平等・透明性
東京オリンピックに関連して、2月12日のニュースに以下の記事がありました。
『女性蔑視発言の責任を取り、辞意を固めた東京オリ・パラ大会組織委員会の森喜朗会長(83)から後任に就任要請された川淵三郎氏(84)が、会長職を受けない意向を示していることが分かった。2人は11日に東京都内で会談し、川淵氏は関係者の了解が取れていることを条件に受ける意向だった。しかし、森氏の後継指名を巡っては「密室政治」と批判が上がり、一夜で撤回することになった。
その後、橋本新会長に決まりましたが、ここで不可解なのは「密室政治」というやつですね。川淵さんがしゃべってしまっているので密室政治じゃないのではないかと思うのですが(ちょっと屁理屈?)、密室かどうかは問題ではなく、ワタシが疑問なのは、次の人が適任かどうかという点だと思うのです。残念ながらその点が全然焦点にあたっていないようです。
「女性蔑視と思われる発言」問題が発端なので、次の会長は女性にって言う圧力が働いたのだと思います。こうすれば、「女性蔑視と思われる発言」を反省している点を強調できて、世間の風当たりをそらすことができるし、それに加えて、女性の活躍の場を広げたいという勢力の利害が一致したのではないかと思うのです。
しかし、ワタシには、この透明性とか、平等って本当にいいことなのでしょうか?という疑問があるのです。
独裁だろうが密室だろうが、次に担う方の行動に、多くの庶民が満足すればそれで良いのではないかと思います。ある意味独裁であっても、庶民のための政治をして、うまくいけば、それはそれで良いのではないでしょうか?例えばシンガポール。シンガポールは明るい北朝鮮と言われています。シンガポールは経済活動は基本的に自由で、資産家に有利な税制となっているので世界中から富裕層が集まります。日本の富裕層も住んでらっしゃいますね。そのうえ、バスなどの公共料金は安く、低所得者向けの家もある、つまりセーフティネットが用意されています。明るくて暮らしやすい制度が整っています。一方で、唯一無いのが言論の自由やデモの自由です。あからさまな政府批判は処罰の対象となります。公務員に関しては、給与は相当な高給だそうです。これは、優秀な人間を公務員にすることと、汚職をなくすことが目的だそうです。余談ですが、シンガポールの公務員から聞いた話ですが、最も待遇が良いのは国防省だそうです。経済優先の国だとばかり思っていましたが、はやり国を守ることがいかに重要か、ということですね。尤も、リー・クワンユーのいたシンガポールを占領したのは旧日本軍なので、それが教訓となったようですが。そんなリー・クワンユーは、ほぼ独裁政治でしたが、見事な経済政策によって第2次大戦中に日本軍の占領によって荒廃し、もともとマレーシアの一部だった都市を世界でも有数の独立国家に成長させました。詳しくは「リー・クワンユー回顧録」をご覧ください。
つまり、平等や透明性が重要な時はありますが、最も大事なのは実行力であり、時には強権であり、組織・国を良くするということだと思います。リーダーが優れた人物であれば、プロセスはどうあれ、その人物が担えば良いのではないかと思うのです。橋本さんは元オリンピック選手だし、議員の経験はあるので、適任かもしれませんが、スポーツ組織の運営という点では川淵さんの方が実績・経験があるので適任だったかもしれません。東京オリ・パラはコロナ禍で最も難しい運営が必要で、且つ、開催までに十分な時間がないと思いますので、経験豊富な方に大会委員長を担って頂ければ良いかったのではないかと思うのです。これが、全くの素人や門外漢が指名されていれば、当然ワタシも声を上げたと思います(届かないと思いますが)。ワタシは川淵さんが委員長でなくて残念だなあという思いとともに、平等・透明性という名の圧力で、大会がうまくいくのか、ちょっと不安に思っています。台無しになるのでは無いかという懸念もあります。
もちろん、密室政治で特定の人にだけ利益誘導するような変なリーダーが選出されてしまうとそれは困ってしまいます。しかし、森さん辞任後の一件に関しては、密室でも問題なかったのではないかと思います。なんとなく、女性のリーダーの人数を増やしたかった勢力が働きかけた結果ではないかと勘繰ってしまいます。
男性か女性かが問題になってるうちはジェンダーフリー社会にはならないのではないかと思っています。はやくジェンダーフリー時代になると良いと思っています。