歩きができるようになるか、です。これはリスク対策が必要なことではありませんが「あさって」の範囲にはいつてくれば、楽しい計画が立てられますから。ちなみに、海外旅行については、この先2年くらいはあり得ないだろうと思っているので、考えないことにしてます。

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