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新サービス開発の経緯

こんにちは結婚相談NPOの影山です。
今日は私が新サービス「カスタネット」を開発した経緯を記したいと思います。

カスタネット

私は元々ゲーム業界の人間でフライトシミュレータやツール・ド・フランスといったお堅い系のゲームをリリースしてきました。今でもゲーム業界の皆さんとは繋がりがあり、ゲーム系のニュースはそれなりにチェックしているのですが、パルワールドさんのnoteを拝読して「あぁ、こういう風にストーリーを残しておくのも良いな‥」と感じたので、休日の昼間に本noteを書いています。

AI等により、アプリ開発のハードルが下がる中、NPOのアプリ開発も増えてくるとは思いますが、ここまで大がかりなものはなかなか出てこないと思いますので、NPOの皆様にも参考になれば幸いです。

なお、カスタネットについては別のnoteアカウントを運用致します。

結婚相談NPOの事業について

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、結婚相談NPOは2013年に結婚相談所としてサービスを開始しました。当時、ほぼ全ての結婚相談所が入会に年収をはじめとする基準を設けていた中(表向きにしていなくても)入会基準を設けなかったのは画期的だったと自負しています。

当初の設立理由は就職氷河期世代の未婚化を食い止める事でしたが、結果的に当時、結婚相談所に入会できなかった、障がい者の皆様とのやり取りが増えて行きました。
障がい者婚活では一定の成果を出してきたので、後悔はしていません。
後悔はしていませんが、障がい者婚活はかなり大きな課題で、就職氷河期世代のサポートに割く時間がなくなってしまった事から「このままではマズい。就職氷河期世代が50代に突入してしまう!」という焦りは常に抱えていました。
その辺りから「自分達だけで抱え込み過ぎていないか?」「NPOとしてやるべき形は違うのではないか?」という葛藤が生まれ、遅ればせながら2021年にボランティア制度を開始。
そして数年が経過し、私が就職氷河期世代の先頭と認識している1971年生まれの方は50代に突入してしまいました。
本当に焦ります‥

識者の中には「独身者は生活保護受給者になる可能性が極めて高い」という指摘をする方もいらっしゃり、この説を明確に否定する事は難しいと思います。

そう言えば、生活保護受給者の結婚をサポートしていた時、ある政治家から「生活保護のくせに結婚!?」という発言があったのは衝撃的でした。私に言わせれば「生活保護ほど結婚」なのです。お互いに支え合っていただきたいと思っていますが、お金で苦労してきた生活保護の方は上昇婚思考が強い傾向があり、ミスマッチも多く起こります。実際、生活保護受給者の成婚は執筆時点で1組だけという悲惨さ‥

障がい者婚活や就職氷河期婚活については本当に色々な出来事がありましたが、本投稿では割愛したいと思います。

設立当初、私は創業メンバーに「結婚相談所のビジネスは10年で無くなる。運営を続けながらも、次の方法を模索し続けなければならない」と伝えていました。そのような先が見えない業界に身を置く事は躊躇するのが普通だと思いますが、それを認識した上で今までついてきてくれたメンバー達には感謝しかありません。

創業当初から婚活はTwitterで事足りるのでは?とも思っていましたが、商標の問題がクリアできそうになかったので、当時は事業化はせず、ブライダルサポーターという相談所名でIBJに加盟しています。
「抑えた費用設定」と「やる気さえあれば入会を断らない」が特徴で、実際、多くの成婚を達成してきました。その後、すったもんだが起きるまではずっと成果上位相談所として表彰されていたのが自慢といえば自慢です。
すったもんだについては、ブログかどこかに書いた気もしますが、ここではあえて言及しません。

その後、Twitter婚活の事業者も出てきたようですが、商標が取れる訳も無く‥どうしたのでしょうね。謎です。

また、ゲーム業界出身という事もあり、オタク婚活を推進していたのですが、私が障がい者婚活でテンヤワンヤしていた間に比較的大手のオタク事業者が参入してきた事により一蹴されてしまいました。

結構な額の広告費を2ch系まとめサイトに支払っていた事も聞き、これが大手資本によるランチェスター戦略というものか‥と悔しさも感じましたが、今、考えてみるとスタッフには筋金入りのオタクが居たものの、自分はゲーム以外のオタク文化には疎かったので、踏み込まなくて良かったと思っています。
そのオタク系相談所さんは今も頑張っていらっしゃいますね。素晴らしいです。

その後、色々な出来事がありましたが、一番大きかったのはやはりコロナでしょうか。オンラインお見合いで補填を試みたものの、対面お見合いが組めなくなったのは完全に想定外でした。

余談ですが、業界大手であるIBJのオンラインお見合いマニュアルを作った方は、私が先行して公開していたオンラインお見合いマニュアルを参考にしたと感謝いただいたので、間接的には、業界には役立てたのかな‥と自負しています。
コロナは本当に大変でしたが、私はこの期間、カスタネットに注力していましたので、結婚相談所事業立て直しには注力しませんでした。

結果、赤字を垂れ流している状態が続き、融資を受けている金融機関さんにも迷惑をおかけしています。お詫び申し上げます。
まわりにご迷惑をかけてばかりですね(汗

この10年での世の中の変化

結婚相談所を開始した当時、婚活の方法は以下が主流でした。

  1. 結婚相談所

  2. ネット婚活

  3. 婚活パーティー

  4. 出会い系

「出会い系」を婚活に含めるのは複雑な気持ちですが、実態はそこまで変わらないにも関わらず、「出会い系」は「恋活」へと呼び名を変え、更に「マッチングアプリ」となり、現在は主流になっています。
ようするに出会い系は呼称を2世代またぐ事によって、見事に市民権を得たのです。
出会い系業界の経営陣が集まるイメージ改善集会(恋活に変えようがテーマ)に参加した事がありますが、そこで話し合われた内容が実際に達成された実現力については感動すら覚えます。

現在のマッチングアプリがどうかは分かりませんが、出会い系の時代には確実にサクラが存在していました。私の旧来の知人が何名かバイトをしていたので色々と話しを聞いています。

当時、サクラのアルバイトは「データ入力」バイトとして募集されていました。一室に集められ、ひたすらPCでカタカタとメッセージをやり取りする。実際にアルバイトをしているのは男女半々くらいとの事でしたが、その全員が女性役だったとか。悲しい男のサガですね。メッセージを送る度にお金がかかる訳ですから、業者としてはほぼノーリスクの錬金術だったのではないかと想像します。

サクラのアルバイト達は「このモニターの先には騙されている男性が居るのか‥」と当初は憐れみを感じるそうですが、次第に感覚がマヒして何も考えなくなるそうです。

「出会いのトラブルを減らすには、この出会い系は潰さないといけない」当時はそう思ったものです。

そして、ネット婚活はマッチングアプリに近くなる事で存在感が無くなり、意外な事に婚活パーティーには一定のニーズが残っています。
(個人的には婚活パーティーは一度は経験すべきだと思っています。)

すでに私が「結婚相談所は無くなる」と予言していた10年が経過しておりますが、今も結婚相談所は増え続けているので、当初の想定よりもかなり業界が頑張っていると言えるでしょう。倒産件数は目に見えて増えていると感じていますが、事業者総数は増えているのです。まさにレッドオーシャンですね。

私自身、これまで結婚相談所として事業を続けて、結婚相談所はソリューションの1つとしてとても優秀だと判断しています。
皆さん、もっと結婚相談所を活用した方が良いですよ?

交際を躊躇させるトラブル、そして婚活にかかわる新たな問題

さて、出会い系と結婚相談所は実態はかなり異なるものだと思いますが、世の中では似たようなものと認識されている部分があります。実際、結婚相談所はつい最近まで、TVCMを打つ事ができませんでした。決済の分野でも拒否される事が多く。うちも何度も審査に落ちています。

最初は「偏見だ!」と苛立ちもしましたが、実際に運営しているとマズい相談所もあるので、ある程度は仕方ないかな‥と思うようになりました。情けない‥

繰り返しになりますが、現在、婚活市場のトップはマッチングアプリです。(実際の成婚数は結婚相談所がトップかもしれません。マッチングアプリがフォローできないので比較不可)
私が問題だと感じるのは、マッチングアプリは大衆化に成功する事で、出会い系よりもトラブルを薄める事ができた半面、元々の問題点はほぼ解決できていないという点です。

マッチングアプリの多くで既婚者は紛れ込むことができるし、マルチ商法の勧誘は排除しきれない。ホストはマッチングアプリで集客をし、パパ活のみならず最近では「いただき女子」なるものも出てくる始末。
活動者の写真はAIで無限に生成でき、今後はやり取りしている相手さえも人間で無くAIの可能性が出てくる訳です。錬金術2.0は実現可能なのではないでしょうか?

結婚相談所のジレンマ

結婚相談所は優れたソリューションだと申しました。
一方で、努力をしてきたつもりではありますが「結婚相談所は最終手段」という婚活者の印象を変えるのはなかなか困難だと感じてきました。このイメージ払しょくについては、挫折したと言えるでしょう。白旗です。

私は結婚相談所としてでは無く、少子高齢化問題の視点を大切にしてきたので、ある時から「結婚相談所業界の改善よりも、恋活の改善の方が重要」と考えるようになりました。

しかし、その為には結婚相談所以外の事業を開始しなくてはならない。結婚相談所事業で色々なテーマに向き合い、リソースが限られる中で、我々にどういった方法が可能なのか?
考える日々が続きました。

7年前の閃き

そんなある日「NPO法人 二枚目の名刺」さんの存在を知り「良い名前だな」‥と感心していた私は、どこぞから送られてきた企業調査票をシュレッダーにかけながら、昔考えていたTwitter婚活に、あるサービスとあるサービスとあるサービスをくっつける事で、良い婚活システムが作れるのではないか?と閃きました。
くっつけるサービスは私が利用していたオンライン名刺サービス「Eight」リンク表示サービス「Linktree」、それから私が経営しているゲーム会社に定期的に調査票を送って来ていた「帝国データバンク・東京商工リサーチ」です。そう、シュレッダーにかけていた調査票です‥

最近はLinktreeのクローンアプリは沢山ありますね。
帝国データバンクと東京商工リサーチは、経営者で無いとあまり馴染みがないかもしれませんが、企業の信用調査サービスです。
大企業は、この2社のいずれかに信用情報を提出している事を取引の必須条件としている事が多く、私も面倒ながら渋々、利用をしていました。
20年前の事ですので記憶が曖昧ですが、確か最初は面談(面接)があったのではないかと思います。きっと、経営者の人となりなどもチェック・報告されていたのでしょう。
その後は定期的に調査票が届き、報告(もしくは忙しければシュレッダー)する方式です。

NPO法人はこのような報告を監督官庁である都道府県に毎年するのですが、それの営利企業版を民間事業者がやっているイメージを想像してください。

こういった経験をしてきた私の結論は「出会いの場にも信用情報サービスが必要」でした。

早速、ゲーム業界時代から交流のあったロジナス社に話しを振りましたが、残念ながら当時の同社は「社会問題改善になるならば興味はあるけど、ちょっと忙しくて無理」という反応でした。
従来の婚活だけでは社会問題としての少子高齢化問題には対抗できないと考えた私は、別のパートナーを探します。

挫折

新しく探したパートナーは、私のプレゼンに関心を示してくれました。ただ条件があり、新入スタッフの教育も兼ねてというお話しでした。「実現まで何年かかるか分からないな‥」とも思いましたが、スタートする事が肝心なので実際に開発に入ります。
この時、私がプロジェクト名に「カスタネット」と名付け、定期的にミーティングをしながら2年程開発を続けた頃、残念ながらギブアップの報告を受けました。
今、考えるとサービスに適したライブラリが不足していた、Pythonベースの「技術選定」が間違えていたかもしれません。

その後、メインの結婚相談所事業をコロナが直撃し余裕がなくなってしまった為、開発は滞ってしまいましたが、開発に付き合ってくださった当時のパートナーには今でも感謝しています。この時、まだ言葉は知らなかったのですが「要件定義」の大切さを認識できたのが、現在のプロジェクトに良い影響を与えていると思うからです。

要件定義とは?:要件定義とは、システム開発などのプロジェクトを始める前の段階で、必要な機能や要求をわかりやすくまとめていく作業のことです。企画の進行とともに要件定義に立ち返ることも多く、目的の脱線を防止する役割も果たします。

出典:ITトレンド

再合流

コロナが一段落し「あ、創業してから10年経ってしまったな‥」と気付いた時、思っていたより結婚相談所業界は活き活きとはしていたのですが、労働集約型では、やはりスピード感で社会問題改善には間に合わないというのが私の結論でした。(社会問題は意識せず、利益を出すだけならば今でも参入可能かもしれません)

そこで、数年前に一旦はお断りいただいたロジナス社に近況を確認。結婚相談NPO主導で実施する体力は残っていませんでしたが、ロジナス社主導で実施する方向でGoをいただけたのです。2023年夏の事でした。

ニーズの再確認

これは小話なのですが、私が信用情報サービスのニーズを再確認した出来事がありました。

ある婚活事業者が結婚相談所のログイン画面のスクリーンショットを独身確認に使用していたのです。

「結婚相談所は独身証明書をチェックしているので、そのログイン画面が撮れる人物は独身証明書を提出していると判断します!」という言い分でした。

「しょーもないコバンザメ業者だな‥」と思いつつ、面倒なところを他人任せにするズル賢さには「自分にはできない発想だな」とも感心しました。

事業者名は忘れましたが、カスタネットのパブリックプロフィール機能は活用していただいても構いませんよ。パブリックなので。

パブリックプロフィール画面

我々が取り組むべきサービスか?想像される軋轢

私は類似サービスを開発するだけならば、様々な会社が真似できると思っていました。オタク婚活に置いて、ランチェスターの法則で痛い目を見た私には、より潤沢な資金を費やしたシステムの登場が簡単に予測できます。
出会いに関する信用情報サービスを思いついたタイミングは早かったのではないかと思いますが、似たような事を考えていた方はいらっしゃるでしょう。
ビジネス面では商標と特許でガードしましたが、モチベーション面で肝心なのは「本当に我々が取り組むべきサービスか?」という点です。

ここでポイントになるのが、変な話しですが、私の愛国心です。
愛国心と申しますのは、言うまでもありませんが右左の政治思想では無く、シンプルに日本が好きで次世代に自分の好きな日本を残さないといけないという義務感です。
もともと結婚相談NPOの創業自体も、この愛国心によるものでした。政治家になるよりも、NPOの方が結果を出しやすい筈!というロジックです。

日本にはたくさんの社会問題がありますが、喫緊の課題は少子高齢化問題であり「それ以外は他のNPOに任せよう。自分は少子高齢化問題だけに集中しよう」というのが私の発想でした。
この難敵を解消できるのであれば、手段にはこだわりません。同業者を含め、多少の敵は作っても良いとさえ思っています。

で、何が言いたいか?と申しますと「どこの国の企業かもわからない事業者にはやらせたくない」が私の本音です。

分野は問いません。もし、あなたが信用できない国の企業が日本で「信用情報サービス」を始めたら使いますか?
(なお、私の認識では信用情報サービスの先進国は「中国」です。)

疑り深い私は、一見、日本企業であっても、簡単に株を買われてしまう株式公開会社にもやらせたくないと考えました。
10年以上、地道に日本人の為に活動を積み重ねてきた我々こそが最も相応しいという結論に至ったのです。
NPO法人ですので、資金による乗っ取りが難しいというのも理由の一つです。

個人では信用できない、株式会社では第三国からの乗っ取りリスクが払しょくできない。やはり、NPO法人である我々が、信用できる国内企業と実現すべきなのだと判断しました。

結論に至った以上は、燃え尽きるまで走り続けるだけでしょう。それが我々大人の義務とまでは言いませんが、進むべき道だと思います。
本当は我々就職氷河期世代より上の世代に頑張っていただきたいのですが‥

NPOならではのサービス

さて、このカスタネット、ようやく第一形態を発表する事ができた訳ですが、7年前の閃きのままという訳ではありません。

この間、もっとも影響を受けたのが、DAOの思想です。
DAOというのは「分散型自立組織」と訳されるWeb3を代表する仕組みで、ブロックチェーン上で運営されます。特徴としては

  • 非中央集権的

  • 情報の透明性が高い

  • 誰でも参加可能

が挙げられます。

これらの特徴からDAOは極めてNPOと相性が良い(筈)なのですが、課題もあります。
それはまだ日本でお金を払ってNPOに参画するという土壌が出来上がっていない事です。この辺りは寄付文化が根付けば、そちらで補填できる部分もあるのかもしれませんが、オープンソースを利用してもある程度の運用コストは避けられないので、まだまだ時間がかかりそうです。

私はこれまでの婚活サポートで、人が不満を持つのは価値観を押し付けられた時だと感じていますので、私はブロックチェーンでは無く、DAOの思想だけを今回のサービスに取り込む事にしました。
評価基準策定部分をDAO的に一般に開放し、構築するというものです。

例えば、婚活界隈でよく議論が起こる「奢り奢られ論争」は、性別や年齢、男女公平の思想によって大きく変わるもので、ある個人が「奢らない男性は評価を下げるべき」と判断するべきではないでしょう。
また、私的にも運営がその不満の矛先にされるのは面白く無いと考えている事から、その評価の部分を透明性が担保されたパブリック領域で行う取り組みを新サービスには取り込んでいます。

最終的に残るのはカスタネットと結婚相談所という世界へ

さて、公開noteである限りは同業他社からの批判も覚悟の上ですが、結婚相談所仲間もご覧になるかもしれないので、最後に補足をさせてください。

私はカスタネットの登場によって、マッチングアプリは終焉する可能性があると思っています。軌道に乗るかは分かりませんが、そのポテンシャルはあると信じています。

ですが、一方で結婚相談所は残ると思っているのです。

それは、これまでの婚活サポートから「自分で動ける人ばかりではない」と確信しているからです。

結婚相談所は、そういった自分で動くのが苦手な方からのニーズが今後、ますます高まっていくのではないでしょうか?

結婚相談所が10年後に無くなると言っていた、2013年の私の予測は見事に間違えていました。
お詫びして撤回致します。
形こそ変わるかもしれませんが、今後も結婚相談所の役割は残る筈ですので、これからも皆さんと力を合わせて未婚化・晩婚化問題に取り込んでいければと思います。

カスタネットは婚活のみならず、あらゆる出会いのトラブルを解消するサービスを目指して参ります。よろしくお願い致します。

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