旅のすすめ
SEVENTEEN(通称:セブチ)がミニアルバム「헹가래[Heng:garæ]」をひっさげて6月22日にカムバックする。それに先駆けて「My My」のMVがリリースされた。
直近のカムバックは4月に日本でリリースした「舞い落ちる花びら(Fallin' Flower)」になるが、韓国では昨年9月の3枚目のアルバム「An Ode」になる。このアルバムはシックでダークな雰囲気が強く、タイトルトラックとなっていた「독:Fear」はその雰囲気をそのままに出し、今までSEVENTEENが世間で認知されてきた爽やかで清純なイメージをひっくり返すような楽曲だった。
そんなSEVENTEENの今回のカムバック。「My My」を見た私はSEVENTEENがまた新しい姿になって戻ってきたとワクワクした。歌詞も恋愛がテーマではなく、旅をすることで自分を鼓舞するような構成になっていて聴いててとても勇気をもらえるように感じた。どちらかというと一昨年と昨年にデジタルでリリースされた「A-TEEN」や「9-TEEN」に近いのではないかと個人的には思っている。
SEVENTEENは今年でデビュー5年目を迎え、変化が激しいKPOP界の中でコツコツとファン層を拡大してファンダムが大きくなってきている。また、日本でもドームツアーを予定(コロナウイルスの関係で中止となってしまったが)するほど海外での人気も高い。
5月から6月にかけてYouTubeで昨年のワールドツアー「Ode to You」をまとめたドキュメンタリーシリーズとして配信された「HIT THE ROAD」(現在も視聴可能、無料!)では、彼らがツアーを回りながら感じることや、バックステージでの姿を映していた。SEVENTEENが好きな一視聴者としてそれを見たが、アイドルとして表舞台でパフォーマンスしている姿しか見たことがなかった私は現実の重さに畏怖してしまったきらいがあった。
ドキュメンタリーを抜けて今回の「My My」に到着した私はその畏怖した感情をとっぱらってくれる安心感を抱いた。特にTHE8が一番のサビ前で歌う「急がなくて大丈夫 そのままでいい」という歌詞は彼らが歌うからこそ響くと強く感じた。
KPOPの世界で生き残るというのは時に無情に残酷だ。売り上げが伸びなければ活動がきられるのは当たり前の世界で、ツアーを回れば体調管理をこなし、プライバシーがほぼ0の生活を送り続けなければいけない。ビジネスだから当たり前だが、アイドルになるというのは生半可な覚悟では務まらない。
そんな世界で前へ前へと進み続けるためには本人たちのプロ意識と世間に送り出す作品の完成度が大きな原動力になる。アイドルである前に人間である彼らもマイナスの感情を抱くことがないはずがない。時にやめたい、辛いと思ったこともあっただろう。でも、それでもSEVENTEENというチームとして旅に出る決断を「僕が望んだ場所さ」と声高らかに歌うこの楽曲は新しいスタートを予感させるものだと思う。
ワールドツアーをやる中でよかったこと悪かったことと向き合ってきた彼らが手に入れたしなやかな強さをあたたかな歌詞とメロディーで届けてきてくれたと思うと嬉しかった。
あと一週間したら、SEVENTEENが夏を盛り上げてくれると思い楽しみに待っている6月15日。
SEVENTEENの一番星、ホシくん。誕生日おめでとう。