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ネット上の誹謗中傷への対策ー発信者情報開示制度の試案

ネットでの誹謗中傷は、ほぼ全て、匿名者により行われます。責任を追及しようとすれば、発信者情報開示手続により発信者を特定する必要があります。

方法としては、民事、刑事がありますが、警察は、事件化を露骨に嫌がることが多く、民事手続に依らざるを得なくなることが多くなりがちです。とはいえ、そういった発信者の特定が、現状では手間と時間、お金(弁護士に依頼すればどうしても費用が発生します)」がかかり、被害者救済が迅速に行われなくなっている問題があります。

改革のための1つの方法としては、発信者情報開示に関する公的な訴訟外紛争処理機関(ADR)を作り、準司法手続として、法律家が、被害者の申立に基づき、プロバイダーに対して、プロバイダ責任制限法の要件を満たせば発信者情報開示を求めることができるようにして、プロバイダーには、裁判所への不服申立の道を与えつつ、多くの紛争ではそのような訴訟外紛争処理機関で手続が完結し、発信者情報開示が行われるようにすべきではないかと思います。

プロバイダー側としても、その手続で、裁判を先取りしたことが行われれば、裁判になった場合の負担を軽減できますし、メリットがあります。裁判所に不服申立しても結論が変わらないほど、迅速、充実した審理が行われれば、プロバイダー側も、わざわざ出訴しようとは考えないでしょう。

プロバイダー(電気通信事業者)には、そのような訴訟外紛争処理機関に協力する努力義務を法で課し、協力しない場合は、機関から総務大臣に報告して、合理性がない非協力が続き悪質な場合は免許停止、取消にする手もあるでしょう。

海外にあるプロバイダーの場合、日本国内でサービスを提供する場合は、そのような訴訟外紛争処理機関に協力する努力義務を課して、協力しない場合は、課徴金を課すとかサービスの提供を禁じるようにすれば、協力せざるを得ないでしょう。

こういった措置は、その気になればすぐにできるので、その辺から始めてみるのも一計かと思います。

                                  以上


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落合洋司
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