ミーターの大冒険 第三部 コンポレロンへ第1話 ウォンダと極力素材輻射体
103ミーターの大冒険 第三部 コンポレロンへ 第1話 「ウォンダと極素輻射体」
あらすじ
ミーターの体は4年間で完全に復旧し、無事に同じく修理されたファー・スター2世号に戻された。
イルミナは当然無事だった。彼女の本体は、ターミナスの帝国辞書編纂図書館の地下からのコントロールなので、受動機さえあれば、どこにでも移送されるからだ。
場面は、ミーターを乗せたファー・スター2世号のなか。シンナ星に軌道上にいて、時にミーターは地表探索を重ねる。再度の銀河横断に対しての並々ならぬ決意が滲み出ている。
シンナ星から見上げる眩(まばゆ)い極光になにかしらの兆(きざ)しを感じるミーターだった。
ただ時たまイルミナのちょっかいが耳障りだが、それでも面白いと感じる。
ファー・スター2世号は発進し、プラズマエンジンを加速させ、宇宙潮流に沿ってアクチュエル・フォースを吸い込み、光速近くに達する。そしてついにジャンプを繰り返す。それはかつてオリンサスがコンポレロンの知り合いから会得した技術だった。その宇宙潮流とは、宇宙構成要素のダーク・エネルギーに関係していたのだ。
『ジョン・ナックの思想書』にもこの宇宙の創成、ビックバンやインフレーション理論も説明されてあった。
コンポレロンとは?
最終目的地のアタカナへの道しるべ。
その最終目的地を探すにはオーロラに到達しなくてはならない!そして反ミュールの星とは?
どうやら、ミーターやイルミナがそこに到達するには、「不死の従僕」とやらに接触しなくてはならないらしい!
物語、佳境に入る!
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ミーター イルミナ、オリンサスさんがお前をつくるのにどれだけ奮闘したかわかってるよな。最期の最期になってどうしても解決しない部分があったんだ。
イルミナ わたしを産み出すための産みの苦しみといったところですね。
イルミナ、いいか、オリンサスさんは、ハニスさんの努力でレアアースも手にいれた。しかし、イルミネショナーをどうしても完成させることができなかった。完成させるのには、ある機能が必要だったんだ。その手がかりを血なまこになって探した。その不休不眠の結果、持病の心臓病を悪化させた。ある日、その欠落部分の手がかりを思いついた。最期の気力を振り絞ってピレンヌ像の土台部分を探った。
若い頃知り合ったコンポレロンの友人の言葉を思いだしたからなんだ。
イルミナ ミーター、それってもしかしたら、「極素輻射体」っていわれている例の装置のことかしら?
ミーター そうだ図星だ!イルミナ、実はコンポレロンは、もうひとつのファウンデーションと関係があるって、知ってるよな。そのもうひとつのファウンデーションは、セルダンの孫ウォンダとステッティン・パルヴァーの二人から出発した、と言われている。その後、ボー・アルーリンが加わり、彼のみ初期のターミナスでガールとファウンデーションの創立に尽力した。
そのアルーリンはハーディンを指導した。
そして、ハーディンにその銅像と「時間霊廟」建設を託し、目立たないように陰ながらハーディンにターミナスの全権を託して世を去った。もしかしたら、アルーリンはコンポレロンの出身だったかもね。これ以上は、推測の域をでないが、そのコンポレロンと「不死の従僕」とは何らかの関係がある。
イルミナ ミーターさん、すごいわ!その「極輻射素体」とやらってどういう形状で、どういう機能があるのかしら?
ミーター 残念だが、今は、ハリ・セルダンの「心理歴史学」の研究と密接に関係があるカオス理論を形状的に現出させた機能的道具としかわからない。
ハリ・セルダンの初期の研究同僚のユーゴ・アマリルがそれを頻繁に使用していて、ハリの孫娘ウォンダが幼児の時からそれを遊具としていた立方体、という文脈がアルカディアの『続・追憶の鍵を開けて』に記されてある。
そしてウォンダから引き継がれきたペンダント。
しかし、イルミナ、それがまた少しずつわかってきた。われわれの大事な使命を手伝ってくれるものが、もうひとつ見つかったような気がするんだ。
イルミナ すごいわ、ミーターさん。
おさらいするね。
この銀河復興には、カビレ第三惑星、アタカナの発見と再生がもとめられている。それと同時に歴史消滅以前の全容もわかってこなくちゃね。
その任務遂行には、えへん、わたしという素晴らしい新兵器、それとミーターさん。そしてこの航宙船ファー・スター2世号。それら全部にその「極素輻射体」がかかわっているっていうことね!
それで、ミーター、オリンサスさんが見つけた手がかりというのは?
ミーター 今から話す。