不穏破壊8
「不穏破壊」とは、雑記シリーズの名称である。周囲でちょっと落ち込むことがあった時、気を紛らわせるためにパーッと書いて公開するものだ。
連日台風やゲリラ豪雨のニュースを聞く。少し前まですっからかんに晴れた日ばかりだったのが噓みたいだ。秋の到来を喜ぶためにも、勢いを増す悪天候の流れをなんとか乗り切っていきたい。
上下する気圧に気分を振り回されてしまう前に、今日も書く。
雑学のはなし
雑学は本当に役に立たない。「雑」という字を含むだけあって、知っていることを人に自慢するくらいしか使い道がない(気がする)からだ。
ただ、わたしは雑学が結構好きだ。知ってることをひけらかして「ほえ~」とリアクションが返ってくるだけでうれしい。
なるべくならみんなにも雑学を教えてほしいので、わたしが知っている雑学をちょっとだけ書いておく。
緊急で雑学が必要になった時には、この記事のことを少しだけ思い出していただけたら幸いだ。
① 6月18日は国際寿司の日、11月1日はすしの日
11月1日の「すしの日」は「全国すし連」という団体が制定した正式な記念日。新米が出回り魚にも脂がのる、おすしにとって絶好のタイミングが11月1日だからだそう。
一方の6月18日「国際寿司の日」については、その由来がはっきりしていないらしい。特に海外において祝われることが多いと聞く。世界的におすしが愛されていることが伝わってきて、結構うれしい。
ちなみに、6月18日は「おにぎりの日」でもある。
② 目黒駅は品川区、品川駅は港区にある
これなんでなの? いろいろ手続きしてる段階で「なんか意味わからんな」って思わなかったの? なんなの?
③ スターバックス一号店にはイートインスペースがない
スターバックス一号店は、アメリカ・シアトルを訪れた人が必ず立ち寄るであろう名所「Pike place」の中に位置している。その店舗内にはテーブルとチェアが一切設置されておらず、持ち帰り専門店となっているそうだ。
ちなみに、スターバックスの日本第一号店は東京・銀座にある「銀座松屋通り店」。こちらは二階建ての落ち着いた店舗で、広々としたイートインスペースが用意されている。
以上。
あなたしか知らない雑学、とっておきのものがあればマショマロください。いただいた雑学には順次「ほえ~」とお返事いたします。
ふりかけ
7月の末に友人が結婚式を挙げた。
花嫁姿の友人は非常に可憐でかわいらしく、そんな新婦のハートを射止めた旦那も非常に気さくな人で、なんともお似合いに思えた。
さて、そんな結婚式におけるお楽しみコンテンツと言えば引き出物。わたしが新郎新婦から受け取ったそれは、ピンク色の缶の中に詰められたカタログギフトだった。記念品・縁起物・引き菓子の3点それぞれを、ギフトを受け取った側が選ぶシステムになっている。
現代風な感じがするし、新郎新婦にとっても我々にとっても便利だ。
カタログとにらめっこしてあれやこれやと悩んだ結果、わたしはお皿・ふりかけ・ドリップコーヒーをセットにして送ってもらうことにした。
そうして届いたふりかけが、わたしにとっては大当たりだったというわけ。
少し話が変わるが、わたしはお昼ごはんとしてオートミールとお味噌汁を食べていることが多い。
タッパーに入れたオートミールに適当な量の水を注ぎ、レンチンするとお米っぽい食感になる。お米だと思って食べると微妙だけど、「そういう主食」だと思って食べればそれなりにおいしいし、腹持ちもいい。
ただ、オートミールとお味噌汁の相性が良くないのがネックだった。決して食べられないほどではないのだが、なんだか噛み合っていない気がする。
せめてオートミールになんらかの味付けをして、お米だと錯覚したうえで食べることができたらいいのだけど……そう考えていたさなか、引き出物としてちょっと良いふりかけをいただくことになったのである。
早速、いただきもののふりかけをオートミールに振ってみた。
見た目や味は普通のふりかけと変わらない。でも、普通のふりかけとは食感がすこし違う気がした。普通ならご飯の水分でしなしなになってしまうが、このふりかけはなぜかずっとサクサクの食感を維持しているようだ。
しかもオートミールとの相性が良い。オートミールにふりかけをかけただけなのに、もちもち感を強めたお米を食べたような気分になった。
あまり相性が良くなかったお味噌汁との関係性も、心なしか改善されているような気がする。
……つまり、「オートミールにふりかけをかけることでお米と錯覚させる」作戦が無事成功したことになる! やった~!!
オートミールにふりかけをかけてみる思いつきなんて、正直すごく些細なことだ。思いつきさえすれば誰だって実行できることだろう。
でもわたしは、引き出物のカタログギフトに「ふりかけ」の選択肢を見つけるまで、そんなことを思いつきもしなかった。
オートミールを食べながら、きっかけを与えてくれた新郎新婦への幸福を改めて祈った。
末永くお幸せにね。
音楽で耳を塞ぐ
前職はかなり大変だった。
なにせ人間関係の相性が悪すぎる。周囲では客先の方々や、同僚の人の悪口が飛び交っているような環境だ。仕事中に別の人の話し声が聞こえてくるだけでつらくて仕方がなかった。
だから仕事中も休みの間も、わたしはイヤホンで人の声をシャットアウトし、音楽を聴いていた。
耳をふさぎ、誰からも隔絶された世界でひとりになるために。
転職後、いまの仕事では人間関係もわりと良好(というか良い意味で希薄)で、仕事内容も自分に合っている。仕事中に音楽を頼って耳をふさぐ必要はなくなった。
でも通勤電車の中では疑似的にひとりの時間を得たいから、音楽を聴きながら目を閉じていることが多い。
つらい思いをしているとき、ひとりぼっちになりたい気分の時、味方になってくれるのはイヤホンの中の音楽だ。
音楽は万人に解き放たれたものだけど、イヤホンをしている限り、その中の音楽はわたしひとりのためだけに鳴る。
その事実の前にするとき、わたしは心の底からの安寧を得られるのだ。
最近聴いている曲
……と、かっちりした前置きはここまで!
あえて硬くてポエミーな文を書いた理由は単純、最近聴いている曲を紹介するとっかかりにしたかったから。
ひとりになりたい気分のとき、耳をふさぐような気分で音楽を聴いているのは本当だ。
でも音楽の側面ってそれだけじゃないよね。好きな曲の話をして、いろんな人とその感覚を共有することも音楽の醍醐味だと思っている。
こうやって何を聴いているか公表しておけば、趣味が重なる人に出会えるかもしれない。何よりこういう文を書くこと自体が楽しいことだからね!
曲単位で絞ると文の量が凄まじいことになりそうだから、アルバム単位で紹介していこうと思う。
・ZION 「SUN'n'JOY」
ZIONは不思議なバンドだ。
活動拠点は北海道・十勝。バンドメンバーが古民家DIYでスタジオを立ち上げ、そこで音楽を作ったり、十勝の自然を満喫したりしているらしい。
そんなのびのびしたロックバンドだから、楽曲もその環境を映したかのようにダイナミック。でもそれだけでは決してなくて、3本のギターやコーラスワークによって生み出される繊細さや、ボーカル・光村さんによるお歌の妖艶さも複雑に織り込まれている。本当に不思議な魅力にあふれたバンドだと思う。
わたしはZIONのことをたくさんの人に知ってほしいし、たくさんの人に曲を聴いてほしいと思っているのだけど……でもこれまでは、そうやって布教するためのハードルがやたらめったら高かった。なにせCDがほとんど世に出ないから!
彼らのCDを買うには、北海道河東郡士幌町にある道の駅までどうにかして行くか、その道の駅のオンラインショップから購入するしかない。ほかにチャンスがあるとすれば、時々あるライブに赴いて購入するくらいだろう。
そんなZIONが、最近になってようやくアルバムをサブスク解禁してくれた。このおかげで布教のハードルも、音楽を聴くハードルそのものも大きく下がった。ファンとしてはうれしい限り!
しかも最近はライジングサンロックフェスみたいな大きな舞台をたくさん踏むようになってきたみたいだ。音楽好きの間で知名度が少しずつ上がってきていることは間違いない。
十勝の風が世界中に吹き渡る日は近い、かもしれないね。
・芸能山城組・久保田麻琴・小西康陽・蓜島邦明 「AKIRA REMIX」
2023年の夏に池袋で開催された、映画「AKIRA」の原画展。
その会場内では、いつも聴いているような……でもやっぱり聴いたことがないような、めちゃくちゃかっこいい音楽たちが流されていた。その音楽たちこそが、後におけるこのアルバム……「AKIRA REMIX」の収録曲群だった。
リミックス盤の存在が明らかにされたのは、2023年8月30日に同イベントの会場地下で行われた「AKIRA」の特別上映会でのこと。この会は当初、「AKIRAファンたちで集まって映画を観て35周年をお祝いしようね」という単純な趣旨のもののはずだった。
しかし上映終了後、すぐさま「このあとサプライズがありますよ」というアナウンスが流れる。席を立ちかけた観客たちが慌てて戻り待っていると、舞台袖から大友克洋監督が登場!
そしてその口から発表されたのが、「展示会場で流されていたリミックス音源」……つまりこのアルバムの発売準備を進めている、という告知だった。
いやあほんと、びっくりしたよあの時は。
というのも、わたしは当時そのイベントに偶然足を運んでいたからだ。なんなら最前列ほぼド真ん中の席に座っていた! 大友監督との距離はざっと2メートルほどしかなかったと思う。
当時は本当に驚いたというか、困惑した。直後のTwitterもこんな調子だったからね。
目の前に監督が現れた瞬間、その年の運を使い果たしたかもしれないと直感したのは言うまでもない。いまでもこうして自慢の種にしているくらいだ。
ごちゃついた街を走り抜けるバイクのテールランプが、鉄雄の病室に突然溢れたぬいぐるみたちの敵意が、大きな光の中に広がる破壊の情景が、今も胸中で精密に再現できる。あの日大友監督が突然自分の前に現れたときの、興奮と困惑と緊張とがないまぜになった凄まじい感情のことも忘れられない。
このアルバムは、あの瞬間の思い出を煮凝りにしたものだと思っている。
わたしの好きなもの、わたしにとって最高の瞬間のひとつを切り取ったアルバムこそがこの「AKIRA REMIX」だ。
・NIRVANA 「Nevermind」
ある日突然「そういえばカート・コバーン(=NIRVANAのボーカル)って27歳で亡くなったんだよな、若いな、悲しいな」と思って、そこからNIRVANAについて調べるようになった。今更遅すぎだろと思うなら、どうか鼻で笑ってやってくれ。
わたしは無学だったから、NIRVANAに対して「カート・コバーンがボーカルしてるバンド」くらいの知識しかなかった。なんなら代表曲のSmells Like Teen Spiritすら聴いたことがなかった。
世界的ロックバンドの代表曲なのだから、いくらでも耳にする機会はあっただろうに……どうしてだろう。
Nevermindを一聴したとき、「なるほど、確かにこれはわたしのようなガキ寿司がいろいろと語るのはおこがましいほどの名盤なのかもしれないな」と思った。
ただわたしでもわかることがあるとすれば、四半世紀ほどの時が経ったいまでもなお、このアルバムがかっこいい作品であり続けていること。
そして「四半世紀経ってもかっこよくあり続けている」こと自体が凡人には到底真似できない偉業だ、ということだ。
本当にかっこいい音楽って、流行の中で消費されないもの、いつ聴いても普遍的にそこにあるものだと思っている。
Nevermindのリリースによって急速に世界的なスターとなってしまったNIRVANAには、その時から……というかNIRVANAがNIRVANAになった瞬間からずっと、普遍的で残酷な音楽の神様がついていたんだろうな。
では、今日はこれで。