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サンクスツアー千秋楽・雑感

浅田真央さんのサンクスツアー千秋楽。無良さんの「鐘」は、本当に素敵でした。サンクスツアーが始まったころ、無良さんが「鐘」を演じられることに、抵抗を覚えた方もいらっしゃいました。

なんといってもオリンピック演技ですし、浅田真央さんの滑る姿を見たい、ということだったのだと思います。でも、浅田真央さんが無良さんに滑ってもらいたい、というお気持ちだったのだから、釈然としなくても、それなりに納得してご覧になっていたご様子でした。

わたしには測りかねますけれど、無良さんへも、そうした声は届いていたと思いますし、浅田真央さんのコピーのような気持ちで、なにかとぎこちないスタートをされていたのかもしれません。

わたしはもちろん、これまでのすべての無良さんの「鐘」を見てきたわけではありません。千秋楽の無良さんの「鐘」しか知りません。ですが、本当に素晴らしい演技でした。あれは、確かに無良さんの「鐘」でした。

同時に、浅田真央さんがオリンピックに初挑戦されるとき、ラフマニノフの鐘は、なんとなく暗くて、浅田真央さんの明るく愛らしく華やかなイメージに合わない、というような声もありました。

でも、サンクスツアー千秋楽の会場に響き渡った「鐘の音」は、言いようのない迫力を持っていて、力強く、勇気が湧いてくるような、魂を揺さぶってくる感動がありました。

もちろん、無良さんの演技に拠るところも当然大きいのですけれども、なんだか時間をさかのぼって、「ああ、この勇壮な曲だからこそ、真央さんは選んだんだ」と、とても納得がいきました。

かつて、浅田真央さんの守り人だった「おっさいさん」が、フィギュアは、きちんと会場で見た方がいい、とおっしゃっていました。これは、本当に、そのとおりです。

スケーターが滑り、銀盤が削られていくときに聞こえてくる、人間の重みと金属の堅さを、氷が耐え忍ぶような「グググググ」という音。ジャンプした瞬間に、日本刀で若草を薙ぎ払ったような「シャッ」という音。銀盤に着氷した瞬間の、暗闇でも男女の差が伝わるような「ゴッ」という響き。

そしてそのひとつひとつの演技に対して、会場を包み込むなんとも言えないヒンヤリとした空気感を忘れさせる、熱のこもった拍手。

そして、前後左右にひしめく観客たちの、生の声や感情。

わたしにとって、フィギュアスケート観戦は初めてのことでした。ですが、真央さんとおっさいさんのお陰で、こんな時期だけど、絶対に行かなくちゃ後悔する! と思って行った甲斐がありました。

浅田真央さん。そして、おっさいさん。フィギュアスケートの素晴らしさを教えてくれて本当にありがとう!!

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