【専門課程レポート】「山崎ゼミ」第6期 第1回目講義
こんにちは!
次世代まちづくりスクール「山崎ゼミ」TA(ティーチングアシスタント)の竹屋です。
4/10(月)に行われた、第6期「山崎ゼミ」の第1回ゼミの模様をレポートします。
第6期山崎ゼミのメインテーマは、ポートランド都市経営から学ぶ「まちの未来を自律的に考え、成長し続けるまちづくりリーダーの育成」です。
ゼミでは、まちや地域を盛り上げるための現状分析、戦略作り、合意形成、事業計画(企画)づくりから実際のまちの変化を作り出すまでの一連のプロセスを学びます。
そして、現状に甘えず、リスクをとって目標に果敢に挑戦し、成長し続けるまちづくりプロデューサーの育成を目指します。
さて、第1回目は「ローカル都市経営について」です。
地域経済開発のプロセス
地域経済開発の主な流れは図の通りです。
はじめに現状に関するアセスメントを行い、長期的なビジョンを作ります。
その際には「何をどのように行えば自分たちの目指すまちの姿が実現できるか」ということをある程度決めておくことが重要です。
また、「地域の中でお金を生み出すこと」「地域の外からお金を持ってくること」、この2つも重要です。
加えて、それらを実現するためには事業が必要で、地元で育てる・作る必要があります。
事業には人材が必要であり、プログラムとして体系的に考えることで地域に変化をもたらすようになります。
ビジョンの実行とともに常に成果を見直すことが必要であり、設定したKPIとともに”数値的な成果”と”質的な成果”を確認します。
戦略計画策定プロセス
戦略計画の策定において、産学官民連携でいろいろな専門分野の知識を取り入れ、色々なステークホルダーと連携することで多角的な視点で考えることができ、様々な人の思いや意見が詰まった戦略になります。
そもそもまちづくりとは?アメリカと日本のまちづくりの違いとは
山崎ゼミでは、まちづくりに関して、各専門分野の知見と経験を基に実践的な手法を学びます。
日本のまちづくりの目的は、身近な居住環境を改善することや地域の魅力や活力を高める等、市民の福祉的なことを指しています。プロセスとしては、国から自治体に対するトップダウン型(行政の都市計画)と住民や企業等から自治体へのボトムアップ型(民間のまちづくり)があります。
アメリカは日本と異なり、まちづくりを大きく分けると以下4つの分野になります。
・都市デザイン:都市空間の設計と課題解決
・都市開発:都市空間の開発・再開発
・地域開発:コミュニティの醸成、活動支援
・経済開発:雇用の創出、産業開発、金融政策
また、課題解決の2つの型があります。(参考:シン・ニホン(安宅和人氏著))
・ギャップフィル型(タイプA)
日本式、何かが良くなるためにはうまくいっていない理由を解明して一つ一つの解を出そうとする
・ビジョン設定型(タイプB)
欧米式、目指すべき姿を明確に設定して最短で行けるために道筋を立てる
そもそも経済とは?地域経済開発とは?
経済とは、人間の生活に必要なものやサービスをつくる、運ぶ、使う行為についての一切の社会的繋がり(システム)のことを言います。
そして地域経済開発とは、地域コミュニティの生活の質の向上と雇用の増加を図るための様々な政策、プログラムや活動を作ることが目的です。
各々のコミュニティの特徴やニーズによって戦略やアプローチを変える必要があります。金太郎飴のようなことはできません。例えば国交省がこうしましょう!といったことを大都市や地方都市すべてに適用することは難しいということです。
最低でも3~5年、長ければ20年くらいのコミットメントが必要で、単年度では無理があります。
短期的に変わる政治家や公的予算に左右されないためには、経済開発専門の組織が必要です。
地域経済開発家のあるべき姿
・自分のまちを愛すること
・中立な立場を守ること
・政治・経済的な影響力を持つこと
・イノベーティブでいること(変革者になる)
・起業家志向でいること
・ポジティブでいること
第1回ゼミのまとめ
今期のゼミ生の皆さんは、東京出身の方が多いですが、大阪や佐賀、そして沖縄から参加されている方もいらっしゃいました!
そして、大学に入学したばかりの方もアシスタントとして参加されていました。
職種もバラバラですが、デベロッパーやゼネコン等の不動産関連会社の方が多い印象を受けました。
今回は、まちづくりにおいて必要かつ重要な経済に関する考え方の根本を学べる内容が盛りだくさんでした。
また、私は学生時代に山崎先生が執筆されているポートランドの本を読んだこともあり、学生のころからずっと興味のある山崎先生の話を聞ける貴重な時間でもありました。
本日のゼミを振り返ると、“まちづくり”という言葉に捉われずに経済的な視点を持って取り組むことが非常に重要だな、と思いました。
また、ゼミの中でも紹介された本である「シン・ニホン」はとても面白く勉強になる本で、これまでに2回読みましたがそれでもまだ足りないと思えるほど濃い内容の書籍です。
その中で取り上げられた“課題解決”の話がとても印象に残りました。
ゼミ生からも「課題解決のプロセスについて、なぜ日本はタイプAが多く、タイプBになれなかったのか。これからタイプBに向かっていくにあたってどういうところが課題なのか?」という質疑があり、学びをさらに深めることができました。
私はタイプBのビジョン設定型の思考を持って取り組む重要性を、仕事でも痛感しています。
次回のゼミもとても楽しみです!