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長編小説の苦労話 『葬送の柩』

久方ぶりのnote更新ということで、今回は長編小説の執筆で感じたことや苦労話なんかをつらつらと書いていこうかなと思います。

2022年の夏、遂に我が長編小説第一号である『葬送の柩』が描き終わりました。執筆期間は約8ヶ月、構想まで含めると9ヶ月かな?いやぁ、長い戦いでした。

構想当初では小説媒体で世に出そうとは露も考えていなかったんです。ノベルゲームか何かで皆さんの元に届けられたらなと考えていたのですが、いざプロットを書いていると面白いのなんの。そのまま筆が進み小説として完成しました。

このままでは苦労も無しにあっという間に書き上げた印象を持たれそうなので、紆余曲折についても話していきましょう。

1.取材の苦労

小説を書くにあたって、取材は多かれ少なかれ必要な工程だと考えています。単に人に話を聞くステレオタイプな雰囲気の取材もありますが、私の行った取材は資料集めが主でした。

どこにどのような歴史があるのか、言い伝えはあるのか。他にも夜の森に足を運んで息を吸い、草を掻き分け、動画を撮り、そんな事を繰り返していました。

今回の長編小説は私が生まれ育ったとある地域を参考にしています。もし小説を読む機会があるならば、案外すぐに特定できるかも知れません。その地名の由来や登場している場所のほとんどが実際にこの地域に存在しています。

大きな屋敷に真っ白な病院、大きな建物に沼、神社。この小説には様々なロケーションが登場していますが、これらは全てモチーフが存在しているのです。

春、夏、秋、冬の折々に見せる季節模様と、私の故郷の情景をどう取り入れようかと思案するのがなかなかに骨が折れた。そのせいで1ヶ月に一文字も執筆できなかった期間もあったほどです。

それでも、この取材の工程が無ければ本作は完成に至らなかったでしょう。情景描写のための期間は思い返しても苦労の日々でしたが、いやはや、いい経験になったと思います。

2.精神面

これがまた厄介な問題でした。9ヶ月も執筆しており、尚且つ間に筆を取らなかった期間もある中でモチベーションを保つことは容易ではありません。

作家が執筆をするにあたって、理性も必要になってきますが、感性も確かに重要なウェイトを占めてきます。作家はこんな描写を書きたい、こんな感情を逐語化したい、そんな欲求に駆られて執筆します。

ただやはり、感情というものは足の早い魚のようなもので、感性は腐ってしまいます。時間的余裕と執筆スピードの兼ね合いによって、書きたい時に書けないことはザラです。そして気が付けば何も書けなくなる。そんな天邪鬼な感性と常に睨み合わなければなりません。

本当に厄介でした。牛歩の如く遅い執筆スピード。周囲の人は私は早筆であると言いますが、それは私が21年間常に芸術に揉まれてきたからです。作品を作る大変さ、表現の工夫、人に魅せる、聞かせられる作品を作る。その気力と根性が精神面を支えていたのでしょう。

3.技術の向上

苦労話で技術の向上?と思った人もいるかもしれません。ですがこれ、とっても厄介なんです。制作期間が長いと、その間に作者にも多少の変化が起こります。発展途上な私でならば尚更でしょう。

読み返すと納得ができない。ここの描写が甘い、ここは蛇足だ、etc。まぁ簡単に言えば、粗が見えてくる。改善していこうにも、一つの作品で一貫性は持たせたいところ。ここの兼ね合いが大変でした。

書き直しは数えきれないほどしましたし、執筆期間の半分はこの時間に消えていきました。自分の足跡を消すというのはどこか忍びない感じがしますが、必要に駆られての事です。仕方ありません。

今からこの作品を読み返すのは相当恐ろしいでしょうね。完成まで漕ぎつけた作品を書き直すのは、なんと言うか、不毛ですからね。

4. その他

その他です。雑多なことを書いていこうと思います。

私の過去作品を読んだことがある人なら、今作の雰囲気がこれまでとはガラッと変わったことに気がついたでしょう。過去作品はSF小説を書いていたので、怪異ミステリーに転身とは私自身も驚きです。

挑戦の作品だったと言えるでしょう。強い感情で動く怪異たち、その機微を如何に表現するのか。細やかな情景描写をどう表現するのか。他にも主人公語りなのも今作からですね。

今作は自分の視点から言うと、とても重要な意味作品にあたるでしょう。自分の力のブラッシュアップ、方向性の模索、知識の集積。挙げればキリがありません。いやぁ、本当に大変でした。でも、楽しかった。

まとめ

さぁ、長々と辛気臭い苦労話をつらつら書いていきましたが、いかがでしたか?ここまで読んでくれた方々に総括したとある一言を送りたいと思います。

それは

“作品は仕上げることが1番偉い!”

これに限ります。どれだけ苦労があっても、苦難が立ち塞がろうとも、何かしらの形で完成すればそれはあなたの糧になります。趣味でやっている以上どれだけ時間がかかっても構いません。ただ、諦めないでください。

これは小説に限らず、絵やモデリング、ゲーム制作、音楽、様々なジャンルに言えます。筆者である私もこの考えに至ったのは18年続けてるピアノの苦労からです。芸術家万人共通!

何かを形にする事は素晴らしい作業です。皆さんもぜひ作品を仕上げてみてはいかがでしょうか。

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