見出し画像

日英バランス型キー配列を考えた

みなさん自作キーボードはやっていますでしょうか。私も日々エンドゲームを目指してカスタムしています。

以前記事にしたcrkbdは現役を退き、最近はもっぱらトラックボールを搭載したkeyball39を常用しています。

ポインティングデバイス搭載・左右分割・40%サイズと、物理的なデバイスとしては私の理想にかなり近いので、最近はより良い論理配列の探求に力を入れております。

余談ですが、keyballシリーズはデスクツアーで有名なYoutubeにも取り上げられて人気がすごいですね。

キー配列 Concordia

して、配列を作った話。こちらです。

この配列はタイトルの通り、日本語ローマ字入力と英文入力のバランスを考えて作成しました。名前を”Concordia”としています。

コンセプトは以下のとおり。

  • ローマ字も英語も無理のない運指で打てる

  • 特に英語の頻出bigramはロールオーバー打鍵(アルペジオ打鍵)できる

  • 小指列の最上行(QWERTYにおけるQP)は左右とも文字を置かない

  • 3行×10列オーソリニア/カラムスタガード向け

実際に使い始めてまだ数日なのですが、狙い通りにローマ字も英語も打ちやすく満足しています。

ベースになった配列

ConcordiaのベースはMTGAPとAstarteです。

MTGAP

MTGAPはプログラムによって機械的に生成された配列とのこと。
実際にしばらく使っていましたが、英語はとても気持ち良く打てる配列です。
KLAで驚異的な高スコアを叩き出す配列ですが、英語に最適化されているためローマ字は苦手です。

Astarte

Astarteは日英両方に最適化と謳われていますが、ローマ字では拗音、英語ではcaやayがちょっと窮屈です。
曲げるより伸ばす動きのほうが取りにくく感じるのは私だけでしょうか。


比較

配列の比較には定番の Keyboard Layout Analyzer を利用しました。

分析用データ

ローマ字は大西氏が公開している、ローマ字約100万字のデータを利用させていただきました。
↓こちらの記事内リンクからDLできます。

英語はProject Gutenbergで公開されている作品から『Anne of Green Gables』『The Great Gatsby』『The Sun Also Rises』『The Time Machine』を利用しました。合計で108万字程度です。
*大西氏の使った『罪と罰』だと、英語に翻訳はされていても固有名詞などであまり使わないbigramが出てきそうなので…

なお分析の際に記号類の配置に影響されないように、どちらもアルファベットと句読点以外の文字を削除しています。

比較対象はベースにした2つの配列と、ローマ字特化の大西配列、そしてQWERTYです。
物理配列の影響をなくすため、すべてErgodoxレイアウトに設定しました。


結果

とりあえず結果ドン。

単純なスコア比較では、狙い通り英語特化とローマ字特化の中間、どちらもほどよく、しかしQWERTYよりは圧倒的に高スコアという結果になりました。
日英でのスコア差が最も小さいのも良いですね。

QWERTYはまあ、参考ということで。


詳細1: 同指異鍵連続(回)

同じ指が連続した回数のデータです。

英語はAstarteで両人差し指とも忙しいのが目立ちますね。
Concordiaでは約1/3に抑えられています。英語特化型のMTGAPから良さを継承していますね。

一方ローマ字では、QWERTY以外は右に子音が集中しているため、右手側はあまり目立った特徴は見られません。
全体的に少なく抑えている大西配列は、さすがローマ字特化配列ですね。
他の左手がどれも忙しそうなのは句読点が左手にある影響ですね。

Concordiaだけは句読点を抜いたデータでもあまり減らなかったので、IUが同列なのとYのせいっぽいです。
あまり不自由を感じないのですが、YはWかZと入れ替えてもいいかも?
ここは課題ですね。

詳細2: 指使用率(%)

MTGAPとConcordiaではNが左にあるので、特にローマ字でその影響が顕著ですね。
Astarteの分布は日英とも綺麗です。

実はConcordiaでは左右バランスはあまり重視していないというか、左手の使用率が上がるのをわざと許容しています。
私のkeyballは右にトラックボールが付いているので、どのような配列でもそもそも右手に負担が偏りやすいからです。

左右のバランスを重視する場合は、Nは右のどこかに置いたほうが良さそうですね。

おわりに

既存配列の改造版とはいえ、自分のキーボードや使い方に合った配列を作ることができてとても満足しています。
ここ数年でさまざまな新配列が出てきて、それぞれに特徴があって調べているだけでとても刺激的でした。

もしConcordia配列を使ってみてやろうという方がいらっしゃいましたら、フィードバックをいただけると嬉しいです!

最後に、Keyboard Layout Analyzer での比較で利用したデータをまとめておきます。気になる方はいろいろな配列やテキストでスコア比較してみてください。

この記事はkeyball39 Concordia配列で書きました。


英文サンプル(アルファベットと句読点のみ)
*ローマ字100万字は大西氏のnoteにあります

KLA用 Concordia / Astarte / 大西配列 の json (Ergodoxレイアウト)

いいなと思ったら応援しよう!