【自由研究】9/10: 岡山 vs 山形 : 第35節
さいしょに。
この日は「中秋の名月」でした。試合前にはこのとおり、きれいなお月様が。うさちゃんが餅ついてました(嘘)
この歌の意味は「秋風に吹かれてたなびいている雲の切れ間から、こぼれ出る月の光は何と澄み切った美しさだろう。」だそうです。まさに、このゲームの情景にピッタリじゃない!?(試合中はいなくなってたけど…)
左京大夫顕輔どのはCスタのメインスタンドでこの歌を詠んだといわれる(嘘)
以上、余談。言いたかっただけ
試合結果に関して
寸評
互いに、ピッチ上で繰り広げてきた施策とはあまり関係がない形で得点が生まれた。しかも、それぞれになかなかの理不尽ぶり(個人の見解)。簡単にまとめてみたのが以下のツイートになります。
国分選手のFKで先制されたときはちょっと気落ちした。あの雰囲気の中、セットプレーなんぞで先手をとられたらどうしても、見てるほうは気落ちするんじゃないだろうか。インプレーでのディフェンスはしっかりと抑えてきているのに、だ。ここまでの展開全く関係ないじゃん。受け入れがたい現実。
5分ぐらいどんよりしていたが、岡山のチアゴアウベスがこぼれ球を左足でぶったたき、光の速さでゴールへ押し込んだ。理不尽極まるゴールだったがこれで息を吹き返した岡山は、そのあとデュークが徳さんのロングスローをパワーで押し込み逆転に成功。そのリードを最後まで守り切り勝利を挙げた。
どんよりタイムが5分ぐらいで終わったのがよかった。試合終了の笛が鳴った時はあやうく目から汗が出そうになった。ほんとうによくがんばってくれた。前節に勝る会心の勝利。
監督コメントで気になったこと
さて試合後、ファジラボの無料記事(下記)で大変充実した内容の木山監督コメントを読むことができたのですが、その中で触れられていたのが、左サイドでプレーしていたふたり、成瀬竣平とハンイグォンのことについて。
そのポジションでは前節、佐野きゅんが大活躍してたよな。ありゃーやべかったよなあ。などと思いつつ、この試合は佐野きゅんのところに入れ替わる形で成瀬くんが入っていたことを思い出す。で、いい意味で違和感なく、左サイドを動き回っていたことも、思い出す。
佐野くんと成瀬くんではタイプも違うであろうというのに、それでも特に問題なく攻撃がまわせたのはなんでかな?佐野くんの時と比べて成瀬くんの時は何が違ったか?そして成瀬くんの「難しいタスク」とは?
ちょっと気になったので調べてみる。
左サイドに関すること
前節(佐野航大)からの変更点(確認)
この試合のスタートの立ち位置は以下の通り。
※コートチェンジがあったので通常とは逆のスタートになっている。
会心の勝利であった前節のメンバーのままがいいが、大活躍が記憶に新しい岡山版令和の怪物・佐野航大はU19日本代表へ召集されて不在。強さ・テクニックを駆使した魅力的な攻撃参加が持ち味の佐野くんに代わり、抜擢されたのが成瀬竣平。(なお、これ以外ではCB柳⇒濱田の変更があった)
WBについては、攻撃参加もサイドバックのような役割も両方求められるだけに、攻守にわたってタフに動き続ける必要がある。そんなポジションに、「攻撃的なサイドバック」というタイプの成瀬くんが起用されるのは、まぁ妥当であろうと思う。
そもそも、前節の佐野くんは本職は攻撃的なMFだが、守備時はどう乗り切ったのか?というと、かれはサイドバックも普通にできちゃうタイプなこともあるので、守備時は後ろ目に位置をとり、周囲のサポートをもらいながら数的優位で守れれば問題なかろう、という位置取りをしていたのではないかと思います。そうすれば守備で起こりうる心配ごとは少ないであろう、と。
で、最低限守れれば、そこから攻撃に移行するときは相手を1枚剥がすなり、ドリブルで置いてけぼりにするなり、前線(デューク・チアゴ)に蹴り出すなり、自由にやんなさい!みたいなところがあって、あのような大活躍につながっていったのだと思う。「ボールを失わず、運ぶ」佐野くんの得意分野を生かした攻撃移行を実践させた。
これが前節。(ちなみに攻撃移行のことを「ポジティブ・トランジション」などというらしい。)
成瀬、仕掛け一覧(観戦メモから)
サイドをつかっての攻撃移行を繰り出したいのがいまの木山監督の方針であると思う。ただ、成瀬くんに佐野くんとまったく同じことをやれ、と言っても、おそらく完璧にはできないだろう。この日、成瀬くんによって、左サイドの攻撃はどうやって展開されていったか。
以下、わたしがゲームを流し見しながら作ったメモです。簡単な情報しか載ってない雑なもんですが、DAZN確認するためのインデックスみたいなもんなので、メモした時間にメモされた名前の選手がなんか起こした、と考えてもらえればよいです。
このメモの中でも成瀬くんの仕掛けの記録がありますので、これらの記録から、この試合の左サイドの攻撃に関する考察をしてみようと思います。(ほんとはJ公式の速報などが使えれば見栄えがよかったのですが、あんまり細かいところまでは載っていなかったので。。。)
手始めに、成瀬くんの出番になってるところを太字にしています。また、「おお~」と思ったところに丸数字をつけました。まずは、丸数字をつけたシーンのところを振り返ってみます。
実例① ハイプレス&パスコース限定(かな?)
まずは8:28~のシーンです。
↑サイドチェンジを受けた山形3半田選手に対して猛然とプレスをかけたところから。成瀬くんと同時にチアゴもプレッシングに行っている。
↑これに対して半田選手はボールを蹴り出したのだが、僕らの頼れるキャプテン・バイスがこれを正面で受け取った。バイスは間髪入れず成瀬くんに折り返す。成瀬くんはゴール向きにプレスしていってただけに、バイスからのパスをゴール向きの体勢で受け取ることができた。そのままの勢いで半田選手の裏をめがけて走る。
↑成瀬くんはドリブル進行はあまりせず、早めにクロスでデュークにボール配給を試みた。ボールを受け取ったデュークは左斜め上方向まで飛び出したものの、そこから折り返し再びクロスを上げることには成功した。中で雄大が反応したがわずかに合わず、得点とはならなかった。
注目点は、2枚目のシーンでバイスがクリアボールを回収したところ。なんでこんな正面でバイスは止めれたの!?ていうぐらいど正面だった。
たんなる偶然だったのかもしれないし、「成瀬くんがパスコースを限定し、バイスがボールを回収する」ところまでが1セットのディフェンスだった可能性もある。
実例② 相手の攻撃開始時に逆にひっくり返す
次は9:35ごろ。
岡山14田中雄大がドリブルしながら右⇒左へ移動してきて、成瀬・徳元・雄大の3角形を作りながら前進を試みようとしている状況である。
上図は、山形DFがボールをとりかえし、ボールを持った山形15藤田選手が3半田選手へバックパスを試みたところ。半田選手が再び折り返そうとしたところに、成瀬くんが猛然とプレスをかける。
↑パスを出そうとした(=攻撃を始めようとした)ところでボールを奪い取り、完全にひっくり返した格好となった。前向きに展開を始めようとする瞬間であるだけに、山形の守備の態勢は整っていない。その隙をついて成瀬くんがPA内に向かって前進し、斜めに走りながらPA内に入ったチアゴへボールを配給する。
チアゴのシュートは枠外となりゴールにはならかったが、前半指折りの決定機となった。
実例③ ロングボール奪取⇒ロングボール攻撃
続きまして~、30分ごろのプレー。(DAZN時計が「#岡山山形」になってたので秒がわからぬ・・・)
ここまでの実例と異なり、成瀬くんのほうが自陣に戻りながらのプレスバック。でもやることは前の実例と同じくボールを奪うこと。
で、難しい体勢ながらもボールをかすめとり、反転するとデュークへのロングパスを選択。デュークがしっかりポストプレーでゴール前に落とし、チアゴが突撃をかける。相手GKが先に収めたので決定機とはならずも、これもチャンスにはなった。ロングボールで陣地回復をもくろんだところにロングボールを打ち返すという例。
実例④ 味方とのパス交換で崩す
最後は後半、69分のシーン。
河井さんがなかなかいい位置で左の外にパス供給。成瀬くんが受け取って攻撃開始の場面。ただ相手もプレスバック速く、3半田選手と25国分選手で囲い込みを図る。
ここで最初のパスを出した河井さんがもう一度パスコースを作る。この小粋な動きによって成瀬くんはボールを逃がすことが可能になり、河井さんに預けてゴール前に走るプレーを選択。河井さんがワンツーでパスをゴール前に出し返し、再び成瀬くんが受けとってPA内に危険な状態を作ることに成功した。
ゴールとはならなかったものの、コーナーキックを誘うことができた。
考察
以上、4つの実例を挙げてみました。
ショートカウンターでの崩しの例が多かったですが、成瀬くんの本職はSBであるだけに「狩りとる者」としてのスキルは長けている。そのスキルを生かしたプレスやパスカットが、実例を追うことで浮き彫りになっています。
これらを見て、成瀬くんによる左サイド攻撃の考え方のベースとなるものは下記の3点ではなかろうかと思いました。
いいかえれば、「敵陣で」「相手がボール持っているところ」へのハイプレス&ショートカウンターをベースとした攻撃。それも、相手の攻撃がスタートするとき=こちら方向へのパスを出そうとするときに行うというもの。
相手守備が終わって攻撃に移ろうとしている段階であれば、そっからもう一回守備に移るのに一瞬なりともタイムラグが生まれる。そこで混乱をもたらし、チアゴ・デュークに仕事してもらうことができれば、それはもう相手に大変な脅威を与えることができる。
もちろん、相手は攻撃移行しようとしてる瞬間なので、ここで奪えないと逆にピンチを招くことになる。そのため、後ろの選手もプレッシングに連動してリスクを抑える工夫も必要だし、プレスをかける人(成瀬くん)もパスコースだけは限定するといった動きが必要になる。
奪いきれればそのままボールを前進させよ。とれなければ最低限パスコース限定しろ。後ろの人間はできうる限りキミのプレッシングに連動する。…そんなことをやってたのではないだろうか。
これは、シーズン開始時に木山監督が標榜した「相手コートで試合をする」というコンセプトにも通ずるものがある。(これってちょっとゲーゲンプレッシングぽい??いや、ただのショートカウンターか。)
佐野くんのような個人技がなくとも、成瀬くんの得意分野を生かした運ぶ方法や、守備を食い破る方法をちゃんと仕込んであったのですねえ・・・。
成瀬くんの仕掛けはハンイグォンが受け継いだ
左サイドでチャレンジを繰り返した成瀬くんですが、この試合では惜しくもゴールには結びつかなかった。1-1の74分、ハンイグォンと交代することになるわけですが、成瀬くんのチャレンジを受け継いだこのハンイグォンが、成瀬くんの気持ちも受け継いでか、ゴールにつながる仕事をした。
持ち味のドリブルで駆け上がり敵陣左奥深くでスローインを獲得。徳さんのスローイン⇒デュークのパワーヘディングシュートにつながる、あれだ。
成瀬くんの仕掛けが布石になったかどうかはわからないけれども、成瀬くんの仕掛けを受け継いだハンが、ゴールに結びつく仕事をしてくれたのはなんかこう、感慨深いものがありますな。
さいごに
佐野くんとはまったく異なるプランでゴールに迫るプレーを続けた成瀬くん。そのチャレンジに「推進力」を付加してゴールにつなげたハンイグォン。すべて織り込み済みで仕掛けを仕込んでた木山監督の手腕。選手の持ち味を最大限発揮させるマネジメント。
誰を出しても勝てるチームが構築できつつあることに他ならない。
次の徳島戦はどんな仕掛けをみせてくれるでしょうか!
最後にファジラボの無料記事リンクを再掲。この試合にかけたハンイグォン・成瀬竣平への熱いインタビューが載っておりますので、もう一回読んでみてはいかがか。
※ちなみに「ファジラボ」じつに充実した情報をお届けしてくださいます。たったの?月額 550円です。小遣いが許すのであればぜひご購読することをおすすめいたします。
(了)