【労務】これから開業を考える獣医師が知っておいた方がいいこと②
こんにちは。ペット医療のスタートアップ企業を経営しているくろすけと申します。
前回に引き続き、とりあえずこれだけは知っておいた方がいいことを少しだけ書きますね。
今回は労務のお話をします。特に近年動物病院の労務管理が問題になっていて、少しずつ改善されている病院が増え始めてます。
ちゃんとその波に乗らないと選ばれない病院になってしまうのでご注意を。
それではいきましょう。
まず、労働基準の大前提として、動物病院はサービス業に該当します。
お医者さんと一緒だから〜、獣医師に残業という概念はない〜みたいなのはあり得ません。残業代を払わないのと過剰な労働は普通に違法です。
原則として1日に8時間。1週間で40時間。これを延長する場合は36協定を必ず結んで労働基準監督署に届けなきゃいけません。
動物病院でよくあるのが、朝8時に出勤して、朝処置やお散歩など1時間準備する。
9時から午前の診察開始で12時に終わらず、ズルズル行って13時に診察終わり。診察終わったらすぐにオペ(13時から15時まで)をして少し休憩をする。
30分休んで、15時半から午後の診療準備を始めて16時から午後の診察開始。19時に一旦閉めるものの20時まで片付けなどをして帰宅。
これ、1日に11.5時間働いていて休憩時間30分なんですよね。(8時間働いたら必ず1時間休憩させないといけない)
動物病院は100%規定内なんて無理なので、36協定はしっかり結びましょう。ちなみに36協定は周知義務があるので全従業員がわかるようにしないとダメなんですよ(私がこれまで働いたいくつかの病院では全くそんなのありませんでしたが)
そして、36協定結んでも時間外労働って月45時間、年間360時間しかできないですよね。衝撃ですよね。
なので、毎日3時間残業させてたら出勤日20日で残業60時間。余裕でアウトなんですね。
出勤日が20日あるとしたら朝の準備を当番制にしたり、最後の診察は手術に入る人を除いてしっかり休みを取らせる。18時以降の診察も当番制にするなど調整が必要になってきます。
ちなみにもちろん残業代も時間外労働は1.25倍なので最低賃金が1,000円の地域で、時給1,000円(月給制でも年俸制でも払わないとダメ)で払っている場合は時給1,250円で計算することになります。
なので月45時間×1,250円=56,250円の残業代を支払うことになります。
見込み残業代を20時間分として給料を設定している場合も当然ですが、残りの25時間分を支払わないといけないので注意してくださいね。
スマホで簡単に調べられる時代だからこそ辞めた従業員さんから訴えられるケースが増えてます。
そして、しっかりと労務を整えることで従業員さんが生き生きと長く働ける環境を作れて選ばれる病院になっていけるんではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?今回は労務について少しお話ししてみました。動物病院は自分が新人だった頃に教わった常識から大きく変わってきていて戸惑いもあると思いますが、少しでも参考になれば嬉しいです。(少しずつ情報追加していきます)
わからないことがあれば気軽に相談してください。