【自由研究】J2岡山:第36・37節(後編)
上書き保存をかけてしまいたい水曜日から、上書きインストールが完了した土曜日まで。怒涛の2ゲームレビュー。じゃあ後半いってみよう。
岡山 vs 長崎 : 第37節
▼岡山 vs 長崎 : 第37節
前節敗戦からわずか2日。サポ的には敗戦のショックはあれど、立ち止まっているわけにはいかない。嫌な流れを断ち切るためにも、自分たちの目標を達成するためにも、どうしてもたたいておく必要がある相手。
台風も近づく中で文字通り、嵐の予感のする雰囲気。岡山は勇気をもって立ち向かう。
寸評
まずこの試合の立ち位置について記載しておきます。おもな変更点は以下。
・2トップをそっくり変更(永井・齊藤)。
・成瀬⇒ハン
・本山⇒河井
・仙波⇒雄大
・濱田⇒柳
数的有利はよい流れをもたらし得ない…
この試合の展開に大きく影響したのが、前半29分、長崎のクレイソン選手の退場劇だった。岡山は結構早い時間帯から、数的有利というアドバンテージを得ることになったのだが、これで試合を優位に進められるようになったかというと、決してそうではなかった。
サッカーというのはふしぎなスポーツでもあり、相手より人数が少なくなることで割り切った考えができるようになるという一面がある。長崎も10人になった後は「全員帰陣して人で守りを固める」というシンプルかつ原始的な守備戦術を用いることが多くなり、岡山は「なぐってもなぐっても扉があかない」状態におちいった。
押し込んでいるので有利そうに見えるが、点は取れない。そんな感じで進んでいた矢先の37分、岡山は下手するとこの試合の結末を左右しかねない大大大ピンチを迎える。
元ファジ戦士、長崎の大竹洋平選手のところにぽっかりとスペースができてしまい、江川選手からのパスがノンプレッシャーで通ってしまう。長崎は大竹選手⇒澤田選手とパス連絡が完成し、PA内進入したエジガル ジュニオ選手へとラストパスがつながる。岡山としてはまごうことなき絶体絶命である。
エジガル選手の脚にボールがつかず、不完全なシュートとなったことによりこの局面は事なきを得たが、岡山としてはかなり肝を冷やしたシーンでした。これが決まっていたら負けてたとは言わないまでも、岡山としてはかなり後々まで尾を引いていたのではないかと思われる。長崎は1点とっちまえば「殴られても耐える」を続けていけばいいので。
岡山は開幕間もない3月のアウェー大宮戦で、10人(しかもGKが全員負傷してしまいフィールドプレーヤーがGKを務める)の相手に1-1のドローがやっと、という苦い経験もしている。そうした点から数的有利であんまり有利だと思ったことがない。このまま点が入らないとちょっといやなムードになりそうでした。
バイスさんのPK成功でだいぶ楽になる
そういう展開の中で、前半終了間際に先制点をとれたのは非常にでかかった。おれたちのバイスさんのPKからである。PKといってもシュートを打つチャレンジは必要なわけであり、1点とれる確率が高いっていうだけで失敗のリスクがないわけではない。だからこれをきっちりしずめたバイスさんが本当にえらい。偉大。
ちなみにこのPKにつながるハンドの判定について、「運がよかったな」と言ってしまいそうだが、木山監督はラッキーをきっぱり否定しておられます。以下、ファジラボ無料記事引用。
数的有利のアドバンテージがこれでようやく「見える化」されたようなもの。岡山は後半にミッチェルデューク、チアゴアウベスらを投入して圧力を強めつつ、成瀬竣平、本山遥、仙波大志ら、前節で悔しさを味わったであろう面々を次々投入。リベンジを促したかはわからないけれども、走力と体力・気力をもって長崎を封じ込めにかかった。
チアゴアウベスがスロ~リ~な打球のゴール、ミッチェルデュークがヘディングのゴールをそれぞれ沈め、トータル3-0で勝負あり。岡山はアウェー敗戦の嫌な流れをすぐに断ち切り、連敗はしなかった。
【分析】プレッシング回数について
さてこの試合のスタメン、最大のポイントは2トップ完全変更であったと思われます。チアゴ・デューク⇒永井・齊藤。
前節の反省ポイントを踏まえれば意図は明確に見えてきますが、おおざっぱに言えば以下の2点。
・相手ボールへのプレッシング
・パスコースの限定
前節と今節ではチームカラーは違えど、同じやられ方は絶対にしてはいけない。そんな想いの表れではないかと推測される。
木山監督も試合後、次のように語っておられます。
だからこの試合は齊藤・永井コンビのゴールゲットも期待するところだが、それと同じくらい重きを置いて観たかったのは2人の守備。攻撃の選手だけど、守備。
ということで、当社独自に36・37節における2トップのプレッシング回数を調べてみました。方法はいつもと同じログ採取です。
▼プレッシング回数・選手別割合(前半通じて)
まず、選手別のプレッシング回数を載せる(前半通じての数字です)
前節はプレス役がデュークに偏りがちであったところ、今節は選手ごとの回数の偏りは縮小されているものと思われます。
プレスに行く割合を可視化するとこんな感じ。37節は36節に比べて、2人のグラフの長さが均等化されつつあるのがわかる。
▼プレッシング回数(前半時間帯別)
36節では序盤は行けていたが段々行けなくなる(ポゼッション率も高くない)傾向があった模様。対して37節は、序中盤までの回数は36節と同じような傾向を見せていますが(因果関係不明)、終盤(31〜45分)の回数が増えています。
長崎のクレイソン選手退場により数的有利であったことは考慮する必要がありそうですが、ポゼッションも5割以上あるなかで「相手にボールが入れば圧力をかけに行く」を愚直にやり続けた結果ではないかと思われます。最後まで奪いに行くという意識が高めであったことが明確に読み取れる。
▼プレッシング回数・選手別割合(前半時間帯別)
37節の方が、グラフが横に長くなっている。やはり終盤での回数の多さが光る。齊藤さんも永井さんも同じくらい走れていると言うことか。
今回のグラフはプレス回数に焦点を当てているので、チアゴの回数、割合は低めになってしまっている。ただし、彼は引き換えに自分で16点取っていると言うことも忘れてはいけない。それに、彼も全然プレスに行ってないと言うわけではないし、自陣に戻って守備参加はしている。止めれてるかは別(私ちゃんと観てます)。
【PICKUP】オフサイドだったかどうかは別として
もうひとつ。
72分、雄大のシュートがオフサイドと判定され、幻のゴールとなってしまったシーンがあった。実際オフサイドだったんか?かなり疑問が残るが、そこに至るまでの「くずし」がかなりビューチフルであったため絵にしておく。
▲はじまりはバイスのロングフィードからであった。これが、左サイドに張っているハンイグォンにピタリと合う。
▲「簡単に抜かせないよ」と相手DFが寄せてくるのだが、ここでイグォン、かかとでまた抜きという選択をとる。河井さんが走りこんでおり、このヒールパスがまたピタリと合う。画面には映ってなかったが徳さんも猛ダッシュで詰めていると思われる。
▲徳さんが追い越すまで河井さんがキープ。相手DFの背後を追い越した徳さんがボールを受け取る。これもピタリ。
▲徳さんからデュークへグラウンダークロス。これは相手の脚に当たるが結果としてデュークにピタリであった。
相手のディフレクションがあってこぼれたボールに雄大が詰め、ゴールネットを揺らすもオフサイドの判定。。。惜しかったけど、ここに至るまでが見事な崩しでした。岡山は地上戦でも崩せる。その証左。
(まぁ、バイスのロングフィードを縦ポンっていう意見はあるかもなぁ、、、そがな簡単なもんじゃねんじゃけど。)
まとめ
【朗報】勝ちました。
現地アウェー参加組としてはショッキングだった前節の敗戦を払しょくする勝利。48時間しかインターバルがない中で見事な勝利。本当にありがとうと言いたい。
今回の記事の中でプレッシング回数の分析をしてみましたが、ファジアーノ岡山のレジェンドのひとり、赤嶺真吾さんが、いつかどこかで言っていたことを思い出します。
「なんで自分だけこんなに走っているのか、ときどき意味が分からなくなることがある。でも走る」と。
点をたくさん取るのがフォワードの仕事。でも、敵陣で1stディフェンダーとして体を張るのもまた、フォワードの仕事のひとつ。
チアゴやデュークがゴールをとってくれることも、永井さんや齊藤さんが体を張ってくれることも、どちらも大切な勝利のため・チームのためにやっていること。かれらのこうしたタスクを推測しながらゲームを見れば、いっそう応援にも力が入ると思います。
「あっ今パワー送る時だわ!!!」ってのがわかってくると思うので。(プレス!走れー!とか。声出せんけどな)。
まだまだ負けられない試合は続く。最後まであきらめずに応援しよう。
(了)
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