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心理歴史学

『2万年後の銀河』

第三部「ウォンダとガールの地球探訪」 
前編 

前史


銀河暦 12028年 
 ダニール・オリヴォー、宰相を辞任。ハリ・セルダン、宰相になる。
銀河暦 12038年 
 ハリ・セルダン、宰相を辞任。
銀河暦 12040年 
 ウオンダ・セルダン生まれる。
銀河暦 12048年 
 ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
 ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦 12067年 
 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委  員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニック、ファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。

あらすじ


 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。
 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。ダニールは、以前にしたように、ヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話し出した。
 ダニールはガールの非凡な閃きを強く受けとめて絶句する。
 次にハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!
 わたしYi Yinのサイエンス・フィクションはアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズをほぼ下敷きとして哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれている。

 ダニール・オリヴォーは、次に、その足で、地球の復興と銀河復興に向けて、かねてよりハリ・セルダンの構想であった、第1と第2ファウンデーションを補強するもうひとつの構想を得るために人類の故郷の地球の意味と人類生存の意味の源泉を知ろうと地球に向かう。
 地球の焼け爛(ただ)れた放射能防御シールドを張って短い時間の探訪を成し遂げた。
 ダニールの載せた宙航船がまさに地球から離れようとしていたやさき、ダニールは地表からの一条の光を受けた。

 廃墟になったカッシ市の上空でダニールの船は、いよいよ地球を離れようとしていた。

 超高度に仕上げられたレオナルドはすでに十分、会話の相手になっている。
 いわゆる世界初の定住文明はハプロタイプD の種族から開始される。
 ハプロタイプ Dの種族を核として後、キナ方面から多様な種族を吸収して後のニフ人がキナの東の列島の初の住人となる。
   そしてずっと後の室町文化において「結い」の生活様式は「わび・さび」に結晶化された。その中心的象徴が江戸に築城した太田道灌と紅皿の逸話なのである。
 そうしたダニール・オリヴォーは、人類が銀河復興をなし得るのには、実際上、ロボットではなく、人間自らがが直接、その大業を完遂しなくてはならないとの深意から二人の人間(男子一名、女子一名)を選んで、地球探訪に赴かせるようにした。
 選ばれたのは、後に第1ファウンデーションの設立の役に携わったガール・ドーニック。第2ファウンデーションの設立の役に携わったウォンダ・セルダン(ハリ・セルダンの孫)であった。

前話まで



第一部 ダニールの地球探索
第1話 探索のはじまり
第2話 Synnax 
第3部 精神感応者
第4話 What a genius !
第5話 ガイア

第二部 ガイア
第1話 来たかった、来たくはなかった
第2話 ピーター・フェルナンド・ドラッカー
第3話 アルベルト・アインシュタイン
第4話 ヤマブキ
第5話 時間も感応できる

第三部 「ウォンダとガールの地球探訪」
前編 心理歴史学

第1話 狂乱
第2話 聴かずんばこれを去らん
第3話 もう一つの任務
第4話 Y市の謎、おそらく蝶番の謎
第5話 ウォンダ・セルダン

後編 4つ葉のクローヴァー

第6話 What on earth !
第7話 地球は一つの生命体
第8話 クローヴァー
第9話 パークサイド
第10話 星界の涯

これより本編


第1話 狂乱



「もとはといえば熱処理人夫だったユーゴ・アマリル。その彼がハリを助ける心理歴史学の片腕になろうとは誰も予想できなかった。ハリは分身のように彼を溺愛した。ユーゴは55歳だった。その分身が私であった。」(『ハリ・セルダンの生涯』ガール・ドーニック著)

 (全文、ガール・ドーニックの独白)
 なんたる事態だ。私の技能で大数学者の手助けができると、このトランターに来たというのに、彼と話したのも三十分程度で、その場面で今度は裁判に引き込まれたなんて!禁冷計(チン・リンジ)が直接裁判に出て来るなんて、ただ事じゃない。宰相であり大執政官なのに。何も聞いてない。ヒューミンさんからも。バッグのなかに、クレジットだけは十分残ってる。どうしたらシンナックスに帰れるかだ!

 名宰相だったデマーゼルの後継者として指名されたセルダン教授が宰相になって、この私の目の前でその前宰相が拘束されるなんて考えられない!
 私もこのまま牢獄に閉じ込められるのか?このまま死刑に処せられるのか?
 先ほど、官憲が入り込む前に、ハリ教授は何か言ってた。
 「これは私が仕組んだものなのだ。」と?!この禿げジジイ!あんたはどれだけいかれてるんだ!

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