ミーターの大冒険 第5部 オーロラ 第14話 社会学者ロイ・ネメヌウ・サートン
141第14話社会学者ロイ・ネメヌウ・サートン
ミーターの大冒険
第5部
オーロラ
第14話
社会学者ロイ・ネメヌウ・サートン
あらすじ
ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は、ガイアの軌道上で長老ドムとの交信で、二人が求めている故郷の星の正確な名前が「地球」であることを知る。
人類の歴史消滅がこの時点で歴史復活のフェーズに転換した、瞬間でもあった。
ガイアの誘導で、ファー・スター2世号はオーロラの恒星系に無事にたどり着く。
二人の目の前には、オーロラの揺らめく極光が怪しく波打っていた。
イルミナの検索機能で、手がかりを抽出する。それが、アンテンニン庭園であった。その絵画のルピナスの花園が手がかりとなった。
それとドース・ヴェナビリの出身星のシンナ大学講堂に掲げてあったの絵画、パウロ・ヴェロネーゼの『カナの婚礼』。
そのアンテンニンとカナとの繋がりは何であったのであろうか?
ミーターは、オーロラ地表に降り立ち、アンテンニン庭園を探し当てた。そこには洞窟があって、横穴がずっと奥まで続いていた。洞窟のホールの入り口には鳥居があって、3行文らしい文言が記されてあったが、軌道上にいるファー・スター2世号にいる イルミナにその文言の解読を頼んだ。
その文言は、銀河聖語による「ロボット三原則」であった。ミーターはなにやら気がづいて、第1日目の探索を中止した。
ミーターの推測は、『児童のための手引き書』にある不死の従僕の先輩ロボット、ジスカルド・レヴェントロフのことであった。
ミーターは、ジスカルドについての情報をイルミナから聞き取るほかに、以前ジスカルド・ハニスとの会話を思いだし、これから機能停止状態にあるジスカルド・レヴェントロフをハニスに見せたかったと思った。
ミーターはかつてハニスにハニスの名前の由来について語ったことを思いだし、その中に「雷放電の中から一種の放射線であるガンマ線が発生することを」語ったことになにやらあることに気がつく。
その際に発生する「対消滅」のことから、ジスカルドの遺産に纏わる「メンタル・フリーズ・アウト」の現実に到達する。
なんと、それはロボットばかりでなく、有機体の存在としての人間にも適用されると、二人は、結論した。
二人は、ジスカルドの台座の裏側にもう一つの刻印を発見する。それは、不死の従僕が二人に残した追伸のようだと、ミーターは考えた。
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ミーター ところで、この辺りにジスカルドに纏わる情報が、もう一つでも見つからないかい?
イルミナ そうね、この台座全体のスキャンをやってみるわね。
台座の後ろ下にハッキリ、あるわよ。
「ジスカルド・レヴェントロフ、ここに眠る。人類の甦りを夢見て。オーロラの社会学者ロイ・ネメヌウ・サートンによって地球にて発見され、後にサートンとハン・ファストルフ博士の製造のダニール・オリヴォーとジャンダー・パネルのヒューマンタイプロボットのプロトタイプとして地球のスペースタウンにて改造された。」
ミーター なんだと! 新しい情報が目白押しだ。オーロラの社会学者ロイ・ネメヌウ・サートン。ハン・ファストルフ博士。ダニール・オリヴォーとジャンダー・パネル。地球のスペースタウン?
イルミナ ミーターさん、これこそ後世の人類にとっての宇宙遺産だわ!!
ミーター それはそうだけど、またまた謎が謎を呼ぶ殺人事件ってならないか! これからこれら一つ一つの謎を究明していくほかないのか? いやはや気が遠くなるような捜査になるようだ。
イルミナ 何を弱気な、ミーターさん、ミーターさんはご自身のこと、何てお呼びになっていましたか。確か...
ミーター その先は言うな。ありがとう、わかったよ。警視総監どの。
俺だって、スペースオペラのあのドジなスパイ、エスケル・ゴロヴのようにはなりたくはないよ。心配はいらない。きっと解明してみせるよ。亡きアルカディアのためにも、銀河復興のためにも。
あと少しで、消された銀河の歴史も回復されるという予感がするからな。
イルミナ そう来なくちゃ、ミーター教授!