ミーターの大冒険 第五部 オーロラ 第12話 ジスカルドの遺産
139第12話ジスカルドの遺産
ミーターの大冒険
第五部
オーロラ
第12話
ジスカルドの遺産
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ガイアの軌道上で長老ドムとの交信で、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを知る。
人類の歴史消滅がこの時点で歴史復活のフェーズに転換した、瞬間でもあった。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナの検索機能で、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。その絵画のルピナスの花園が手がかりとなった。
それとドース・ヴェナビリの出身星のシンナ大学講堂に掲げてあったの絵画、パウロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』。
そのアンテンニンとカナとの繋がりは何であったのであろうか?
ミーターは、オーロラ地表に降り立ち、アンテンニン庭園を探し当てた。そこには洞窟があって、横穴がずっと奥まで続いていた。洞窟のホールの入り口には鳥居があって、3行文らしい文言が記されてあったが、軌道上にいるファー・スター2世号にいるイルミナにその文言の解読を頼んだ。その文言は、銀河聖語による「ロボット三原則」であった。ミーターはなにやら気がづいて、第1日目の探索を中止した。
ミーターの推測は、『児童のための手引き書』にある不死の従僕の先輩ロボット、ジスカルド・レヴェントロフのことであった。
ミーターは、ジスカルドについての情報をイルミナから聞き取るほかに、以前ジスカルド・ハニスとの会話を思いだし、これから機能停止状態にあるジスカルド・レヴェントロフをハニスに見せたかったと思った。
ミーターはかつてハニスにハニスの名前の由来について語ったことを思いだし、その中に「雷放電の中から一種の放射線であるガンマ線が発生することを」語ったことになにやらあることに気がつく。
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ミーター つまりだな、適度なガンマ線放射は生命の進化にとってありがたいものであるけれど、過剰だと混沌をきたす有毒以上のものである。
そこから推測するとだなあ、ガイアはある意味、不死の従僕にとって多大な負債を抱える、アンバランスな冒険、悪くいうと、賭けだったという可能性さえあり得る。
第零の法則もそういう意味では、完全ではない可能性がある。
でも、その偉大なる行為は、否定されるべきものではない。
俺らは彼の決断に否を唱えるという権利は持ち合わせていない。
俺らは、ガイアや、反ミュールも第零法則も不可逆的事実として、それを受け入れ、それらを前進させなければならない、と確信する。
イルミナ 正直言って難し過ぎる! ミーターさんの議論にはついていけないわね! わたしはお手上げ! なんとでもしてくださいな。ここまで付いて来たのだから、もちろん、地球までお供いたしますよ。
ミーターさんに感謝いたします。ジスカルドさんの体を拝めたなんて、銀河広しと言えども、わたしたちだけなんだと思いますので。
ミーター イルミナ、もうひとつ気がかりなことがあるんだ。
イルミナ 今度はなんでしょうか、マスター?
ミーター うん、オリンサスさんのことだ。オリンサスさんの技術のことだ。そして、オリンサスさんが最後に残した、俺らに言いたかったことがなんだったか、ずっと気がかりだったんだ。
イルミナ オリンサスの真実ですね!
ミーター オリンサスさんはハニスさんや、コンパーさんともなんかの関係があった。
その関係とは...
イルミナ 不死の従僕さん!そしてハリや、ガール時代の極素輻射体のことですね!
ミーター ま、待てよ。なんでわかるんだ?
yatcha john s. 「ジスカルドの遺産」