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下北沢にて

先日、初めて下北沢に行ってきた。ひとりで。

下北沢といえば、古着の町。ファッションに敏感な若者が多く行き交う場所である。そんな噂の通り、実際に駅に着くと、ホームには既に若者たちがたくさんいて、みんなオシャレに装っていた。

個性的で、自分の色を前面に押し出した人もいれば、定番のブランド商品を身に着けている人もいる。どちらが優れているとかではなく、みんな自分の好きなファッションを楽しんでいる、そんな素敵な雰囲気に満ちていた。

僕は最初店には入らず、街を一周してみることにした。始めてくる場所なので、まずは街全体のことを知りたかったからだ。


古着屋、

古着屋、

古着屋、

吉野家、

古着屋。


視界に飛び込む、たくさんの古着屋。想像以上だった。お店ごとに色があり、落ち着いた雰囲気のお店から、ロックな音楽を流す店だったり、淡々と商品を並べるだけの店もあったりした。共通していたのは、どの店もどこも賑わっていて、活気に満ちていたことだ。
古着屋の他にも、洒落たカフェや雑貨屋、庶民的な居酒屋までが軒を連ねていた。


一周したところで、今度は片っ端から古着屋に入ってみることにした。最初は少し緊張していたけど、一度入ればどうてことはない。


(…古着って、案外高いな)


値札を見てビビりながら、味のある服達を眺めた。

ふと考えた。目の前にあるこのシャツを着ていた人は、一体どんな人だったんだろう。どこでこれを買って、どこに出かけていったのだろう。

そういったことを延々と想像するのも、面白かった。特に、僕が普段着ないような服こそ、妄想が膨らむ。

そんなこんなしながら店を回っていると、駅に戻ってくる頃には、すっかり日が暮れていたのだった。





服というのは不思議なもので、最高に気に入った服を着ていると、なんだか妙に自信が出る。
逆にあまりしっくりこない状態で遊びに行くと、ふと鏡に反射する自分の姿を見て、

(なんか違う…)

と思ってしまう。
組み合わせ次第で、その日のテンションを変えてしまうような力がある。

また、服にはヒストリーが潜む。作り手の思いやら、それを着た人の人柄やらが詰まっている。


下北沢駅に着いた時、道行く人々みんなから、自分に対する自信のようなものを感じた。また、そんな人たちが織りなす町全体の空気も、新宿や渋谷といった大都市とはまた違う雰囲気だった。

そこで売られている服、または小物やアクセサリーに秘められた歴史。そういったものもまた、下北沢という地の個性を創り出しているのだろう。


服は、自分を表現する最高の手段の一つなんだと思えるようになった。
下北沢には、自分らしく姿でいたくなる、そんな力がある。


おわり

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