ミーターの旅立ち
galaxy20000yearslaterシリーズ
ミーターの大冒険
第一部
「リリーフ」
下巻
『ミーターの旅立ち』
目次
これまでのあらすじ
アルカディアが81歳で亡くなった。
ハニスの直感とミーターの柔軟性のある論理思考が冴え渡る。「心理歴史学」の権威のハリ・セルダンを唸らせた、地球探査の報告書を携え戻ったガールの真実発見とはなんだったのか?「微細心理歴史学」という真理なのか?ベイタ・ダレルが、ガールの見解を正確に踏襲していた、ということなのか?ミュールの必然性とは?ますます展開が際立って来たようだ。
そしてその究極的謎の究明には、「極素輻射体」、「ロボット第零法則」の理解までも到達した。
ジスカルド・ハニスはミーターの巧みな誘導によって、ジスカルド・ハニスがジスカルド・レベントルフ由来の命名であることに気付かされ、オリンサスが今の携わっている図書館改造に真摯に向き合う決心をする。ハニスの外遊は、まずイオス星。そしてそこでドース・ドーニックからトランターへと導かれた。
ハニスはそれを聞いて、いよいよ銀河復興への第一歩が胎動して来たとの予感を感じるのであった。それはドースの盟主の思惑なのであろうか、ハニスに戦慄がはしる。彼は今や、通常人間の世界には許されてない限界点を超えようとしている。
ハニスは、イオス星でドース・ヴェナビリに会い、続いて、かつて天の川銀河の中央、中心都市、トランターに降り立った。果たして、彼らの感応能力によって、ハニスへの干渉のボーダーラインは、どの地点に設定されたのであろうか?ハニスの記憶はどこまで、どのように保持されるのであろうか?ハニスはアルカディアに続いて、単独人としてのボーダーラインに立っている。
しかし、これらの神妙な邂逅は、いやがうえにも「青の世界から黄色と紫の未来へとシフト」して行くには通らねばならない欠くべからずの通過点なのには違いなかった。
第15話 マイコゲンの秘密
センター ジスカルド・ハニスさん、ここマイコゲン地区にある、金属という金属全部、あるいは利用可能な機械類、集積回路類は全部ご提供致します。ドースさんからの連絡で、快くご協力致します。なにしろ二つのファウンデーションともう一つのグループが一致して、暗闇からの銀河復興を成し遂げることが、われわれに課せられた唯一の願いなのですから。
ハニス リー・センターさん、貴方は何人目のリー・センターさんなのですか?
センター ハニスさん、あなたはそこまでご存じだったとは、驚きですよ。われわれは、現在は、農業輸出星ではありますが、銀河帝国崩壊後は、ニュー・トランターと農業生産物と金属類との貿易で補完関係にあります。
では、ここマイコゲンの由来もご存じのはずですね。
ハニス いいえ、存じ上げません。マイコゲンの由来とは?
何か銀河帝国の起源について、この場所と深い関係がありそうなニュアンスですね。
センター 今から1万1千年前の、銀河暦の初まりの1000年期について、なにも伝わっていないという状況のなかで、チェッター・ヒューミンという名前で、かの不死の従僕は、ハリ・セルダンをこのマイコゲン地区に陰ながら誘導して、徐々にではあるが、着実に、ハリの「心理歴史学」を、完成に向かわせていったのです。
私は、100年前の第一発言者のような銀河を出回っての活躍はできないですけれど、いよいよ銀河復興の探索工作に出て行く時期ではないかと考えております。その具体的な行動を託せる次期第一発言者に譲りたいと願っています。
そうして、第一ファウンデーションとの確執云々などの問題どころに拘ずり合っている場合ではありません。もうすぐ銀河復興に直接的な取り組みをしなければならないでしょうからね。
それと同じように、極めて最近、様々な起源譚が妙に解き明かされ初めているのですよ。実は、「反ミュール」というグループが、最近われわれに干渉しはじめているのにも、なんらかの訳があるみたいだと感じています。
ハニス マイコゲン地区とは?
センター 正直にお伝えいたします。あなたには、ドースさんから、そうするように依頼され、わたしもそうすべき、と考えておりますので。
トランター星がこの銀河のセンターを占める段階で、当初からこの星に入植したスペーサーという50もの星のグループの、中心星「オーロラ」に纏わる事実もセルダン理論の構築に大いに作用しました。その起源、オーロラ人の聖地がここマイコゲンなのです。われわれ第二ファウンデーション人の多くは、彼らの血を受け継いでおります。
また、それにセルダンから300年目には、突如としてミュールが出現して、この銀河を席巻しました。そして彼は、順調に進んでいたと信じられていた「セルダン・プラン」の機能を停止させてしまいました。
そのことが、皮肉にも逆説的に、その「セルダン・プラン」の真実を浮き彫りにしてしまったのです。
ですから、今回のドースさんからのご依頼は、新しい時代の始まりのように思えるのです。言うなれば、最終的なその入り口なのです。
是非とも、あなたハニスさんが、ミーター君やオリンサス・ダムさんとともに、これからの二者、いやもう一者を加えたグループとともに銀河復興の時代を作り出して頂きたいと願うものです。
ハニス なんと、ミーター君のことも、あなた方はご存じなのですね!ミーター君と、新時代の探索機能装置を作りつつあるオリンサス・ダムさんとファー・スター2世号には、いい土産をもって帰れるというものです、センターさん。
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