2021.1月14日 短編・28『第五の事件 アウゲイアス王の大牛舎』 & 黒の二重小花
名探偵ポアロシリーズ読書記録、短篇集『ヘラクレスの冒険』収録作品の中から
本日は『第五の事件 アウゲイアス王の大牛舎』をご紹介します。
本家のギリシャ神話での、英雄ヘラクレスによる十二の功業の中でも、最も特異で奇妙なものだと感じるお仕事ですよね。牛舎の大掃除って…🐮🧹
既に、冒険とは呼び難い気がしますが。ただ、「冒険」ではなく「難業」という事であれば、それは間違いなく大変な難業であったろうと、納得してしまいますね。
さて、我らがエルキュール・ポアロ氏の事件のほうの、『アウゲイアス王の大牛舎』大掃除についてですが。勿論「大牛舎」は比喩であり、牛さんも牛舎も登場しません。
政界における大スキャンダルになりかねない事態に、汚職事件報道の鎮静化(お掃除)を依頼される名探偵ポアロ氏。正義がどちらにあるかは、立場や思想によって異なるわけですが。
今回のポアロ氏は、ゆすりまがいの事を行う悪質なマスコミの側を敵とみなし、誠実な政治家であると信じたフェリア氏側の味方につきます。
この姿勢に対し、賛否両論あるかとは思いますけれども。私も、自分だったらポアロさんと同様、フェリア氏の味方につくでしょうね。
それにしても。この件におけるポアロ氏の大掃除のやり方は、凄いものがありますね。フェアか?アンフェアか?─── で言えば、完全にアンフェアですよ。
敵を倒す為には、手段を選ばない。その意気込みと、灰色の脳細胞をフル活用した知恵による見事な大掃除は、まさにヘラクレス的偉業です。
私は、このポアロ版"ヘラクレスの難業"の中で、このお話が1番好きです。かなり大掛かりな大事件なのに、人が死なないミステリなところも、お気に入りなのです。
そして、本日の編み物作品は《ミニミニシリーズ 第五のモチーフ》は、黒の二重小花です。
黒です。真っ黒! それもまた、善しです😊