ミーターの大冒険 エピローグ 第19話 感応力に勝るもの
ミーターの大冒険 エピローグ 第19話 感応力に勝るもの
あらすじ
アルカディアが81歳で亡くなった。
ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「微細心理歴史学」、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の真実理解までも到達した。後は、オリンサス・ダムの図書館改造とファー・スター号の改造を待つだけ。
ハニスは、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼ら(第2ファウンデーション)の感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
ついにハニスは、第2ファウンデーションの第一発言者に会った。壮大な宇宙史が解き明かされて圧倒される。そこでハニスの探索は終わる。暗示されていた「反ミュール」には遭遇能わず。しかしハニスはこの成功をミーターへの土産としてターミナスに凱旋した。
ジスカルド・レベントルフ、ダニール・オリヴォー、そしてミーター・マロウ(ダレル)。第零の法則を遵守するロボットたちの活躍を思って、ハニスは、自分の命を、ミーターに捧げる決意をする。それは、第零の法則を信奉する人間を造り出す道に進むことだと悟ったのである。人間が、新しい銀河をつくらねばならないからである。ミーターは、そのハニスの志しを心からありたがるのであった。
ハニスは第2ファウンデーションが「反ミュール」との共鳴を受容しつつ、銀河の再興の時を予見しているのを確認して来た。あとの課題は、第一ファウンデーション(ターミナス)の方向性だけだ。
ハニスは政治家を目指す。しかし、これが熾烈な難問になる。政府当局が彼ら3人組に気がつきはじめて来たからだ。
ハニスが主導する「銀河再生党」はハーラ・ブラノ率いる「ターミナス第一」に惨敗した。ミーターとアルカディアを模したチクタク(単純型ロボット)を駆使して、アルカディアの人気を裏手に使った。
そこでハニスはミーターからの進言で、イフニアへの遷都案を決意するが、...
一方、オリンサス・ダムは、持病の心臓病が悪化する。3人組の運命や如何に?
ハニスは、例のコンパーを図書館の執務室に訪ねた。コンパーが、第2ファウンデーションのスパイであったことに驚愕する。
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コンパー よくぞ来てくれました。かねてより、あなたにお会いしたいと思っていた矢先でした。
あなたや、ミーターというちょっとだけ例のチックタックより生意気な機械にとっても、オリンサスさんのことは、残念でした。
生意気なチックタックねえ!ミーターが聞いたら湯気を出して怒るな。
君があのルイス・コンパーの息子だとは、尚更だ。君のその風貌でわかるよ。コンポレロン人特有の金髪にアイシャドー。その風流な身のこなしとしぐさ。まるで話に聞くシリウス星系人そのものだ。
それでも、なにかの因縁でしょうね。あのルイス・ピレンヌの像の下で瀕死のオリンサスさんを保護出来たことは。
ハニス ムン・リ・コンパー君。君が彼の偉業を継いでくれると聞いて嬉しい限りだ。アルカディアもさぞ喜んでいることだろう。礼を言いたい。イフニアでの親友の息子よ!こういう縁で会うとは、奇遇過ぎる!
君も第二ファウンデーション員だと、オリンサス爺のメモから推測するが、どうやって、ここターミナスに潜入できた?今では、あのアルカディアの父親が発明した“精神雑音発生装置”で完璧に第二ファウンデーション員を探し出し、このターミナスには潜入できないのに、君はどうやってこんな「銀河百科辞典図書館」の心臓部とも言うべき「サルバー・ハーディン紀元博物館」に勤めていられるんだ。
コンパー ハニスさん。日進月歩というやつです。私の父は、第二ファウンデーション員の中でも、科学技術担当でした。絶えず、第一ファウンデーションの技術力を研究する部門のチーフで、その遮断装置をまた遮断する技術を生み出していました。僕はそれを利用したに過ぎません。僕は、イフニア大学でコンピュータの超高度データチップ化の博士課程を出てます。ターミナスの技術は最近、落ち込んで来ましたので、僕にとっては、格好の就職先というところです。
ハニス ところで、君のターミナス潜入の目的とは、一体?
コンパー 第二ファウンデーションでは、「反ミュール」が頻繁に表面化して来ています。第一発言者の指令は、二つ。一つは、その反ミュールの活動状況を探ること。二つ目は、第一ファウンデーションを、我らの「最終目標」に背後から誘導して送り出すこと。第一発言者は、「今こそ第零の法則が重視されるべき」と強調されてます。
ハニス う~む。そこまで、進んでいるとは、俺としたことが、迂闊というべきだ。君らの「感応力」を俺は、見くびっていたのかもしれない。
コンパー ハニスさん。第一発言者は、第二ファウンデーションは、あくまでも第一ファウンデーションの陰で補助的役割に徹すべきとおっしゃっております。それに「感応力」より優れてる能力があるとも、聞いております。
ハニス コンパー君、それはなんなんだ?
コンパー 「無謬の直感力」ですよ。
ハニス なんだって!「無謬の直感力」だって!?!
コンパー そうです。その能力は、生命体の根源とも聞いております。それについては、極めて稀に第一ファウンデーションから輩出するのです。この点では、我らは第一ファウンデーションの人々に劣るのです、ハニスさん。「天は二物を与えず」という諺もあるようにですね。
それでも、なにかの因縁でしょうね。あのルイス・ピレンヌの像の下で瀕死のオリンサスさんを保護出来たことは。それに、あなたもコンポレロンとなにかの関係があるとも、父から聞いていますよ。
ハニス ところで、君の言う我らの最終目標をどうやってお膳立てして行くのかい、ムン・リ君?君の方策というのは?
yatcha john s. ミーターの大冒険 エピローグ 19 「感応力に勝るもの?」