豚コレラでの殺処分
時間が経ったし、もう公務員でもないので私が行った豚コレラでの殺処分について少し書きたいと思います。獣医学生やこれから公務員獣医師になろうと考えている方の参考になれば幸いです。
1.豚コレラについて
今回の豚コレラが日本で最初に発見されたのは2018年の9月に岐阜市の農場でした。この時は対岸の火事という感じで、岐阜や愛知にいる友人などの心配をしていました。(人に移ることはないが、激務で体調不良や精神的にきつくなるため)
それからなかなか終息せず、他県へと広がりついに2019年9月関東で感染している豚が発見されました。
2.殺処分について
私がいた保健所と豚コレラを対応する家畜保健衛生所は全く部局が違うため、普通だったら全然関係ありません。しかし、今回は違いました。豚舎の全頭処分のため、保健所側にも人員を出すように指示があり、殺処分要因として駆り出されました。
殺処分の方法は子豚と肥育豚、繁殖豚などで全然違いました。
・子豚はふくろに15頭ほど詰めて一酸化炭素ガスを入れての窒息死。
・肥育豚、繁殖豚は首のところに電極を当てて電気ショックで焼き殺す。
それはとても安楽死とは程遠いものでした。
逃げる子豚の足を捕まえて、1頭ずつ袋に詰める。袋を締めて一酸化炭素ガスを注入すると1分程度でさっきまで元気だった子豚が全員死んでしまっていた。その死体をもとの場所に戻すと隣にいる母豚が動かなくなった子豚を鼻で何度も何度もゆすっていたのがずっと忘れられません。物凄くショックでした。
肥育豚は、大きめの布団バサミのような機械で首を一気にハサミ込む。はさむと「ピギィー」という叫び声をあげながら死んでいきます。今でもあの叫ぶ声が耳に残っています。半年以上経った今でもまだ夢を見ます。
しかも、普段やりなれてない人が大半だったので、電気ショックが甘く、殺せてないことは何度もあり、もう一度苦しめないといけないことは多々ありました。本当にかわいそうでした。できれば二度とやりたくありません。
3.まとめ
これが殺処分の現場に行った感想です。
ただ、誰かがやらないといけない。そして、我々、獣医師にしかできないことです。これにより、蔓延を防げたため、助かった農家さんはたくさんいます。手技や方法については改善し、もっと苦しまないかつスピーディーにできると思いますが、今の現状でできた精一杯だったとも思います。
今回のことは悲惨でしたが、二度とこのようなことが起こらないようにしようと思って行動する家畜防疫の獣医師が1人でも多く増えることを願っています。
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