ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第6話 ヴォイジャー1号
188第6話ヴォイジャー1号
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第6話
ヴォイジャー1号
あらすじ
ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。
それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。
人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。
R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。
彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。
そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。
放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。
案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。
流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。
ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。
その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。
その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。
ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階でかつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。
ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。
地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。
その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。
1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。
そこにダニールとペイリー・リャン(当時19歳)が待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。
それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。
ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。
ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。
彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。
ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。
ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。
そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。
イルミナの歴史消滅からの復興という大事業の伸展の裏で、彼女のホントの正体を遠回しに吐露する。
ミーターは、それに知ってか知らずにイルミナに向かって、「アルカディアの魂君」と呼んだ。
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ミーター イルミナ、アルカディアの悲願の一つがこれで成就した。アルカディア自身、不死の従僕様に会いたいと言ってたんだ。
イルミナ、お前って、コンポレロンの時に起きた自己覚醒で、ダニール・オリヴォーの精神と直結して、人類歴史消滅の大転換を成し遂げたんだ。ダニールは、俺にしてみれば、人間以上に人間らしい存在だ。そのダニールとアルカディアの精神合一によってなされたのだ。
おかげでこれから銀河全体に亘って徐々に歴史消滅以前の地球文明、銀河文明の知識と情報が、ながい眠りから呼び覚まされたように回復していく。
お見事で、感無量だ。有り難う、イルミナ、いや、アルカディアの魂!
それに、ダニールの代理人、ペイリーさんがお前の側にいて、証人となってる。
俺たちの次なる仕事が待ってる。
イルミナ どういたしまして、ミーターさん。
私は、当然のことを精一杯やっただけです。
おおかたは、ペイリーさんのパパさんと、ミーターさんのお手柄です、ボス!
ミーター お互い誉めあってどうする!
ペイリー ミーターさん、私たちの次なる使命とは?
ミーター それはだな、混沌に化した銀河の復興、新しい生命観の現出だ。それは星々間の様々な軋轢の克服、人々の精神的退廃、戦争の悲劇、病気、貧困からの回復。無秩序からの解放。
そのためにはまず、第1ファウンデーションと第2ファウンデーションの絆を回復させることが先決だ。
それから、他の星々もそれぞれ誇りのある自立した存在として他の星々と協調していくこと。
イルミナ 大変広大な使命ですこと。
ペイリー それで、ミーターさん、どこからはじめるのですか?
ミーター うん、それを話す前に、俺ら、今どこいら辺にいるかわかるか、イルミナ?
イルミナ 只今ファー・スター2世号はオールトの雲を抜けて、シリウスに向かっています。
ミーター そうか、それで、イルミナ、ちょうど俺らが光速に近い超高速走行に一時ストップをかけて、その小さな天体を目撃、遭遇できるかも知れない。
分かるか、イルミナ?
イルミナ そうだわね、ヴォイジャー1号じゃないんですか、ミーターさん?
ミーター そうだ、ヴォイジャー1号だ。俺ら3人を待ってる地球からの贈り物だ。地球文明の悲願。太陽系外への通信。新たな銀河の希望のシンボルだ。
イルミナ よくご存知でしたね。そのことをどうやって分かったのですか?
ミーター メルポメニアの苔の下に隠れていた図書館のなかの蔵書に記されていた。
それを覚えていたんだ。
ヴォイジャー1号の速度では、シリウスからアンドロメダ銀河に向かって何億年かかるか知らないが、一直線に移動する「新しさの象徴」。
それに挨拶して、拝んでからでも、俺らが帰るターミナスは待っててくれるはずだよ。
ペイリー ミーターさん、私たちはターミナスに行くんですね!今の銀河で一番素晴らしい、と聞いてる。
ミーター ペイリーさん、素晴らしいかどうかは分からないが、残念ながら、銀河の一番端だ。ここからだいぶ遠い!
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