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ベイタの出番 

割引あり

『2万年後の銀河』
第六部
ベイタ・ダレル 
ベイタ・ダレル 1️⃣
(第1話~第4話)
ベイタの出番



お招きのことば

セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。わたしYi Yinのサイエンス・フィクションはアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズをほぼ下敷きとして哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれている。

『2万年後の銀河』の大枠

第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言

第六部 ベイタ・ダレルの内容

34 第1話 ベイタから母ロアに宛てた手紙
35 第2話 ポニェッツの秘密
36 第3話 心理歴史学の弱点
37 第4話 ベイタの出番
38 第5話 ミュータント
39 第6話 白とピンクの星
40 第7話 束の間のバカンス
41 第8話 espionage
42 第9話 ターミナスがミュールに占領された!
43 第10話 第2ファウンデーションの在り処?
44 第11話 三百年目の晩餐会
45 第12話 Rの機能停止
46 第13話 星界の涯

前史

銀河暦 12028年  ダニール・オリヴォー、宰相を辞任。ハリ・セルダン、宰相になる。
銀河暦 12038年 
 ハリ・セルダン、宰相を辞任。
銀河暦 12040年 
 ウオンダ・セルダン生まれる。
銀河暦 12048年 
 ドース・ヴェナビリ、死去。ベリス・セルダン生まれる。
 ハリ・セルダンの盟友ユーゴ・アマリル没。
銀河暦 12067年 
 ハリ・セルダンに対する裁判の結果、公安委員会は百科辞典財団をターミナスに放逐。ガール・ドーニックファウンデーションの51番目の委員になり、第1ファウンデーション全般を仕切る。ボー・アルーリン、ガールを補佐し、第2ファウンデーションとの繋がりを助ける。

若き日のハニスとミーター



第1話 ベイタ・マロウより母ロアへの手紙

ベイタ・マロウ


あらすじ
 死んだと思われていた、オナム・バーの愛娘ジータ・マルレイネ・バーは生きていた。マルレイネは、彼女の星、シウェナにジータ・ベリス・マロウを招き入れ、おまけにトランターから、パルヴァー家の娘、ジータ・ウォンダ・パルヴァーを一緒に連れて来た。ジータ・ウォンダ・パルヴァーは、パルヴァー家の初の女の子であった。
 ジータ・ベリス・マロウは、二つあったペンダントの一つをトランターから来た女の子に渡す。
 このことは、いよいよ第2ファウンデーションの出る幕が近づいて来たとの予感を与える。

ジータ・マロウの娘ロアには、極めて聡明な娘ベイタがいた。

ベイタとミュールの壮絶なる物語は、ファウンデーション設立から300年後に起こる。ベイタの物語はこうして始まる。

ベイタの両親がガール・ドーニックの農園を再び買い取り、住み始めた。ベイタもモーヴ(ターミナスの首都)からしばしば泊まりに来ていた。
 近くには、朽ち果てたガールの屋敷があった。
 ベイタはコッソリと、そのガール屋敷の地下深くにあった『故郷星探査報告書』を手に取るのであった。

そこにはファウンデーション設立当時、ガール・ドーニックの秘密の特別任務の記録が記されてあった。後に、アルカディアが、ジスカルド・ハニスからそれを譲り受ける。その内容の繙きについては続いて読者の努力に委ねます。

ベイタは、モーヴで、学問に励み、彼女の女系先祖やガール・ドーニックの輝かし業績に触れ、ガールの遺志を復興し、継ごうという旨の手紙を母ロアにしたためる。

「ガイアへの労り、ガイアへの共感は第二次世界大戦後の自然破壊、二酸化炭素排出量の急激な指数関数的増大に目覚めたわずか少数の人たちによってはじめられた。
 当時人類はその正気を失い、とくに北半球の資本家たちはとめどもない欲望を南半球の人たちへの搾取という形で剥き出しにしていった。
 廉価な労働力確保はさらに冷戦後、まるで止まることのない列車が一寸先に断崖絶壁があるのを知らないで加速度をあげて突進していくようであった。
 南半球の残酷な光景はもはや地獄と化していった。そしてすぐその残酷への報いが自分たちの方へ方向を転換してきたのに気づくのは時間の問題であった。
 社会の全機能が麻痺してきたのだ。『ジョン・ナックの歴史思想書』より」

(全文ベイタ・マロウの母ロアへの手紙)
 ロアお母さん、お元気ですか?私(ベイタ)はモーブで勉学に励んでいます。もうすぐ卒業論文を書く時期です。
 郊外の先祖様たちが開拓したラベンダー畑はそれはそれは見事です。その一画にターミナスの最初のご先祖、ガールやベリスの家が今でもあったのです。どうでしょうか、シーウィー父さんとご一緒にターミナスに戻って来られては。

お母さん、ターミナスではもうティー・ツリーやラベンダーの生産はどこでもしてなくて、不思議にここだけ残ってるのです。先祖のおばあ様たちが、開墾したアグリフォレストリーもスミルナからシウェナやネオ・トランターやカルガンに移ってしまったのですから。

なぜか「児童のための知恵の書」を読んでいましたら、はるか昔、あるロボットに助けられて、ジョン・ナックという科学者がアタカナという星から人々をニフの星に逃がした、という文を見つけて、それがなんだか、ターミナスじゃないかと思ったのです。

『児童のための知識の書』イメージ

お母さん、私、ご先祖様たちのようなお仕事、してみたいのです。できるかどうか今はわかりませんけど。
 
 シーウィー父さんと故郷が同じだと言って、トランさんという若者がよくアパートに訪ねて来て、食べきれないほど果物を届けてくれるのです。なんか、彼の叔父さんと父さんは親友だったとか。故郷の星はヘイブン。いい名前ですね。
 でも、その商人グループの名前が、「独立貿易協議会」と言って厳めしいんですけどね。
           ベイタより母ロア様


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