ミーターの大冒険 第三部 コンポレロンへ 第5話 ボー・アルーリンの秘密
107ミーターの大冒険 第三部 コンポレロンへ 第5話「ボー・アルーリンの秘密」
あらすじ
ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
場面は、ミーターを乗せたファー・スター2世号のなか。シンナ星の軌道上にいて、時にミーターは地表探索を重ねる。再度の銀河横断に対しての並々ならぬ決意が滲み出ている。
シンナ星から見上げる眩(まばゆ)い極光になにかしらの兆(きざ)しを感じるミーターだった。
ただ時たまイルミナのちょっかいが耳障りだが、それでも面白いと感じる。
ファー・スター2世号は惑星シンナの軌道から再度発進し、宇宙潮流に沿って光速近くに達して、ジャンプを繰り返す。
目指すコンポレロンとは?
最終目的地のアタカナへの道しるべとは?
どうやら、ミーターやイルミナがそこに到達するには、「反ミュール」や「不死の従僕」とやらに接触しなくてはならないらしい!
ミーターがイルミナに説く「我らの使命」とは?ガールが構想した「歴史消滅からの展開点」がいよいよ迫りつつある。しかし、それを座して待つことは許されない。それがミーターとイルミナ、そして次に来る別動隊の使命となる。
ミーターは、イルミナを前にして、とつとつと、イルミナ自身の存在を「極素輻射体」の秘密から解き明かしはじめた。アルーリンのことに話しが及ぶ。
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ミーター 「グレディアの日記」にはグレディアが母ドースから聞いた、ドースのおばさんウォンダの若い頃の様子が詳しく書かれてる。後でわかったことなんだが、ウォンダさんがイオス星で亡くなるとき、どうしてもということで、ドースさんをターミナスから呼び寄せたんだよ。おそらくハリ・セルダンのこと、心理歴史学のこと、これからの未来のこと、彼女の数奇な人生を女性という立場で同性の姪に伝えたかったと思う。というより、正確にはアルカディアの言ったことをそのまま俺はお前に伝えてるだけだけどね。その時その往復に付き添っていたのが、ボー・アルーリンだったんだ。
イルミナ へ~、アルーリンさんは、ウオンダさんよりずっと長生きしたんですね!
ミーター そうだ。彼はガールよりも長生きした。アルーリンは、ずっと頻繁にトランターとターミナスを行き来して、両ファウンデーションの設立に奮闘してくれたんだ、ピレンヌの像を建てるようにハーディンに進言したし、あの「時間霊廟」も彼が考案した。そして第二期のターミナスの大立て者のハーディンを見出だし、教育し、女の子がいなかったドースの養子にハーディンの娘のグレディアを薦めたのもアルーリンさんだ。
そしてここからが最も大事だ。暗黙のうちに巧妙に、あれから500年の今にチャンと作動するように仕組んだんだ。だから今彼の思惑通りに全てが作動してきた。
イルミナ 何もかも驚きだわ!ふむふむ、それじゃ、アルカディアさんまで繋がる女系一族の仕掛人もアルーリンさんということになるわね。驚きを通り越してるわ。それじゃ、「蝶番」の役割はボー・アルーリンさんなのね?じゃあ、たしか、ガール・ドーニックさんも「蝶番」の役割をハリから託されたということは、二人で「蝶番」の役割を分担したってこと?
ミーター そう先をせっつくな、二人の役割の違いについては、そのうちおいおいと話してあげるからな。その質問に答える前に、まだウォンダさんの物語の続きが残っている。
イルミナ そうだったわ。ミーター、先走っちゃって、ごめんなさい。そうよ、そのウォンダさん!