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ミーターの大冒険 第九部 エピローグ 第8話 シンナックスのブルー・ラグーン

190第8話シンナックスのブルー・ラグーン
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第8話

シンナックスのブルー・ラグーン

あらすじ

 ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号は太陽系の第4惑星の火星でついに、待望のダニール・オリヴォーに面会できた。

 それからダニールの月面基地から地球の放射能除去溶液と装置の準備を調(ととの)えて地球に降下して行った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウは、不死の従僕ダニール・オリヴォーに助けられて、主人アルカディアの志しをいまや成就させようとしていた。

 彼らの地上での行動はミーターは別として、2時間と制限されていた。

 そのイルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂上に着いた。

 放射能除去に必要なポニェッツ仕様のラヴェンダーエキスとオーストラリア産のデオライトの混入液を水蒸気発生装置でフニ山頂から昇化させ、地球上の各地山頂から同様に実施させていった。

 案の定、双子座流星群は降ってきた。この年は例年とは違い、幸運にも何ヵ月も継続した。

 流星群は成層圏に拡散している特殊水蒸気の雲に注ぎ、水蒸気を雨化させ、地上に雨を降らせ始めた。

 ミーターは、北アメリカ大陸の頂き、南アメリカの頂きを踏破し、残るはアフリカ大陸、ユーラシア大陸、オーストラリア大陸をも踏破していった。

 その間にイルミナは、アルファのモノリーさんのお土産である粉末の分析が完了していた。

 その粉末の正体は、ナノサイズに加工した地球上のほぼ全種類の植物の種だった。雨が降れば、地球の緑化が再生する。

 ミーターがその特殊蒸気発生機の最終段階で、かつてオーストラリア大陸と呼ばれていた地域のタウンゼント山頂で早朝シルクベットから起き上がった時だった。しっかりとして威厳のある響きが頭上からあった。

 ダニールはミーターに、2つの任務を依頼した。

 地球の古代の伝説「ノアの方舟」にあるような大量な雨が1ヶ月以上も地表に降り注いだ。

 その結果、大気中の放射能濃度は、驚くほど減少していった。

 1番目のダニールからの任務依頼を終了後、ミーターは、約束していたミーターはニフの中央東に位置する海岸から切り立った小高い山頂に夜明け前に到着した。

 そこにダニールとペイリー・リャン(当時19歳)が待ち受けていた、3人は、海中から浮かび上がる緑色の光を目撃する。

 それからほどなく、東の水平線上に陽が昇って来た。

 ダニールは、ミーターに「カビレ」の本当の意味を解き明かす。そして地球放射能除去の段階の終了を宣言する。

 ダニールはミーターに幼女ペイリー・リャンをミーターにファー・スター2世号の新メンバーに加えてもらうよう頼む。

 彼らは、アルカディアの残りの悲願に向かってファー・スター2世号に改めて乗り込む。

 ミーターは、自分の胸ポケットの秘密を隠しながらも、ペイリーのイヤリングに注意がいく。

 ペイリー・リャンはまた彼女の名前の由縁も解き明かす。

 そこから、イルミナの歴史消滅以前の情報量が異常に増えはじめ、またたくまに全銀河の図書館にそのデータを拡散させていった。

 イルミナの歴史消滅からの復興という大事業の伸展の裏で、彼女のホントの正体を遠回しに吐露する。

 ミーターは、それに知ってか知らずにイルミナに向かって、「アルカディアの魂君」と呼んだ。

 新たな旅がはじまろうとしていた。
 このとき旅には小さな夢も、第一歩からはじまって、次の一歩を踏み出すのも「真摯さ」が大事であろう。
 しかし、それは素晴らしい旅となることには違いないが、その旅には終わりがあろうともなかろうともそれを一歩一歩味わうことに意味がある。
 彼らの帰途、ガール・ドーニックの故郷惑星、シンナックスに立ち寄り、3人(?)は、長旅のバカンスを取ることにした。

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イルミナ ミーター、もうペイリーさんはこの島と海になじんで、ずっと前からここに住んでいるように見えますね。

ミーター ブルー・ラグーンね。この星はなんて海が綺麗なんでしょう!もともとこんな世界だったのかな?

イルミナ データでは、この星に入植した最初のニフ人は、地球の最高の景色と海のある惑星を探し当て、さらにニフ人の好みに気候と景観を変えていった、とされているわ。
 それをニフ人たちは、「宇宙潮流に導かれた」と謙虚な表現をしているわ。
 素晴らしい性向ですね。
 
ミーター これがペイリーさんが言った人間の「真摯さ」の色かもしれないな。
 ターミナスのベリス岬やカルガンの浜辺も綺麗だったが、ここの海の色は格別だ。青とも緑とも見える。

イルミナ そうね、この色が、アルカディアさんが言った「鶸色」なんじゃないんですか。素晴らしいわ。

ミーター この海の色はどうして生まれたのかわかるか、イルミナ?

イルミナ そうですね、密林からのマングローブの川が珊瑚礁にぶつかってできたみたいです。

 水の真摯さ、海の薫り、っていうか。

ミーター そう、ガールのご人格は、この美しい世界の写し鏡なんだな。純朴でありながら深い味わいのある。彼の証古学の有り様が偲ばれる。

イルミナ そうなんですよ、ペイリーのパパはガールと対面した時、ガールの学識以上に彼の心の優雅さに圧倒された、とガールの伝記を再発見したベイタさんは、書いてるわ。

 ガールの証古学と言っても、先祖のことばかりでなく、未来から現実を透視する原理も含められているのですから。

ミーター 我らのターミナスの星全体もここシンナックスの写しが土台と聞いている。

 そして、...。

ペイリー ミーターさん、そして、何ですか?

ミーター いつからここに?さっきまで浜辺ではしゃいでいたのに!

 そう、そして、・・・、この海は、また宇宙潮流にのって、外銀河に流れて、繋がっているように思える。すべてが終わりのないプロセスのひとこまのように、ね!
 
 全銀河も全宇宙もこんな綺麗で穏やかなラグーンのようであってもらいたいものだ!

イルミナ そうですね、でもミーターさん、なんか、悪い予感がするんです。
 ターミナスは、私たちが、出発した時よりもっと全体主義が深刻になっているのかもしれません。

ミーター イルミナ、実は俺もそう感じているんだ。
 ハニスさんが無事であってほしい。
 イルミナ、残念だが、バカンスはここいらで切り上げて、ファー・スター2世号に戻ろうか。

https://youtu.be/XPwYIEbpW0U

ミーター 「銀河広しと言えどもここは格別だ」。
イルミナ「ミーターさん、ここも素晴らしいですけど、太古の地球にはこれに負けないくらいのラグーンが数えられらいくらいあったんですよ」ペイリー、「ということは、わたしたちはこの宇宙に五万とこれ以上の絶景をこれからつくっていくっていうことですね!」

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