【自由研究】9/4町田戦について&9/10山形戦に向けて
9/4町田戦について、自分で気になって調べてみたことや、9/10山形戦に向けての考えなどを書いてみます。
■9/4 町田戦に関すること
試合結果
いや~素晴らしい勝利。ゲーム最序盤での田中雄大のゴール、後半立ち上がりの佐野航大のゴールを守り切り、相手の攻撃陣を完璧に抑え込んで、1万人集まってくれたサポーターの前で見事に勝ち切った。
スタッツ等についてはこちらからどうぞ。↓↓
メンバー等について
この試合では離脱していたメンバーが戻ってきて、まさに完全体ファジアーノになった。ターンオーバーで完全体になる今年のファジアーノ。この時点でもうなんか例年と違う(これはターンオーバーとは言わないかもしれませんが・・・)
この日はふたをあけたら3バック。今年のファジアーノの布陣は、スタメンを見るだけではなかなか読めない。おそらく対戦相手も注意深く様子をうかがいながら対策を組み立てていると思う。DAZNの事前予想や実況・解説の情報も錯綜していることがままある。
ほんとうのところはスタジアムで自分の目で確かめるほうが確実。ぜひスタジアムで見よう。
輪笠選手に関すること
この日、本拠地デビューを迎えた輪笠選手。突如押し寄せたコロナ禍の中、合流して間もないにもかかわらず、スタメンボランチでゲームに参加しチームの緊急事態を救う活躍。木山監督の信頼はもちろんサポータの心までもがっちり掴む活躍を見せています。
この日も3-5ー2の中盤の真ん中で、
・効果的なパス配球
・出し手がパスを出しやすい&自分もパスを受けやすい位置取り
・ハードな守備
・90分走り続ける体力
なんかをいかんなく発揮し、チームに貢献。
この日のパス数1位になっておりました。
下の表は私が独自で追いかけてみた輪笠選手のパスの一覧です。(公式記録ではありません。あと、自分の主観となっておりますのであくまでご参考までに。。。)
このなかで特徴的だなと思ったのは、前方向へのパスの多さ。しかも、わりと通して(成功して)いる点。ボールを納めたらスッと前方向へ出すイメージ。どっちかいうとポゼッションよりはカウンターが得意な選手が多いわが軍としては、スムースに前にボールが出ていくのはうれしいし、見ていて楽しい。
とくに、自分のいる位置から反対方向への長いパスが上手。右側のエリアにサポートに行って、ボールを受けたら逆のサイドへ。中に持ち運んでから配球することもあるし、長い浮き球でサイドチェンジ気味にすることもある。こういうのを「ちらすのがうまい」と表現するのだろう。
左サイドで待ち構える佐野がよく、この恩恵にあずかっていた。こういうのもあって、岡山はどっちか片側のサイドに寄らず、広くピッチを使って進軍できていたような印象。
これだけ「できた」のは輪笠選手のポテンシャルもあってのことだろうが、対戦相手との陣形のかみ合わせからくる部分もあったのかなあ、とも思った。確認してみた結果が下記のツイートになります。
20:34のスローインの時だけたまたまそうなったのかもしれませんが、ひとつの仮説として挙げてみたところであります。
今後、マークがかみ合う相手との対戦ではどうなるかな、と思ったりしますが、輪笠選手ならばたぶん問題なくこなしてくれると思います。どんな相手にでも負けないプレーを見せてくれると思います。これからも注目。
守備陣形に関すること(昔と今の3バックの違い)
この日は3バック(いちばん後ろが3人)なので、守備時は左右の一番端っこにいる人(この日は16河野と22佐野)も最後尾に下がって5バックを形成する。これはぼくがファジを見始めたころ(2012~)と同じ守り方で、昔から観ているファジサポさんにもおなじみかもしれない。
しかし、その一列前の配置はちょっと独特で、河井さん・輪笠くん・雄大の3人の並びはそのまま維持されていた。5-3-2という陣形。
(※確認できていなくて恐縮ですが、この日からでなく、その前の試合から既にこういう守り方だったかもしれません)
※昔はどうだった?
むかしの岡山は3-4-2-1を採用していた。このとき3⇒5バックに移行する守り方をしていたわけですが、よく知っているのはWBが最終ラインに落ちるのと同じくして、シャドーもワイドに広がるやり方。これで5-4-1状態にして守りを固める。攻撃はどうすんのさ?と言われたら、ハードワークにものを言わせるカウンター主体。
ゴールは全員で守るし、カウンターも全員で突撃する。ハードワークをベースとするファジらしい守備志向の布陣といえる(その代わりアタッカー陣にかける守備の負荷も重い…)。
※今はどうなっている?
今の岡山の3バックは3-5-2が主体。昔と異なり攻撃志向で採用されていると言われております。
代々受け継がれるハードワークでの守備をベースにしつつ、2列目の枚数を増やして中盤で相手をつかまえやすくしつつ、デューク・チアゴといった(相手にとって)脅威となる2トップをデデンとセットし、「前方向へのでかい矢印」を志向。今いるメンバーたちの強みを最大限発揮できる攻撃的スタイル(と勝手に思っております)。
最初これを見た時は、中盤を分厚くしたい、というのがあるので、2列目はそのままWBだけが下がり、独特な陣形になっているのだと思っていました。ですが、この陣形には「これで相手ボールをサイドに追い込む」というねらいもあったんかなあ、と、この稿を書いていて思えてきました。
流れとしては
☆中盤をそのまま3枚にするので中は詰まっている
⇒しかし、WBがいたところにスペースはある
⇒「スペース空いてる!」ということで相手はここを使おうとする
⇒そこに入ってきた相手選手とボールを囲い込む
といった具合。事実、右サイドに侵入した場合は右IHの雄大が、逆の場合は河井さん(後半は本山)が、献身的に走って相手にプレッシャーをかけにいっていました。人が足りなければ輪笠くんをはじめ、周囲にいる選手が足を動かしてサポートに行きます。
サイドに追い込むことで、
・相手にパスの受け手を探させる⇒多少なりとも時間をかけさせる⇒その間に守備の用意を整える
といったことができたり、
・ボールを取り返して⇒うしろに下げて落ち着かせる または 前方に即パスを送って(もしくは自分で1枚はがして)カウンター開始
といったことができたりするんかなあ、と思いました。
町田はシュートこそ打てど、予測していたように柳・バイスが最後の部分をガードしたり、キーパー堀田が準備万端でセーブしたり、決定的・致命的なシーンをほとんど作れていなかったのですが、その背景には岡山のこうした守り方があったのかもしれません。
佐野航大選手に関すること
この日の佐野きゅんといえばもうこれでしょう。岡山県津山市出身。地元のスター誕生の瞬間。これを1万人の前でやってのけるのが素直にスゴイ。
この日の佐野選手のポジションは左のWB。大外のレーンで攻守に走り回る必要のある位置。守備時5-3-2になると最終ラインに吸収されてしまいサイドバックも同然となる。
守備に追われていると
”佐野くんはここでいいのか?”
という意見も出てきそうだが、木山監督は「こんなこともあろうかと・・・」という意図があってかどうかはわからないが、シーズン序盤で佐野くんをサイドバック起用させていた。
で、普通にできていた(わたし目撃しました)。
攻撃についてはゴールも決めたし見ての通り。1枚はがしたり、めっちゃええところにパス落としたり、ドリブルでゴリゴリ前進したり、チャンスメイクもばっちりきめられる。守備も最低限できる。こんな選手がサイドをウロチョロしようもんなら相手は相当に困るだろう(ていうかいつの間にか中央とか右に駆け込んでることもあるし)。
岡山としては守備すべき場面では最低限守備させつつ、ボールを失わず運ばせ、攻撃に転じた際には最大限の自由を与えてゴールへの突入を許し、彼の持つ才能が最大限発揮できるようにマネジメントしている気がする。
こんなすばらしい地元っ子がいるファジアーノ岡山の試合をぜひ1回見とくべきだ。
■9/10 山形戦に向けて
※学生の皆様へ朗報でございます。無料ご招待デーです。くわしくは↓
出場停止選手について
本山くんが警告累積で出場停止。また佐野くんはU19日本代表に選ばれたためチームを離れており出場できない(見に来なさいよとさんざん言ってきましたが次節はおられません。すみません)。
この2人のところに誰が入ってくるか?名乗りを挙げるか?は関心どころです。今年のファジアーノはターンオーバーで完全体になるぐらい選手層が厚い。鼻息荒く虎視眈々と出場機会をうかがっている選手たちがたくさんいます。彼らが「もっと俺を使え!!」てな活躍をしてくれることと思います。
ちなみに町田戦と同じく3-5-2で行くとすれば、佐野くんがいた左WBは「守備時5バック」のタスクがあると思われるため、試合の入りは「守備もできる人」である必要があるかと思われます(個人の見解)。
さあ誰が名乗りを挙げるかな!? お楽しみに!!
さいごに
ことしの木山ファジは「引き出しの多さ」で勝負する(できる)チームに仕上がってきています。ひとつの確固たる戦術を持つか、小さな違いのたくさんのカードを持っておくか、という点で木山ファジは後者を選んでいると思われます。
最初は理想像があったかもしれませんが、魔境と呼ばれるJ2のなかで何としてもライバルたちを蹴散らすため、そしてリアリストとも評される木山監督が「勝つために」試行錯誤を重ね・選手たちを観察し・ベクトルを調整して、いまのやり方にたどり着いていると思います。岡山でがんばることを選んでくれた、やる気とテクニック、才能あふれる選手たちがそれを体現してくれます。
引き出しが多いということは「たったひとつのさえたやり方」に収束しにくいので、初めて見た時「どういうサッカーかよくわからん」「だいたいサッカーがよくわからん」という見え方になることもあるかもしれませんが、最初は「ようわからんけど勝った」「ようわからんけど面白かった」でまったくOKと思います。
J1昇格に向けた戦いが続くので、ぜひ多くの方に足を運んでいただいて、スタジアムからうねりを起こしてもらえれば幸いです。
(了)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?