【兎草子】北陸新幹線 敦賀〜京都ルートについての勝手な考察(24/08/10)

北陸新幹線はいつ大阪までできるのか

北陸新幹線は敦賀まで開業したものの、大阪、京都、名古屋といった従来特急で北陸各県と直結していた地域は敦賀乗り換えを強いられ、しかも時間短縮は雀の涙で特急料金は高くなるという泣きっ面に蜂状態。このため、北陸新幹線の大阪までの延伸計画と工事を早く進めてほしいという議論がもりあがっています。

国などが推し進めようとしているのが、「若狭ルート」と呼ばれる、敦賀から若狭湾沿いに小浜市を通り、そこからトンネルで京都に到達し、京阪奈地区を掠めて新大阪に至る案です。一部は環境アセスメントのための作業も行われていると聞きます。ちょうど昨日京都駅の位置案などが公表されましたが、それによると開業までには20-28年かかるという試算となっています。

いっぽう、そんなに待てないということで浮上してきたのが、「米原ルート」です。もともとの新幹線整備計画では北陸新幹線の終点は米原で、そこで東海道新幹線に乗り入れる構想でした。しかしJR化後に東海道新幹線の需要が逼迫してJR東海が乗り入れを嫌がったため、北陸新幹線は若桜ルートで整備される方向となった経緯があります。
その米原接続による米原ルートを復活させようという動きが一部の政治家や自治体から出ています。敦賀〜米原は数十キロしかなくそれほどの難工事も必要なさそうで工事期間、費用とも安く済むというのがこの案の利点であることは間違いありません。
肝心の東海道新幹線乗り入れについては、現在名古屋止まりの「こだま」の余裕分など１時間2本程度であれば乗り入れ可能ではといった評論家のコメントがでています。とはいえ、北陸新幹線が発展すれば１時間あたり３〜４本は最低でも走るとみられ、中央リニアが開通してもっと余裕ができなければ現実的ではなさそうです。その中央リニアも、大阪までの開業はもともと2037年という計画でしたが、名古屋開業は現時点で2032年以降となりそうなので、こちらもまだまだ先になりそうです。

もっと他に、現実的な案はないのだろうか、ということで考えてみました。

私案1: 東海道新幹線線増案

敦賀〜米原間は米原ルート案と同じですが、米原で東海道新幹線に乗り入れず、米原〜京都間は東海道新幹線の脇に北陸新幹線の線路を線増の形で作ります。
乗車するとわかりますが、米原から京都の手前でトンネルに入るまで、東海道新幹線は琵琶湖南岸のほぼ平坦な田園地帯を走ります。周囲には時折り工場があったり、草津市付近からは次第に住宅も増えてきますが、高速鉄道を作るのに適した地勢です。この区間に北陸新幹線を併走できるよう線路を作り京都まで引っ張ったらどうかということです。草津付近からは地下に潜る必要があるかもしれませんが、それにしてもぐに山科付近の山岳トンネルとなりますので、トンネルが少し長くなる程度です。最後の京都駅へのアプローチは、在来線上に直上高架を作るのがいいとは思いますが、若狭ルート計画で示された地下ホームでもいいとは思います。
若狭ルートの京都駅東西方向案は下り上りの方向が本来と逆向きなので無駄が多いですが、この案であれば距離的な無駄は発生しません。
京都〜新大阪間は、若狭ルートの計画では学研都市線の松井山手付近を
通ることになっていますが、ここについての評価は差し控えておきます。ただ、北陸新幹線はしばらくの間京都始発でもいいのかもしれません。とにかく敦賀乗り換えで無くせば利便性はだいぶ変わると思います。

私案2: 湖西線活用案

もう一つの案は、在来線でも時速160キロで高速運転できる湖西線を活かそうという案です。
敦賀から湖西線の永原付近までは新線を建設し、永原から堅田付近までは、現在の湖西線脇に新幹線線路を増設します。ちょうど埼京線と東北新幹線の関係のような感じです。線形から新幹線としては最高速度は抑えられますが、建設費は抑えられますし、京都から敦賀までの距離も最短になるので時間的にはそんなにデメリットではないはずです。
堅田付近からは地下トンネルと山岳トンネルで京都駅に向かう必要はありそうですが、全体的には効率的なルートにできそうです。

湖西線を最大限活用するならば、永原〜堅田間を標準軌化してしまうというの発想もあっていいかと思います。ミニ新幹線化ではなく、在来線の新幹線規格化。普通列車を1時間1-2本走らせるだけなら、それもありかなという気はします。

並行在来線化を嫌がる滋賀県対策は?

これらの案のデメリットの一つに、北陸新幹線ルートが滋賀県内ルートとなったときに、新幹線の建設費用負担とともに、在来線が並行在来線としてJRから切り離されることを懸念して滋賀県が嫌っているということがあります。
北陸本線の米原〜敦賀間、湖西線は新快速が走る区間ですから、本来は新幹線を作ったからと言って切り離すべき路線とはとても思えません。なのでJR西日本が維持するといえばいいだけなのですが、JR西は本当に肝っ玉が小さい。新幹線ができて得られる利益の方が在来線を維持するコストより大きいのは明らかなのにです。(これは他の整備新幹線も概ね同じ)

とはいえ、元々はといえば、滋賀県内の新幹線駅が米原しかないことがいけないのです。以前東海道新幹線に栗東新駅構想がありましたが、これもJR東海が嫌がったのと滋賀県が整備費負担を嫌がってポシャりました。なので、少なくとも北陸新幹線については、滋賀県内に追加に2-3駅整備することを表明したらいいと思います。
米原ルートであれば、長浜、近江八幡付近、草津・守山付近など。
湖西線ルートであれば、近江舞子、堅田、坂本付近など

とまあ、色々書きましたが、結局は若狭ルートで推し進められるんでしょうね。国の政策としては、多数の原発を抱える若狭湾沿いの自治体にいい顔をすることが最優先ではないかと思います。こじれにこじれてる西九州新幹線の佐賀県の前例がありますので、滋賀県も無駄に刺激しなくて済みますし。