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【兎草子】鉄道沿線のテロ対策(24/07/26)

オリンピック開会式を控えたフランスで、高速鉄道TGVの路線3箇所で破壊活動で、交通網が混乱しています。オリンピックを控えて全土でテロ厳戒モードに入っていたフランスは国の面子をつぶされかけた形です。
不幸中の幸いは、破壊活動の対象が、鉄道沿線に敷設されている信号ケーブルで、どうやらなんらかの形でケーブルだけを燃やして使えなくしたということの模様。人的被害がなかったこと、また車両などが衝突する物損もなかったのはよかったですが、逆にいうとテロとしては意図がわかりにくいですね。

過去、日本国内でも、たびたび鉄道沿線に敷設された信号ケーブルや電力ケーブルに放火される事件が連続して発生し、首都圏の鉄道を混乱させました。このときの犯人は、JRに対する個人の逆恨み的なものと思われ、テロや組織的犯罪とは一線を画しています。
当時日本では鉄道のケーブルが線路脇にむき出しで敷設されているのがあたり前で、素人でも簡単に攻撃できる脆弱性のポイントだったことが指摘され、以降JRはケーブルにカバーをつけたり地中や蓋付きの溝に埋めるなどしてきています。なので、今剥き出しのケーブルはほぼ見かけなくなりました。
テレビのニュース映像を見る限り、フランスでも似たような状況だったようで、これは鉄道をことをよく知る組織や犯人による攻撃だったことは間違いないようです。

テロ対策という意味では、鉄道は地上設備が非常に長いため、守り切るのは難しいところがありますね。大規模で効果的な破壊ということであれば、ターミナルなどの主要駅が攻撃対象でしょうが、輸送障害を起こすのが目的であれば極端な話どこでもいいのですから。特に高架や地下区間ではない地上の平坦区間は侵入もしやすいので悩ましいところです。
ちなみに、日本の新幹線の場合、初期につくらたれ東海道新幹線を除くと、ほぼ高架で建設されています。これは雨・雪を中心とした災害対策の観点からそうなっているのですが、一般の人が立ち入りにくくする効果もあり、テロ対策も含めた鉄道の安全確保には有効な手段と思われます。

最も、平原が広がったり田園地帯を突っ切るような路線で、わざわざ高架にして費用対効果を悪くするのか、というのは難しいところです。とはいえ、距離が長い鉄道では一定間隔で監視カメラを設けるのも現実的ではなく、高速鉄道のような重要な設備はまずは高架等の物理的設備で不審者の侵入を防ぐ、もしくは侵入のハードルを上げるというのが現実的なような気がします。なお高架区間でも保守点検のために一定間隔で入るための階段や進入路が設置されていますが、そういうところはしっかりカメラやセンサー等でカバーしたらいいかと思います。

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