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私は私と、別れられないからこそ

「あんたは、いいよね。私と別れられて。私は私と、別れらんないんだから一生。」

このセリフは、「生きてるだけで、愛」という映画の主人公ーヤスコが恋人の津奈木に放っていた言葉だ。

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この映画を観た1年前の私と、今の私は、どちらもこのセリフに共感している。ただ、ここ1年でそのニュアンスが変わってきたように思う。

昔から、周りの人に「いい子」と評価されるため、親に「いい娘」だと思ってもらうためにいろんなことを頑張ってきたように思う。自分が「どうなりたいか」よりも、他人に「どう見られるか」の方が重要で、それを拠り所にして生きていた。

そのせいか、「誰かに評価されない自分は、価値がない」と心の何処かで思っていたのかもしれない。

高校3年生の時の挫折と大学時代の失恋の2つの出来事がきっかけで、自分の本当の感情も、本当はどうして欲しいかも、自分のやりたいことも、どうなりたいかも、全然わからなくなった。ずっと自分を責めていたけれど、それが手に負えなくなって周りにたくさん迷惑をかけた。

さらに、誰かに評価されることは「何かを手に入れること」だとも思っていたから、努力をして何かを手に入れることで自分の中の喪失感が埋められると思っていた。今考えれば、自分か相手のどちらかに大切に扱って欲しかっただけなんだろうと思う。けれどもその気持ちを認識していなかったし、一番伝えたかった相手にはどこかで諦めてしまっていた。思いはたくさん伝えたけれど、肝心なことは伝えられなかった。結局のところ、私自身も相手のありのままとしっかり向き合っていなかったのだろうと思っている。

今年の目標は「自分に素直に生きること」だった。その理由は「誰かに評価されない自分は、価値がない」という思いを拗らせてしまって、弱い部分と向き合えずごまかしたり、言い訳していたことに気がついたからだ。自分に素直に生きるというのは、「自分のありのままを受け止める」ことと同義だったのだと振り返って思う。

とはいえ、長年培ってきた「自分の価値を他人に任せる思考」は、そんなに簡単に手放せるわけもなく。上半期は、人の言動に不安になることやうまく感情を表現できないこともあった。上半期はと言ったが、今も多少ある。

けれど、ここ半年少しだけ変化を感じてきた。これを言語化するのがすごく難しかったのだが、

「私という情報(言動や容姿や肩書きや性格など)を受け取って、周りの人は色んな評価を下す。けれども、その情報に従ってどんな態度を取り、どんな言葉をかけるかは相手の価値観の問題であり、私の問題ではないこと」

また

「人の評価(や感情)はグラデーションで、決して1つの軸で測れるものではないこと」

を自分の考えとして、体の中に取り込めたことが大きいと思う。

少しずつ自分と他者の境界線がはっきりしたことで、「自分が本当にどうしたいのか」という問いをやっと、本当にやっと、自分にかけてあげられるようになった。これが、世の人々がいう自分を大切にするということなのか。本当に、自分の中にもそんな感情が存在していたのか。と思った。

休みたいときは休むし、大切にして欲しければそう言うし、大切にしてもらえたらありがとうと伝えるし、相手が自分を下に見ていると感じたら怒るし、違和感を感じそれを伝えても相手に伝わらなければ他の方法を探すし、思ったことがあればしっかり考えた上で意見を伝えることもできるようになってきた。

できる人からしたら当たり前のことだと思うが、私にとっては大きな進歩なのだ。

来年の目標はというと、このまま「弱い部分も含めたありのままの自分と向き合う」ことは続けていきたい。最近やっと、変化を感じたばかりでまだ意識して続けたほうがいいと思うからだ。とはいえ自分が自分である限り、一生そうなのかもしれない。

「私は私と、別れらんないんだから一生。」という言葉通り、私とは死ぬまで別れられない。1年前は、一生別れられないなんて地獄だと思っていた。

けれど今は、弱さを受け止め向き合って、自分を理解できると少しは愛着を持てるのだなと思っている。

とはいえ、やっと自分の輪郭を取り戻せそうになったのは、向き合うきっかけを与えてくれた友人たち、手がつけられない状態でも向き合ってくれた人たち、私のありのままを受け止めてくれる今の恋人の存在が大きい。2020年は、そんな彼ら彼女らに誠実に向き合えたらなと思っている。

この誠実の意味には、自分の思いは伝えつつも相手が望んでいることを受け入れたり、相手が何を望んでいるか、望んでいないかを想像して言動に反映させることを含んでいる。だから自分の意思に反して、気持ちを尊重することもある。しかし相手がどんな行動をとっても、自分の価値はなくならない。

誠実といえば、2020年は仕事に関しても誠実に向き合いたい。(最近「どんなライターでありたいか」がはっきりしてきたが、もっと深く考える必要があるので、言語化できたらおいおいnoteにまとめるつもりだ。)ただ、今仕事に本当に誠実に向き合えているかというと、正直まだ全然できていないなと思う。仕事における誠実の意味も、しっかり言語化して向き合っていきたい。その上で、自分がなりたい姿に近づけるように努力したい。

ということで、2020年の目標は「弱い部分も含めたありのままの自分と向き合い続けること」それから「自分と周り(仕事も含む)に誠実でいること」の2つだ。

自分とは、別れられないからこそ諦めたくない。愛着を持って、とことん向き合う一年にしたい。きっとそこから生まれる感情があるし、それが成長にも繋がると思っている。


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