2021.3月26日 秘密ノートより 1・『ケルベロスの捕獲(『ヘラクレスの冒険』第一二の事件) & 五まいの花びらモチーフ🌸
名探偵ポワロシリーズ読書記録
これまでとは、ちょっと異なり
アガサ・クリスティー氏&ジョン・カラン氏名義の著書『アガサ・クリスティーの秘密ノート』に収録されている、幻の名作といわれている作品の読書記録を記していきます。
この著書は、クリスティ氏のノートに記された手書きのメモから、氏の創作過程を解明する研究書であり
クリスティ作品の熱心な愛好家であるジョン・カラン氏がまとめたもの。
勿論、クリスティ氏のご遺族の全面協力のもとに執筆され、公式に認可されている著書です。
その中には、さまざまな事情から陽の目を見なかった幻の作品が初収録の短編が収録されています。
上巻に収録されているのは、短篇集『ヘラクレスの冒険』に入るはずだった「第十二の事件 ケルベロスの捕獲」の未完バージョンです。
短篇集『ヘラクレスの冒険』に収録されているものとは、異なる内容のお話となっています。
短篇集『ヘラクレスの冒険・第十二の事件 ケルベロスの捕獲』の読書記録は、こちら↓
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ここからは、秘密ノート版『ケルベロスの捕獲』についての読書記録となります。
こちらにも、エルキュール・ポアロ氏にとっての永遠のヒロインであるヴェラ・ロサコフ伯爵夫人が登場します。
再開の場所は、英国ではなく。
スイスのジュネーヴ🇨🇭
ここで、彼女はとある人物をポアロ氏に紹介し
ある謎めいた言葉を残します。
ロサコフ伯爵夫人って、一体何ものなのでしょうね⁈
やけに顔が広く、いたるところで暗躍している様子。
魅惑的で謎めいた女性です。
このお話に、実在の人物の実名は書かれていませんが。
登場人物の中に、以下のように表現されている人物がいます。
《独裁者のなかの独裁者。その好戦的な発言が、自国および同盟国の若者たちを結集させていた。
中央ヨーロッパに戦争の火種をまき、それを消さないようにしていたのがヘルツラインだった。》
この未発表だった短編(ノート)が書かれたのは1939年頃のこと。
何となく、この【ヘルツライン氏】が誰をモデルにして創り上げられたのか
想像がつきますよね。
やはり、当時の政治状況をかんがみて
出版社側の判断により、娯楽の為の読物にはふさわしくないと判断されたのだろうと
そう考えるのが、妥当なところですよね。
ただ、そういった実在の人物を想起させる描写や
政治的背景といったものを、一旦忘れて
完全なフィクションとして、この短編を鑑賞してみますと
やはり、素晴らしい作品だと感じます。
短いながらも、内容は濃くて。
ハラハラドキドキのスリリングな展開に、惹きつけられます。
お伽話のような、ラストも素敵で
私は好きです。
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ご興味のある方は、ぜひ
短篇集『ヘラクレスの冒険』収録バージョンと
こちらの『秘密ノート』収録バージョンとを
どちらも読まれてみてください♪
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今回の編み物作品は、こちら🌸
『ヘラクレスの冒険』収録バージョンでは、一重の小花モチーフを掲載したので。
今回は、二重の花モチーフを編んでみました🌸
手縫い糸で編んだモチーフです。
針は、レース編み針12号を使用しました。