ミーターの大冒険 エピローグ 第7話 「極素輻射体」
あらすじ
アルカディアが81歳で亡くなった。彼女の知人のジスカルド・ハニスはアルカディアに感銘を受けていた。そこでミーターとオリンサスとの面倒をみると同時に、ミーターから彼女の遺言の全てを聞く。ハニスは、ミーターとともに彼女の遺志を継ぐことを決意する。それは銀河復興を成し遂げることであり、危険で無謀にみえる挑戦でもあるのだが。
ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは、ますます展開が際立って来たようだ。
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ハニス ミーター君、「極素輻射体」(Prime Radiant )というのが、今一わからない。君のデータベースから探ってみてくれないか!
ミーター ハニスさんの研究熱心には舌を巻きます。またここの渚に来ていましたね。どれどれ、端末を見せてください。お役にたてるかどうか怪しいですがねぇ。
そうですね、ハニスさん。ハリ・セルダンの心理歴史学の研究と密接に関係があるカオス理論を形状的に現出させた機能的道具としかわかりません。ハリ・セルダンの初期の研究同僚のユーゴ・アマリルがそれを頻繁に使用していて、ハリの孫娘ウォンダが幼児の時からそれを遊具としていた立方体、という文脈がアルカディアの『続・追憶の鍵を開けて』に見られます。
ハニス 助かるね、ミーター君。もう少し捕捉してくれたまえ。
ミーター OKです。それに...ハリ・セルダンが初めて心理歴史学の理論の端緒を思いついたトランターのワイ地区の件(くだり)が気になります。なにやら、ハリ・セルダンが、当時宰相であったエトー・デマーゼルが親友のヒューミン自身であったこと、そして当時忌むべき禁断のロボット・ダニール・オリヴォーと同一人物であったことを初めて看破したのが例のワイ地区の事件の時だったのですよ。彼らロボットの「第零の法則」に心理歴史学の真髄を見出だしたと推測できます。
もしかしたら、『児童のための知恵の書』に出てくる「不死の従僕」そのものなのではないでしょうか?
それにですね、かの不死の従僕は、彼の盟友から引き継いだんだものだったんです。「第零の法則」の継続活動は、その盟友の強い意志だったんですが、その盟友の名前がなんと、「ジスカルド・レベントロフ」!
ハニス なんだって!実に妙だ!ミーター君。オリンサス爺さんから、彼は俺の爺(祖父)さんと若いときからの知り合いで、孫に「ジスカルド」とつけたのは俺の爺さんだって聞いている。なんの風の吹きまわしなんだか!