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歴史消滅の結束点以前

102第2話歴史消滅の結束点以前
ミーターの大冒険 
第三部 
コンポレロンへ
第2話 

歴史消滅の結束点以前

あらすじ

 ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
 イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
 
 場面は、ミーターを乗せたファー・スター2世号のなか。シンナ星に軌道上にいて、時にミーターは地表探索を重ねる。再度の銀河横断に対しての並々ならぬ決意が滲み出ている。
 シンナ星から見上げる眩(まばゆ)い極光になにかしらの兆(きざ)しを感じるミーターだった。
 ただ時たまイルミナのちょっかいが耳障りだが、それでも面白いと感じる。
 
 ファー・スター2世号は発進し、プラズマエンジンを加速させ、宇宙潮流に沿ってアクチュエル・フォースを吸い込み、光速近くに達する。そしてついにジャンプを繰り返す。それはかつてオリンサスがコンポレロンの知り合いから会得した技術だった。その宇宙潮流とは、宇宙構成要素のダーク・エネルギーに関係していたのだ。
 『ジョン・ナックの思想書』にもこの宇宙の創成、ビックバンやインフレーション理論も説明されてあった。
 コンポレロンとは?
 最終目的地のアタカナへの道しるべ。
 その最終目的地を探すにはオーロラに到達しなくてはならない!そして反ミュールの星とは?
 どうやら、ミーターやイルミナがそこに到達するには、「不死の従僕」とやらに接触しなくてはならないらしい!
 
 ミーターがイルミナに説く「我らの使命」とは?ガールが構想した「歴史消滅からの展開点」がいよいよ迫りつつある。しかし、それを座して待つことは許されない。それがミーターとイルミナ、そして次に来る別動隊の使命となる。
 ファー・スター2世号はまず第1の扉を開ける大業を成し遂げるためにコンポレロンへと向かった。

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ミーター まず、お前にしっかりと伝えなくてはならないことといえば、我らの使命なんだ。この無秩序と暗闇の混沌から抜け出すのには、セルダン方程式の基本を忘れてはならないことは、イルミナ、お前も十分にわかっていることと思うが、人類全体の幸福の願いを未来に向かって投射し続けていくという行為なんだね。
 そのためには、日々一歩づつたゆまない過去との対話を通して前進していく他にはない、ということ。
 極素輻射体の照射については、アルカディアが見出だした「グレディアの日記」からある程度、描写されている。その極素輻射体の機能の中心は、その装置を操作する人間の中心心理と同調し、その意思に沿って多様変化する、ということなんだ。極素輻射体はまず全面に「白い世界が描写され、次に黒い斑点が全面を覆い、それから紫の斑点が拡大し、その反対側に赤の極点を映し出す」という。この装置は許された数名の者しか、その使用を許されていない。
 もしかしたらこの銀河のどこかにユーゴ・アマリル由来の極素輻射体が複数個存在しているかもね。
 
イルミナ ミーターさん、あまりにも込み入った話なのね!

ミーター これからも何度も説明していく機会があると思うから一度に理解しなくていいと思う。

イルミナ それで、「我らの使命」と言ったわね?

ミーター そうなんだ。俺も、ハニスさんもオリンサスさんも同じ気持ちだと思う。アルカディアが成し遂げた使命の次の使命。彼女がなし得なかったこと。彼女から託されたことがあるんだ。
 アルカディアは、二つのファウンデーションの確執をどうにか解決しようとして彼女の三部作を通して、セルダン、ガールから続く彼女の家系の足跡を明白に明らかにした。そのことによって二つのファウンデーションの使命を揺るぎなきものとした。
 
 「我らの使命」とは、今度は消された銀河の歴史をもう一度明らかにすることによってこの銀河を復興することなんだ。いわば歴史消滅の結束点以前を探るという大使命なんだ。
 
ミーター ふ~。もしかしたら、ミーターさんの名講義はもう少しづつくみたいね!

ミーター イルミナ、おっしゃる通り。悪いが、もう少し我慢してくれないか。

yatcha john s.

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