【自由研究】2023/3/12:第4節 岡山×金沢
ついに!待望の!今季ホーム初勝利!
第4節・金沢戦の振り返りになります。
皆様の考察の一助としていただければ幸いです。
◎前説◎
ホーム開幕戦の2節、アウェー水戸での3節。ともに引き分けが続き、「こんなもんじゃねえだろう。こんなもんじゃねえだろ俺たち!!」…と、やや消化不良感も抱えつつあった我らのファジアーノ岡山。4節はホームに戻り、ツエーゲン金沢を迎えて戦いました。
金沢はここまでリーグ3連敗と調子が上がっていないが、侮れぬ相手。岡山としては、金沢には前回対戦(22年、第39節、アウェー)で痛い敗戦を喫しています。今節対戦における相手の顔ぶれは、前回対戦時とあまり変わっていません。
また、2011〜14年ごろのファジサポ世代にとってのスター・石原崇兆も今季から金沢に加入しました。岡山としては彼による恩返し弾、あるいはそれに準ずる活躍にも警戒が必要な試合となりました。
◎
試合経過・結果
前線の顔ぶれに手を加えた岡山。#18櫻川 ソロモンと#8ステファン ムークを前線に置き、その1列下には、直近の試合で途中出場から効果的な働きを見せていた#44仙波 大志を起用。
仙波が前後をつなぐリンクマンとして働き、同時に1stディフェンダーとして自軍守備を助けるなど、中盤で躍動。パス受けのタスクがあらかた軽減されたソロモンが高い位置でポストプレーできるようになり、彼が持って耐える間に他の選手がアタッキングサードに流れ込むという図式を作り出すことに成功。チーム全体で高い位置でのプレーができるようになっていきました。
最序盤を除けばおおむね岡山が押し込み気味で進めていた前半終了間際、われらの心の総大将#23ヨルディ バイス殿が押し込んで均衡を破ると、後半にも効果的に追加点を挙げた。64分に「メッシが憑依した」#8ステファン ムークが華麗なステップで中央突破のゴール。そして85分に途中出場#2高木 友也が利き脚の左でニアをぶち抜く弾丸ゴール。
守りでは切れ味鋭い金沢のカウンターアタックもしっかりケアし、無失点のクリーンシートを達成。待望の今シーズンホーム初勝利がもたらされたのであります。よっしゃああああああああああああ
それでは胡椒をけずりながらハイライト動画をご覧ください。▼
平均ポジション(前半終了時点)を振り返る
いつものように、前半終了時平均ポジションを比較してみます。
前節・前々節と比べるとあきらかに、#18櫻川 ソロモンの立ち位置が上がっていることがわかります。彼が高い立ち位置を取れた事で、全体的にも前目のポジショニングが実現。また、ギュッとコンパクトになった感もあります。
対戦相手・金沢の平均ポジションを合わせてみます。
いわゆるミドルサードと呼ばれるエリアで押し合いへし合いという構図が生まれていたようですが、この構図でどちらがボールを支配していたのか?というと、ボール支配率を見るところでは岡山なのでしょう(前半終了時点:岡山66%、金沢34%)。
中盤で圧縮された平均ポジションという構図が、金沢がもたらしたものか・岡山がもたらしたものか、そこはハッキリと断言できませんが、しかし岡山はこのせめぎ合いの中でボールを支配できていた。これは事実と言えそうです。
"引き連れろ!!"
今節のDAZN実況は江本 一真さんでした。ハートウォーミングな言い回しで、しのぎを削る両チームの熱い戦いに華を添えてくださいました。
その中で、印象に残った「言い回し」があります。それは、
…というもの。
ソロモンはこの日もトップの位置でボールを納め、前を向き、あわよくばドリブルで運び、攻撃への勇気を味方に持たせる活躍を見せていました。平均ポジションも2、3節より前目に取ることができており、岡山の攻撃を牽引していました。
強くて大きく才能溢れるフォワードということもあって、相手のマークが厳しくなりがち…ということは前回にも述べました。しかし、それは同時に、それだけ人を引き連れている⇒引き連れたことによって何かメリットがあるはず、ということでもあるんだなと、実況を聴いていてハッと気付かされました。
「引き連れた」の発生条件は
「引き連れた」と言える状態にするにはいくつか条件があるんだろうなと思います。
セカンドボールを相手に拾われないこと
セカンドボールをこっちが拾うこと
通り道(パスでもドリブルでも)ができていること&それを使って前進できていること
この辺りいずれかのプレーが出来ていたら、それは「引き連れた」効果だと言えそうです。
「チッ、ソロモンひとりに対して2人も3人も、ひきょうだぞ!」→「いや、これは、、、引き連れてる!?!?」
こんなふうに見方を変えられると、より面白くなりそうですよね。
【今節も】めくるめく変わる立ち位置
ファジアーノの今季基本フォーメーション「4-◇-2」。4-4-2の中盤をダイヤモンド型にしたものですが、これは理屈上の話。とにかく今季の岡山は、基本の布陣を試合中にどんどん変化させていきます(或いは、変化させる仕組みの構築を試みている)。
直近の記事でも同じようなことを述べてきましたが、今節もなかなかに特徴的な変化を見せていました。
下記、図にしてみましたので、その中から特に特徴的だった方々についてピックアップしてみます。(筆者見解)
<変化させてる主要な人たち>
①#43鈴木 喜丈
…左サイドバックにあって左サイドバックにあらず。
⇒ もうご存じ、偽サイドバック(ヨシタケロール)。中に入ってボランチのようにふるまう。どころか、中に入ったままアタッキングサードまで出ていくようなプレーも散見(12分あたり)。きみはいったいどこのポジションの選手なんだ。。。
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②#6輪笠 祐士
…アンカーにあってアンカーにあらず。
⇒ ①で鈴木が動くと、センターバックの#23ヨルディ バイスがそのカバーとして左に開く。バイスがいたところをカバーするのが輪笠。1列降りて、3センターバックの真ん中のような立ち位置を取る。
…のだけれど、彼もまた機を見て最前線まで突っ走っていることがある。そこから最終ラインあたりまで全力疾走で戻って相手のカウンターを阻止したり…(59分ごろ)。スタミナ無尽蔵。何を喰えばそんなスタミナが・・・。
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③#14田中 雄大
…右サイドハーフにあって右サイドハーフにあらず。
⇒ けっこう特徴的だな、と思ったのがかれの動き。サイドハーフ的に外へ出ていくことももちろんあるけど、特にこの試合の前半などは中へ絞る動きを散見。中へ絞るどころかやや左寄りからドリブル仕掛けたりもしていたはず。21分あたりでダイレクトボレー(ゴール未遂)を放ったが、この時も左めの位置から打っていた。
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④#16河野 諒祐
…右サイドバックにあって右サイドバックにあらず。
⇒ 雄大が中に絞って、1列後ろの河野さんが右サイドを駆け上がってくる。この試合前半の平均ポジションは、本職・右サイドバックらしからぬ極めて高い位置を取っていた。そこからクロス爆撃を浴びせたり、雄大はじめ仙波・ムーク・ソロモンらとの連携で崩しにかかったりと、ソロモンに次ぐ攻撃の起点のような役回りを果たしていた。
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とくに③の雄大の動きは特徴的に映りました。1列上がってきた鈴木と2ボランチコンビ風となっていたり、あるいはトップ下の仙波とコンビになっていたり。これまで、鈴木とボランチコンビを組むのは輪笠であることが多かったような気がしていますが、これはあたらしいパターンのひとつなんでしょうか。
いずれにしても、ファジアーノが見せる立ち位置の変化はかなり高度な時計仕掛けのようになっております。ピッチ全体を俯瞰して(ボールの動きにとらわれず)選手全体の動きを中心に試合を見てみると、毎試合いろんな発見があります。おそらく今後もいろいろ特徴的な動きが出てくるでしょう。
やっぱり今年のファジアーノ岡山の攻撃はおもしろいと思います。
次節に向けて。再現性を持たせられるか
3節で出てきた反省・課題を踏まえ、早速手を打ったファジアーノ。筆者の願いでもあった「今いるメンバーでひとつ勝つ」が達成でき、ひとつのキッカケ、自信を掴むことには成功したと思います。
3対0というスコアからも分かるように、やはり今の方向性・やり方は間違っていないだろうと思えます。選手もスタッフもサポーターも、一定の手応えを感じたのではないでしょうか。
この勝利を糧に目指すべきは、今節のような戦い方に再現性を持たせられるようになること。ボール保持するのを得意とする相手でも、そこから取り返して、相手のお株を奪うようにこちらがボールを保持する姿勢を見せられるか。今節できた戦い方をどんな相手にも繰り出せるようになれるか。
次節の対戦相手は、言わずと知れた天皇杯王者・ヴァンフォーレ甲府です。前回対戦時(2022年第40節・アウェー)はさんざんにボールを支配され、岡山は終始苦しめられました(なお、勝った模様)。
今シーズンはどんな戦い方をしてくるか?筆者はまだ詳しく確認できていませんが、金沢とはまた異なるスタイルの戦術で挑んでくると思われます。しかし、どんな相手でも貪欲に、今節のようなスタイルを見せながら勝ち点を奪っていきたい。
◎
世代別代表に参加するため#22佐野 航大、#48坂本 一彩が一時離脱となり、「飛車角落ち」に見えなくもなかったファジアーノでしたが、そんな見え方も今節の戦いで払拭。チームを離れていた「飛車角」も、もうじき戻ってきます(準決勝は惜しかった。お疲れ様でした)。
いよいよ、クラブ内での出場機会を巡る競争は激しくなるでしょう。現行スカッドの今節の出来を見ると、佐野・坂本だって復帰即レギュラー確約とまでは行かないはず。これはとても良い流れです。どんどん競い合って高め合って、またピッチ上であっと驚く展開を見せてほしい。
シーズン開幕前に想像していた「ハイレベルな競争」が、もうすぐ実現しそう。これからチームとして、どんな姿に成長をしていくのか、期待は高まります。
(了)