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贅沢は罪の味?

今、少しドキドキしている。

何故なら私は今日、旦那に内緒で一人でケーキを食べようとしているから!

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 20年前香港に来た頃、ケーキのマズさに驚きました。粗いボソボソのスポンジケーキ、すごく甘ったるく、しかも派手な色に染められたバタークリーム。彩りに使われているフルーツはことごとく・・「酸っぱ!

・・・え?コレ、何の罰ゲーム?食べる必要ある?

そう、香港ではケーキを食べる必要がありませんでした。

食べない方がマシだから!

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唯一まともに食べられたのはチーズケーキ。
チーズケーキだけは日本と比べても遜色のないものが食べられました。だから香港で食べるケーキはチーズケーキ一択でした。

(ちなみにイタリアンレストランで食べる本格ティラミスは文句なく、と言うより「今まで日本で食べてきたティラミスって何だったの?!」と思うくらい感動の美味さでしたが、パスタもピザもボリューミーで、かなりの高確率でデザートまでは行きつけないので、美味しいと思いつつ全然頻繁にはありつけない代物でした。)

そして会社のローカルスタッフの一人が、チーズケーキ作りに凝り出してからは、ほぼ三日を挙げずチーズケーキが食べられるようになりました。凝り性らしい彼女が作って来てくれるチーズケーキは、そこら辺のお店のよりもずっと美味しく見た目も美しく、焼いたものもレアのものもハイレベルなものが食べられるようになりました。

しかし、

実のところ私は満足できていなかったのです。

そもそも私は生クリームが好きだったから。


それはフランスなど西洋のケーキ屋さん、アニエスベーのアニエスカフェとかでも私の欲望を満たしてくれる生クリームケーキはありませんでした。

日本の、口の中に入った瞬間、雪のように溶けてしまう生クリーム。噛みしめる事も叶わず一瞬で溶けてしまうのに、あの鼻を抜けるような香りと濃厚な余韻が口腔内の隅々まで伝播する、繊細な中にも確固たる強さを持つ無敵の生クリーム💗

 時は経ち、日本のケーキ屋さんもどんどん進出してきて、私の思い描く最高の生クリームも簡単に口にできるようにはなりました。

中でも特に、生クリームをふんだんに味わう事のできる生クリームたっぷりのロールケーキを看板に掲げたお店Baby Moncher(べビー・モンシェール)が店舗展開した事で、「ロールケーキではなくほぼ生クリーム」と呼べる品「堂島ロール」(一切れHKD32、約450円)が香港で食べられるようになったのです。

https://www.instagram.com/explore/locations/86257134/baby-mon-cher/

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ただ、べビーモンシェールのお店は私の家からは一時間くらい移動しないといけない上に、旦那KはケーキというものにHKD40も出すのが耐えられないようでした(安い大衆食堂ならご飯が食べられる値段です)

そこに!

あの、シャトレーゼが香港進出してきたのです。

シャトレーゼは子供の頃から私の地元にもありました。当時はただ「安い」が売りのアイスキャンディメインのチェーン店で、学校のクラスメートの間でもとても人気がありましたが、シャトレーゼ独特の味は、当時子供の私には美味しいと思えませんでした。(ヘルシー過ぎたのかな・・)

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子供の私がアラフィフのオバハンになるほどの時を経て、シャトレーゼはどんどんと取り扱う品目を増やし、たゆみない改善によって大成功を収めていました。いつの間にか、私が一時帰国をしても母がシャトレーゼのお店に色々なお菓子を買い出しに行くまでになっていました。

そのシャトレーゼが2017年にA-1ベーカリーという香港進出30年のパン屋さんとタッグを組んでダブルネームで香港に出店してくると、その後あっという間に香港内でも支店を増やし、今年になって私の家から徒歩10分のローカルショッピングモールにもできたのです。

ケーキ、和菓子、おかき、ブッセなどの洋菓子、アイスクリーム・・・それが近所でも気軽にしかも格安で買えるようになったのです。

この20年の間に、そこらへんのローカルのパン屋で販売するケーキも、外国ケーキと同じようなHKD40越えの値段をつけているものも増えました(味も昔と比べれば確かに美味しくなりました)

つまり、香港の人たちもケーキを買うのにHKD40越えは、もはや「ありえない値段」ではなくなって久しいのです。

シャトレーゼをご存知の方はおわかりだと思いますが、日本直輸入でも価格競争力があるのです!

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近所にシャトレーゼが開店した時も、嬉しくてすぐKに話し、ここのイチゴショートを食べたいな~とアピールしました。

ところが、ある日Kが仕事から終わってシャトレーゼのケーキをサプライズで買ってきてくれたのが・・・

「チーズケーキ」

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超プレーンなベイクドチーズケーキ。香港のケーキが美味しくなくて食べられない時代にtoo muchに食べた品

第一、私はケーキが食べたいんじゃない!生クリームが食べたいんだ!!


(*勿論チーズケーキも美味しくいただきました)

後日、私が店の前を通りかかってウインドーケースを覗くと、どうしてKがチーズケーキを選んだのかわかりました。

ウインドーケースの中のケーキは、どれもキラキラ宝石のように美しく一切れHKD40~70(約550~1000円)する中、ベイクドチーズケーキだけHKD25でした。

(チッ、ケチったな・・・。)

と思いました。

でも、実は私にチーズケーキを買ってきてくれた夜、Kは自分用にはロールケーキを買ってきていました。そのロールケーキはケーキのショーケースとは別スペースに置かれたHKD15(約200円)のモノでした。こちらは更に安いから自分用、と思って買ったらしいのですが、ここに私の欲する生クリームがあったのです。

Kはクリームはそんなに好きではないので、この日真ん中のクリーム部分だけを私にくれました。

それからです。たまにKが気が向いた時にロールケーキを買って帰って来てくれるようになったのは。

何てったってHKD15という激安価格。ローカルのケーキだってここまでの価格のものはもうなかなかありません。

でもこのHKD15で味わえるのは紛れもない日本の雪解け生クリーム、旦那は他のケーキを買うより安上がり。まさにWIN-WIN!

いつもはKが一つ買って帰って来て、二人で半分コするシャトレーゼのロールケーキ。私は一人で一つ食べたいという欲望に駆られて、お昼にとうとう買ったのです。

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そして、森永純ココアでいただきます。

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あああ~・・生クリーム・・美味い!幸せ・・・。

そして一人一つ食べるという、この背徳感・・・。


・・・至福・・・!



でも、しばしの幸せに浸った後、私は気づいてしまったのです。


周りのケーキは別になくても、真ん中のコレだけで至福の境地に到達出来てしまう事に。

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・・・という事は、一人で一つ食べなくてもいいじゃん、と思ってしまったのです。

そして、夜。


仕事から帰って来たKが私に「お土産」とくれたもの・・・。

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あうちっ!

私がこっそりロールケーキを一人でペロッと食べてしまった昼下がり。その舌の根も乾かぬうちに、今度は晩御飯のデザートにシャトレーゼの抹茶ロールケーキ・・・。

「こっちの大福はユウが明日のおやつに食べたらいいよ」(注:Kは和菓子に興味なし)


何と優しい!
ぬぬぬ・・・Kよ、すまぬ!
浅ましい嫁で、食い意地張ったデブオバハンですまぬ!
こんなオバハンをいつも甘やかしてくれてありがとう(T_T)

色んな気持ちが渦巻きました。

私は、Kとロールケーキを半分コしながら、もうケーキを独り占めなんてするまい、と思ったのでした。

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ハザカイユウ
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