『女王ヴィクトリア』第2話
S1E2「失えない味方」/ Ladies in Waiting
ここではTVドラマ『女王ヴィクトリア』のあらすじを追っています
そして世界史の流れを意識しながら
ヴィクトリア朝について語っています
*ネタバレ注意*
主に人物関係・政治関係メモ中心です
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1819年 5月24日 女王ヴィクトリア誕生
1830年 伯父にあたるジョージ4世逝去を受けての
もう一人の伯父にあたるウィリアム4世即位
これでイギリスの次期王位継承者であると決定になります
1837年 さらにウィリアム4世逝去を受けての即位
▽この年からドラマはスタートしています
そして
1838年 戴冠式
▼この後から◆第2話◆では扱っている流れです
1839年 首相メルバーン
英領ジャマイカの奴隷制度廃止法案を議会に提出
5月 寝室女官事件
5月24日 女王ヴィクトリア誕生日
▲1か月強くらいだろうかという期間ですね
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冒頭のシーンは
叔父様と準男爵ピールとの会話から始まります
女王ヴィクトリアの亡き父親には沢山兄弟がいたのですが
イギリス次期王位継承者に当たり
女王と大変な利害関係があるのがこの叔父様
カンバーランド公アーネスト ハノーファ国王
準男爵ピールはトーリー党所属です
トーリー党は保守党の前身にあたります
叔父様がトーリー党支持者なのがよくわかるシーンなのですね
ホイッグ党の現首相が子爵メルバーンです
ホイッグ党は自由党及び自由民主党の前身にあたります
メルバーン首相は女王ヴィクトリアの心を掴んでおり
今や「メルバーン夫人」という言葉までささやかれるようになっています
原題はLadies in Waitingでこれは女官の事で
女官達を巡るドラマになっていますが
ここではBedchamber crisis≪寝室女官事件≫を指すのでしょう
1839年5月に起こった戴冠式の翌年の出来事です
まず
1839年 ホイッグ党メルバーン首相は
英領ジャマイカの奴隷制度廃止法案を議会に提出
5票差でかろうじて庶民院を通過しましたが この僅差を受けて
5月7日 首相メルバーンは辞意を女王ヴィクトリアに報告します
引き際がよくわかっている点が流石ベテランです
女王ヴィクトリアのショックははかりしれません(荒れてます)
首相メルバーンは 自分の所属のホイッグ党ではなく
トーリー党ではあるがとウェリントン元首相を推しました
5月8日 2度も首相経験のあるウェリントン元首相は
もう年配者であるのでこれを理由に
先王ウィリアム4世時代に第1次ピール内閣を組閣した
やはり首相経験者であるトーリー党ピールを推します
つまりホイッグ党メルバーン首相も認めてはいたであろう最大の政敵です
さて女王付の女官が議員の妻であるというのは興味深いシステムですね!
そして政権交代なのであるから
君主は当然トーリー党中心の人事に従って
全員をホイッグ党からトーリー党議員の妻たちを女官に交代させるか
あるいは平等にどちらの党からも 同数採用する のが公正な姿勢です
次期首相推挙者ピールとしては当然の提案でした
自分の組閣の準備の為の事務的な確認作業に過ぎなかったのです
5月9日 とーこーろーがー女王ヴィクトリアは けんもほろろに
自分の私的な感情を優先してしまって
兼ねてからの自分のお気に入りで もう人間関係ができている女官達を
そのまま交代などさせないとつっぱねてしまいました
しかしこの女官達は皆ホイッグ党議員の妻たちです
トーリー党党首ピールは こんな状態では
女王の認めた首相として組閣することができないのです
トーリー党は君主に仕事を邪魔されたようなものです
このように政治的に不安定な状態になると
血縁者たちも水面下ですぐ動いているし
君主はいかなる時も油断がならないのがよくわかります
このように周囲の説得に耳をかさず
女王ヴィクトリアが何日も譲らなかったので 結局周りが折れた形です
もうイギリスの為には
トーリー党に政権を譲る時期だとよくわかっていたのに
落ち目のホイッグ党首相メルバーンは存続ということになるのでした
ただしこんな風に理性的ではない
女王ヴィクトリアの強情で感情的なふるまいは(可愛かったけど)
女王をコントロールできる人間と結婚させちまえと
いう流れを生んでしまうし
実際にもう結婚は十分できる年なのでした……
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https://www.imdb.com/title/tt5137338/
▲最新情報はIMDbデータベースで
https://www.mystery.co.jp/programs/victoria
▲現在シーズン1エピソードガイドが見やすい「AXNミステリー」Mystery
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