「ファミリービジネス大国 日本における福岡の企業から不動産事業を考える」
福岡県太宰府市でのオーナー勉強会では、先々代の家を再利用することで、地元太宰府天満宮の新たな拠り所を創るべく複数の新規事業に取り組まれている鎌田ファミリーから家族経営に関わる重要な概念を学んだ。
また、同族経営をされる私の同級生の実家「平助筆復古堂」は、1501年創業の九州で最も古い企業として知られ、福岡市中央区春吉の店舗を今、話題の自社テナントビルに建て替えられての新規事業に取り組まれている。
それをきっかけに「同族経営」の可能性を調べてみると、それまでの閉鎖的で時代遅れなマイナスイメージから、実は世界的なサスティナブル経営の趨勢であり、しかも業績の良好さからその優れた経営形態が見直され、「ファミリービジネス」という経営概念の研究が進んでいるという。
日本の創業100年以上の企業は約3万3千社とされ(うち福岡県は847社)、世界の100年企業のなんと41.3%を占め(2019年帝国データバンク)、長寿企業率は圧倒的世界No.1。しかも、その9割がファミリービジネスとも言われ、上場企業では5割以上。トヨタ自動車、パナソニック、サントリーなど日本を代表する企業はファミリービジネスであり、日本はファミリービジネス大国だった。
その長所を考えてみると、①所有と経営の一体化による企業価値最大化 ②重大な経営判断における意志決定スピード ③サラリーマン社長に比し社長任期が長く、長期戦略が可能 ④次世代の時代を読む長期的視点によるサスティナブルな経営思想 など、一族の存続に関わる経営は、危機感・真剣さ・責任感のレベルからその効用は計り知れない。
翻って、同族経営・持続的経営がスタンダードに思われる不動産事業はここから何を学ぶべきか。私も100年企業を目指しているなかで、今後の福岡のファミリー企業、老舗企業から目が離せない。
【参考】
「業歴 100 年以上の「老舗企業」、全国に約 3 万 3000 社」帝国データバンク2019/1/8
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190101.pdf
「200年企業Ⅲ」p270 日本経済新聞社編:日経ビジネス文庫2013年
「〈経営戦略論〉ファミリービジネスの強さと課題」早稲田ウィークリー18MAY2018
https://www.waseda.jp/inst/weekly/academics/2018/05/18/38269/
ASKUL Furnitureオフィスを改善するヒントになるサイト
世界が注目する「日本の同族経営=ファミリービジネス」の秘密~日本経済大学大学院 特任教授 後藤俊夫氏インタビュー~2019/03/13
https://www.shigotoba.net/expert_interview_1902_sekaigachumoku.html
(家主と地主 「8都市ニュース」 2021年9月号vol.132 投稿準備現行より)