![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/35875794/rectangle_large_type_2_b7465c30deb23de21439a271dae266f6.jpeg?width=1200)
202010月2日 長編・16『杉の柩』 & 柊の葉
名探偵ポアロシリーズ 長編読書記録。 前回は『白昼の悪魔』だったのですが。ここで少し前に遡り、1940年刊行の『杉の柩』の読書記録とさせていただきます。
中央図書館を度々訪れても、貸出中なのか『杉の柩』に巡り合えなくて。
ふと。(たしか、中央図書館ではない、別の地区の図書館に『杉の柩』があったような…)と、思い出しまして。その図書館に足を運んだところ。やはり、蔵書の中に『杉の柩』がありました!
その図書館は、中央図書館と比べて規模も小さく、蔵書数はそれ程多くはなくて。クリスティ作品も、数点しかないのですが。幸い、この『杉の柩』は蔵書として存在していました。 なんという幸運❣️ 嬉しい限りです♪
私は10年以上前に、一度この『杉の柩』を読んでいるのですが。その時に、もの凄い衝撃を受けまして。
大変、印象深く記憶に刻まれる小説として、私の心に突き刺さっている作品でした。
その理由は
① 可憐で清らかで野の花のように可愛らしく、高い向上心を持つ女性である メアリィ・ジェラードが。何故、被害者とならなければならなかったのか? というやるせなさ。
② (えっ⁈ そんな理由で、殺しちゃったの?)という動機。と、意外な真犯人。
③ ポアロものにしては珍しい、生暖かい閉鎖的空気感。
④ 終盤の法廷劇で描かれている、淡々しているようでありながら、スリリングな展開。
以上の4点でしょうか。
特に。③の生暖かい閉鎖的空気感は、ポアロシリーズよりも、ミス・マープルシリーズ作品においてより多く見られる世界観な気がするので。
やわらかく閉ざされた村社会における事件、といいますか。
私はこういう生暖かい感じのする作品が、結構好きなので。ポアロものにしては珍しいな…と、感じつつも。この作品の世界観には好感を抱いています。(殺人事件そのものや、真犯人の行動に関しては、好感を持ってはいませんが)
さらに。新潮文庫版『マダム・ジゼル殺人事件』(雲をつかむ死』)の解説の中で。翻訳家の中村妙子さんが、「読書に質問したいことがある。」と書かれていて。その質問の中に
「この事件はこの本に五年遅れて出版された『杉の柩』のそれの設定と、ある共通点をもっているが、それは何だろうかということ。」
という質問があるのです。
この問いに、答えるには。当然『杉の柩』を読む必要があります。
私は、この投稿でその質問の解答を述べる事は控えますが。こういう、【後続の作品への誘い】となるような記述・解説は、大変素晴らしいと感じます。
アガサ・クリスティ氏作品の作品をより多く読みたいと感じる人が増え、読書層も拡がり。書店にも図書館にも、さらに多くのクリスティ氏作品が並ぶことに期待したいですね♪
☆
本日のモチーフはこちら🌲
杉ではなく、柊ですが…
常緑樹仲間ということで🌲 ご勘弁願いたく
m(_ _)m