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タワマンに憧れてはいないけれど。
今日は、勝どきという街に行った話。
日曜の朝に訪れたせいか、街には住民と思われる人たちが大勢いた。
私と同世代くらいの夫婦や、ベビーカーを押している家族連れが目につく。
もちろん年配の方や若い世代もいたけれど、街全体がどこか「生活感のある都会」といった雰囲気に包まれている。
勝どきのような都心エリアのマンションは、年々価格が上がっていて、今や1億円を超えるのが当たり前だという。そんな話を聞くたびに、遠い世界の出来事のように思えてしまう。
私は結婚もしていないし、子供もいない。
タワマンをひょいと買えるようなお金持ちでもない。
そんな現実を目の当たりにして、なんだか急に気持ちが沈んでしまった。
別に「タワマンに絶対住みたい!」というわけではない。
でも、東京タワーやスカイツリーが見える絶景、ジムやラウンジなどの充実した共用設備、きれいで整った空間…そういったタワマンの魅力はやっぱり素敵だと思う。
もし「住む権利がある」と言われたら、そりゃあ住みたいに決まっている。
ただ、現実はそう甘くない。
タワマンに住めるのは、経済力やライフステージがある程度整った人たちだろう。
そして今の私は、そのどちらにも当てはまらない。
結婚しているわけでもないし、かといって今の給料じゃ「一人で高層マンションを購入しました!」なんてニュースにも程遠い。
もちろん、誰も私の状況を責めているわけではないし、タワマンに住んでいる人を羨んで文句を言いたいわけでもない。
ただ、日曜の朝の勝どきの街を歩きながら、まるで別の人生を生きている人たちを眺めているような気がして、足が少しだけ止まった。
普段は見ないようにしている不安や焦りが、タワマンのきらびやかな窓や、ベビーカーを押す家族の穏やかな笑顔を通して、じわりと滲み出てくる。
結婚や家庭、安定した生活…勝どきの景色に囲まれた私は、
ひとり静かに自分の現実と向き合っていた。
別に答えが出るわけじゃない。
それでも、タワマンを見上げながら「気づいた今が次へ進むスタートだ」と、前向きな言葉を言い聞かせる日曜の朝だった。