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寅三はつらいよ ~悲しみのラインストーン~

こんにちは。

わたし、刑事ドラマが大好きなんです( *´艸`) そしてフィギュアスケートも大好きなんです(#^^#)

そんなわたしに、テレ東ドラマ「警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~SEASON5」(第3話)で、フィギュアスケーターの安藤美姫さんが登場してくれました! 

「終わったスケーター」という台詞を、安藤美姫さんに言わせる、かなり大胆なオファーを持ちかけたスタッフもすごいですけれど、これを引き受けた安藤さんも素晴らしいです! 

そのためでしょうか。今回は、俳優としては素人の安藤さんを、「みんなで立派な殺人犯にするぞ!」という、ハンパじゃない気合が感じられるものでした( *´艸`)

犯人像としては「悲劇のヒロイン」という典型的なポジションで、視聴者の同情を誘うにはピッタリの役柄です。おまけに、「最初は悪者だと思われていたけど、実はいじめられていたのは安藤さんのほう」という設定。

最初は、何となく視聴者に憎ませておいて、殺人の回想シーンで一気に共感を寄せさせる、という展開も、刑事ドラマでは、使い古されたパターンですけれど、安藤さんに対しては、抜群に効果を発揮していました!

なぜなら、俳優素人の安藤さんが、本当にやむを得ない殺意に駆られて実行してしまった悲劇の殺人犯に、きちんと見えたからです! すごい!!

お相手の「実はいじめっ子の国民的スケーター」を演じた八木さんも、ピカピカな熱演ぶりで、ゴリゴリの「性悪女」になってくれていました。「安藤さんを、立派な殺人犯にするぞ!」という強い意志と愛が感じられる、見事な演技でした(^_-)-☆

安藤さんご本人も、なにか思い入れしやすい記憶があるのか(;^ω^) 自然体で演じられていた部分も多々ありました( ^^) _旦~~

そして何より、松下由樹さんです! ベテラン女優の魂の叫びが、もう最後には「安藤美姫さん本人に対して、松下由樹として言ってますよね?!」という感じで、役なんだかリアルなんだか分からないぐらいになって、最終的には、わたし、松下さんと一緒になって「殺人犯の逢沢」ではなく、リアルな「安藤美姫」に向かって「あなたは終わってない!!」とか、諭しちゃってましたよ(@_@;)!!!

そんな松下さんの迫真の演技が、安藤さんが「連行される」その瞬間まで、安藤さんを「悲劇の殺人者」としてあり続けさせてくれました。今回は冬彦も、ちゃんと脇役になっていて、これもまた良かったです(>_<)

明確な殺意の燃え上がる場面から、踊り場でナイフを持って振り返るまでのシーンでバックにかかっていた音楽。殺意を明確にした瞬間のカット割り。陰影のメリハリがばっちりな照明などなど。

「私は終わったスケーター」なんて、とんでもない台詞を安藤さんに言わせて、果ては殺人犯にさせるという、「あれほどフィギュアスケートの中継で安藤さんの演技を流して視聴率を稼いでたくせに、いまさら、なんてオファーしてるんだ!」というオファーに、快く応えてくれた安藤さんに対して、もう、皆さんが一丸となって「安藤さんを、立派な殺人犯にするぞ!!」と気合の炎がメラメラと燃えていたような、素晴らしい回でした(゚Д゚)ノ!!!

これは「警視庁捜査一課長」で、丸山桂里奈さんとかを適当な「目撃者」に使っているような「一発ギャグ系」の「おふざけスタイル」とは、まったく次元が違いました。やろうと思えば、もっといいゲストにできたはずです。ですけれど、ちゃんと「殺人犯役」に割り当てましたね。

「ゼロ係シリーズ」は、基本的に「ポンコツな捜査一課」が見抜けない犯人を、冬彦だけがしっかりと見抜いて、卓越した頭脳と、無類のKYぶりで、寺田寅三と共に追い詰める、というのが見どころです(*‘ω‘ *)

ですから、トリックは不明だけど「最初から犯人は登場していなければダメなタイプ」のドラマなのです。今回の安藤さんも、最初からじっくりと登場させていました。ポイントなのは、「安藤さんは俳優の素人」ということ。素人だと分かっているのだから、本来は「セリフを噛んだりなど、失敗するリスク」を減らすために、「チョイ役」にしたり「セリフ少なめ」で無難にやり過ごすところなんです(-ω-)/

ところが! 今回は「無茶なオファーを引き受けてくれた」安藤美姫さんに対して、スタッフや俳優たちが、本当にちゃんと向き合って、「きちんと、真面目な刑事ドラマの、しっかりした理由のある殺人犯として、安藤さんを最後まで支えるぞ!」という気合がありました(゚Д゚)ノ!!

ですから、八木さん演じる栞が、ほんっとうに憎ったらしく「あなたわもお終わったの!!!」ぐらいのねちっこい性悪ぶりで、安藤さん演じる莉穂に吐き捨て、それに氷のような殺意を抱く莉穂のシーンから、その次の踊り場で栞を刺し殺すシーンまでは、わたし、SEASON1からゼロ係を観てきて、それ以外にもいろいろな刑事ドラマを見てきましたけれど、「ベスト10」に入る「何度も繰り返して再生したい部分」として残りました\(^o^)/

安藤美姫さんには、これを新境地として、ちょっと落ち着いた感じの悪女として、小沢真珠さんとか、星野真里さんあたりのポジションで、サスペンスや刑事ドラマで、役を争って欲しいと思います( *´艸`)

新たなサスペンス・スター誕生の予感です!! 頑張れ! 安藤美姫!!

というわけで、少しでも多くの方に名場面を味わってもらうため、台本風に文字起こしをしてみました(;^ω^) ありがとう「Tver」!!

【キャスティング】
寺田寅三(松下由樹)
逢沢莉穂(安藤美姫)
増田栞(八木アリサ)
小早川冬彦(小泉孝太郎)

――アリーナ席にて、莉穂を理詰めで追い詰める、冬彦と寅三――

寅三「栞さんは、あなたに以前から嫌がらせを受けていたと話していたそうですが、わたしには、あなたが嫌がらせをするなんて、どうしても思えないんです。本当は、あなたが嫌がらせを受けていたんじゃないですか?」
(莉穂、少し伏し目がちに頷く)
寅三「誰かにそのことを相談しなかったんですか?」
(莉穂、俯きながら、首を横に振る)

[回想:ひもを切断され、エッジを削られたスケート靴を抱く、莉穂]

莉穂「栞の嫌がらせを訴えても、誰も信じてくれない。彼女は国民的アイドル。私は…終わったスケーター。スポンサーも取られ、私の居場所はなくなった」

[回想:無情にも剥がされる、莉穂のCMポスター]

【場面転換:会場内地下フロア】
栞「嫌がらせ……、何のことですか?」
莉穂「ずるして勝って、何の意味があるの。あなたにとってフィギュアって何?!」
栞「青臭いこというなあ。大会で勝っても大した賞金貰えないけど、勝てばCMが来るしスポンサーがつく」
莉穂「そんな理由で勝ちたいの?」
栞「選手生命短いんだし。稼げるだけ稼がないとね?」
莉穂「ふざけないで! あなたに、氷の上に立つ資格はない!!」
栞「でもぉ。世間が求めているのはあなたじゃなくて、わたしなの」
(莉穂、栞を睨む)
栞「あなたは、もぉ、終わったの」
(嘲る栞を、殺意を持って睨む莉穂)

【場面転換:アリーナ席】
莉穂「あの子の、嫌がらせさえなければ……」
(莉穂を見つめる、寅三と冬彦)

【場面転換:階段踊り場】
(踊り場の角で、背中を向けて立つ莉穂。近づく栞)
栞「話って何ですか?」
(莉穂、振り返りざまに氷ナイフを向け、睨みつける)
栞「うそでしょ…」
(莉穂、ナイフを握りしめて栞に突っ込む)
栞「誰か!!」
(莉穂、血まみれのナイフを引き抜く)
栞「どうして……?」
(崩れ落ちる栞。ナイフを持ったまま佇む莉穂)
莉穂「わたしは…まだ終わってない…」

【場面転換:アリーナ席】
莉穂「わたしは、終わってない…」
(莉穂を見つめる、寅三と冬彦)
莉穂「終わってない! 終わってない!! フィギュアは私のすべてなの!! 勝たなきゃ続けられない! あの子の嫌がらせが全部悪い!」
寅三「確かに、嫌がらせはひどいです。でも…」
莉穂「あなたもあの子と同じね。私を終わったと思ってる」
寅三「思ってません! 思うはずありませんよ!!」
(莉穂、寅三を見つめる)
寅三「終わったと思っているのは……本当は……あなた自身じゃないんですか?」
(黙って寅三を見つめる莉穂)
寅三「あなた、リンちゃんに言いましたよね」

[回想:「やめたい」と呟く小学生フィギュアスケーターの川上鈴に、莉穂「氷の上に立つ資格があるのは、フィギュアスケートが、好きな人だけ」]

寅三「フィギュアを愛しているなら、自分の実力で勝たなきゃダメだったんじゃないんですか? 何度失敗しても立ち上がって! ジャンプを成功させたリンちゃんのように!!」

[回想:ジャンプを成功させる鈴を見て、寅三「わー! わー! わー! やった!!!」]

寅三「……あなたは、…………、自分に負けたんです……」
(涙を流す寅三から目を逸らし、自分も涙する莉穂)
冬彦「僕……、事件が解決したのに、こんなにつらそうな寅三先輩、初めて見ました。あなたは自分の周りが敵だらけに見えていたかもしれませんが、あなたのうしろには、寅三先輩や、たくさんのファンがついていたんです」
(莉穂、涙を流す)
寅三「あなたの背中を追いかけて、憧れる後輩はたくさんっ! みんな、あなたのフィギュアを見て、勇気や感動を貰ったんです。終わったなんて思うはずありません!! だって……、あなたはずっと、最高のスケーターだから!」

どうでしたか? 松下さんの、いや、寅さんの魂の叫びでした!

それでは皆さん、明日もお元気で!!!!

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