自作キーボードを知らない人からの一番困る質問
「それ、いくらするの?」
沼の住民にとって、これ以上に困る質問は無い、と思う。
値段を聞くということは、もしかしたら自分も買ってみようか、というくらいには興味があるということだろうから、それは嬉しい。そして嬉しいのと同じくらいに困る。
自作キーボードはキットの他に必要な部品や道具が多いので、キットの値段だけを伝えても騙すようになってしまう。
かといって、「キットはこのくらいだけど、その他にこのくらい必要」というのも、無駄にハードルを上げているようで言いづらい。
第一、同じキーボードキットを組み立てたとしても、使うパーツによっては平気で数万円の差が出るわけで、既製品の高級キーボードのようには考えられないのが自作キーボードの世界。
本体だけのコストでさえ幅がありすぎる
私自身は打鍵音やキーキャップにそこまで拘らないので、マイコンを入れてもキット+1万円以内に収まることが多い。
何も知らなかった最初の頃こそ、レビューの数が多いCherryやTealiosを買っていたけれど、最近はもっぱらDurock/JWKやKailhなど、安くても高品質なスイッチを使っているし。
キーキャップに至っては論理配列を変更している都合上、ブランクキットやDSA、XDAなどの比較的安価に入手できるセットしか使えないという事情もある。
故にカッチョいいキーキャップのGBとは無縁のまま。
キーキャップに凝りたい人はキットより高いキーキャップセットなんかもザラにあるから大変だろうなと思う。
道具も含めた「作るためのコスト」も伝えるべきか?
もちろん、キットと部品を買っただけでは自作キーボードは使えない。
組み立てるためには、最低でもはんだとはんだごてが必要になるし、それも100均なんかのものではちゃんと組み立てるのが難しいから、必然的に温度調整つきのそれなりの値段のものを紹介することになる。
欲を言えば、しっかりしたコテ台や作業マット、吸い取り器やフラックスなんかもあったほうがいい。初心者ほどちゃんとした道具を使ったほうが上手くできるというのは、電子工作にも当てはまる。
せっかくだから同好の士を増やしたいけど、案外イニシャルコストがかかるので、それをどう伝えるべきか悩んでしまう。
なにしろ相手はそれらを一度きりしか使わないかもしれないのだし。
元々電子工作をやってる人なら簡単に自作キーボードを勧められるけど、心得のない人には舎の工作室でも紹介すればいいのかな。
会社のデスクで使っているCharybdisを気になっていた人がいたようで、値段のことを聞かれて、そんなことを考えた。
とりあえず彼にはキットの値段(いまは円安のせいで大変なことになっている)を答えたのだけど、それでよかったのだろうか。