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[超短編小説]ドア

 ぎい、と開く音。あなたが開けた扉を通って私の手を引いた。そうして出た世界はあまりに広くて、あまりに狭くて。あまりに色鮮やかすぎた。
 鮮やかすぎて、私は怯えを隠せなくて。あなたの後ろに隠れる。それをあなたはわらって私の手を放す。
 ばたん、と閉まる音。
 焦ったようなあなたの声に、ドアをたたく音に耳を塞いだ。
 出るのは難しいけれど戻るのは簡単。
 私には外は恐ろしい場所だったのだ。