「のぶドラ」と「わさドラ」
声優の大山のぶ代さんがこの世を去った。「ドラえもん」を始めゲーム「ダンガンロンパ」の「モノクマ」などの声を担当した他、女優としてドラマでも活躍された。昭和アニメを代表する声優がまた1人旅立たれた。
「ドラえもん」で演じるダミ声で間延びした喋りで「ぼく、ドラえもんです」はもはや代名詞。バラエティ番組でモノマネしてと無茶振りされてこのセリフと独特の喋りを言うのは定番だった。
2005年にのぶ代さんが勇退し、水田わさびさんへ交代。いわゆる「のぶドラ(のぶ代さんによるドラえもん)」から「わさドラ(わさびさんによるドラえもん)」へ変化すると、わさびさん特有の甲高い声が「ドラえもん」として定着していった。
交代から19年で、女性のモノマネタレントなどが「わさドラ」をマネするのをよく見かけるようになった。「よよよちゃん」がやってるドラえもんも「わさドラ」だ。(「のぶドラ」と二刀流も披露している。)
交代した2005年は僕が小2になったばかりの頃。ギリギリ「のぶドラ」に馴染みがあり、生まれる前に放送された作品を近くの本屋さんでビデオ、DVDを借りまくったりしてた。2005年の映画を彦根の映画館で見たことがある。よくよく聴いてみると、加齢のせいなのか2000年代のドラえもんが完成されている感じがする。初期の方がハスキーさが違ってて、かなり早口な気がする。
一方「わさドラ」は慣れるまで早かった気がする。変わったからと言って「ラストラン」みたいな切ない感覚は抱かなかった。この頃は「近所にやってきた新快速電車」など新しいもの好きだったし、その感覚がドラえもんでもあったかもしれない。
「のぶドラ」のスローなダミ声がいいか「わさドラ」の元気いっぱいな甲高い声がいいか。どちらがいいかは人それぞれだが、僕の年代はその両方のはざまにある。個人的には、後者の方がリアルタイムで長かったし、たまに見ると「あー懐かしい」と感じる。
19年経って「ぼく、ドラえもん」のダミ声を知らない世代が増えてきた。隔世の感とはまさにこのことかもしれない。ドラえもん大好きっ子で、映画、ビデオ、DVDでたくさん見てきた僕にとってはのぶ代さんもわさびさんもドラえもんなのは変わらない。それで言えば、先代と正反対の声色でドラえもんを作り上げたわさびさんもすごいもんだと思う。
なんだかんだ言ってるが、これだけ楽しませてくれたのぶ代さんには感謝しかない。
どうか安らかに。