ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第17話 新たな人物像たち
199第17話新たな人物群像たち
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第17話
新たな人物群像
あらすじ
ファウンデーション暦493年、ミーター、イルミナ(?)、ペイリーはターミナスに着いた。ジスカルド・ハニスとは地球への音信以来連絡が途絶え、ターミナス全土を探したが、見つけられなかった。
アルカディア農園は無事だった。ハニスとコンパーが上手に政府の力から手練手管で守っていたからである。
代理人としてジム・ヘンダーという50代の男が農園を維持していた。
ミーターは、ジムの履歴正体をつまびらかにする。
後日、二人はターミナスのアルカディア記念博物館に隣接しているサルヴァー・ハーディン博物館にムン・リー・コンパーを変装して訪ねた。ヘルダーを通して申し合わせしていたからである。
3人(?)は、コンパーからハニスの消息を聞かされる。スミルノに近いダリバウという過疎化が進む弱小惑星にいるらしい。
彼らは一旦、アルカディア邸に戻って、ダリバウの旅程をヘンダーと打ち合わせる。
ヘンダーはダリバウに行ったら、レオナルド・アンセルム・オー・ロドリックに逢うように勧める。
アンセルムは彼らを歓迎した。アンセルムは密かにファウンデーション連合(ターミナスの単独政党ターミナス第一)を苦々しく思っていた。
そして第2ファウンデーション及び反ミュールとの連繋を模索していたのであった。
アンセルムは、コンパーの正体を明かす。彼はコンパーが二重、三重のスパイだという。
そしてアンセルムは、実は廃坑でないここアバンドネには今後の人類の宇宙開拓にとって重要な鉱物があることを教える。
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ミーター ロドリックさん、話しをムン・リ・コンパーのことに戻してよろしいですか?
アンセルム そうですね。あなたにとってはコンパーもあなた方のグループの大切な一員ですからね。驚くことは無理もありませんね。あの亡きオリンサスのご遺志を継いだとはいえ、あなたが宇宙に翔び立ち、地球探訪を成功裏に導くきっかけをつくったのも彼でしたからね!
ミーター そうなんですけど、彼に最初にあった時から彼には妙な感じを抱いていたのも確かです。
それにしても彼が三重スパイとは気がつきませんでした。
実をいうと、私は、今回の遠征の際、彼の先祖の星、コンポレロンを訪ねる機会がありました。その時、少しだけそんな気配を感じたことがありました。
今ではロドリックさんも存じてはおられると思われますが、ターミナスの友星コンポレロンはセッツラー初の定住惑星で、そこから、銀河全域にセッツラーが進出して行ったのです。その最後の定着地がターミナスを中心としてここダリバウも含むアナクレオン星域ですね。
そして銀河帝国が確立するまでそのコンポレロンが銀河の中心的役割の位置にあったのです。
そしてよくご存知のように、第1ファウンデーション(ターミナス)が第2ファウンデーションを敵対視して排除しようとした時期がありました。いわば「確執の間柄」になっていた時代、第2ファウンデーションは、その本拠地を一時期コンポレロンに移したのです。第2ファウンデーション側としてはむやみな対立は避けたというべきでした。
アンセルム その事実は存じておりますが、そのこととコンパーとのことはどういう繋がりがあるとおっしゃるのですか?
ミーター さらにご存知のように、あのミュールが当時の第2ファウンデーションの第1発言者によって完全に敗北者になったロッセム星には、すでに反ミュールが潜伏していて、その第1発言者を背後から援護したのです。
いわばガイアの責任として。その時に反ミュールが活動しはじめました。ずっと陰の存在に過ぎなかったガイアが表舞台に踊り出たのです。
少しくどいような話ですが、第2ファウンデーションのエージェントとして重要な役回りを託されたベイル・チャニスは、ミュールによって廃人寸前にされたのですが、あの不死の従僕ダニール・オリヴォーは彼をコンポレロンに連れて行って生涯の終わりまで面倒を診ました。
それを皮切りに反ミュール(ガイア)は、第1ファウンデーションと第2ファウンデーションの確執の除去をしてまいりました。
アンセルム う~む。コンポレロン星の不思議ですか?
ということは、第2ファウンデーションがその脅威から逃れるのに、コンポレロン星を選んだ、というのですね。
ミーター 正式にいうならば、ダニール・オリヴォーが陰ながらそう誘導したのです。
アンセルム そしてそのコンポレロン星が、現今のこの銀河復興の最終場面で、もう一回、重要な動きを展開している、というのですね!
ミーター そうです。ですから、スパイというと悪いイメージでしょうけど、コンパーに関しては、ある程度恣意的、ちょっとだけ悪評すれば、利己的に映っても、大筋では、その2つの確執の溶解に彼は役に立っていると思うのです。
ですから、最終的には、多少のズレが生じても、うまく収まる、と踏んでます。
ペイリー ミーターさんたら、そこまでコンパーの立場を擁護されるのですね。
だいたいはわかったような気がしますが、まだすっかり腑に落ちたわけではありませんけどね!
アンセルム それには、実は、第2ファウンデーションの内実に関係がありそうですね!
ペイリー と申されますと?
アンセルム 先ほど言いました、ジェンディバルという人物です。コンパーはそのストー・ジェンディバルとある提携をしていて、互いに情報を提供しあっているのですが、その内実はまた、コンポレロン星との繋がりで、ガイア(反ミュール)のコントロールも窺われる節(ふし)もあるのです。
もっと複雑にしているのは、第2ファウンデーションの発言者会議のメンバーの一人で、そのジョンディバルのライバル、デローラ・デラーミ女史との関連もあるのです。
ミーター 本当に複雑だ!
アンセルム それに忘れてはならないのはあの賢明なジスカルド・ハニスを通してあのコンパーは、ターミナスの直感人間のゴラン・トレヴァイズと最近友好関係を築いて、ターミナス議会に二人で進出するように画策しています。
ついでにいうなら、トレヴァイズの不足的弱点を補う能力の持ち主のジャノヴ・ペロラットたる人物に目星をつけて、おたくが達成してくださった地球探索をさらに強固にする画策を立てはじめているのです。
ミーター ロドリックさん、新たな展開の時期ですね!
そのコンパーを陰ながら応援、正確にいうとプッシュしておられるのが、あなた、アンセルム・ロドリック卿ということですね!
アンセルム なんと、まあ、驚きです。あなたこそ、直感推理力のロボット、創造的飛躍の貴公子!!
ミーター ロドリックさん、詳しくご説明下さり、感謝いたします。そこまでわかれば、今後の銀河復興の最終側面での対処の方策がみえてきた気がしてきました。
ペイリー ミーターさん、もう少し今後の展望についてロドリックさんにお訊きしましょうよ!
ミーター ごもっともです。