ライブ配信で勉強する男
最近、『イチナナライブ』というものにハマってる。
ツイキャスやニコニコ動画の生配信のように、一般人が歌ったり喋ったりするのを配信して、視聴者とコミュニケーションを図ったり図らなかったりするやつだ。
どこかで聞いたことあるな…という人がいれば、おそらくYouTubeの動画再生前に流れる広告じゃないだろうか。最近ではテレビCMまで放映されるようになったり、その知名度向上に比例して、世間から疎まれまくっているアプリである。
なんでこんなものにハマってるのかと言うと、実はこのイチナナライブが、台湾で開発されたアプリだからだ!
…全くハマる理由になっていないので補足すると、僕は1年ほど前から、趣味で中国語をしている。あり得ない程に成長が遅いが、資格なども少しずつ取ってきた。
しかしながら、独学というものには限界があった。特に生のリスニングやスピーキングに関しては、非常に勉強がしづらい分野だ。今は外国人と話せるアプリも多いが、通話のために時間を合わせたりするのは面倒だし、何より継続的なチャットで仲良くならないといけない。だるい。
どうしたもんか…と思っていた時に出会ったのが、このイチナナライブであった。
そう、もうお気づきの人もいるだろう。台湾製アプリということはつまり、台湾人の配信者が非常に多いのだ!
すなわちそれは、台湾人の生の”ベシャリ”を聞けるということ。しかも嬉しいのは、視聴者は僕だけではない事だ。一対一だと、どうしても会話のネタに困るが、僕が黙ってみている時は、他の視聴者がコメントしてその配信者と会話してくれる。聞きたいことがあればじっくり文章を考えて送信できるし、カスのような中国語力でも、割とコミュニケーションがとれ、リスニングの練習にもなるのである。新時代の勉強方法だ!
僕はそれ以来、適当に台湾人配信者をフォローして、配信を見に行くようになった。
向こうもまさか日本人が来るとは思っていないので、ちょっと挨拶しただけで反応してくれる。頻繁に行くと名前も覚えてくれるようになり、
「ザットンサァーン、コンバンワー!」
なんてたどたどしい日本語で挨拶を返してくれる人もいる。
普通に、ていうかめちゃくちゃ嬉しい。楽しみながら勉強もできるなんて、なんて素晴らしいのだろうか。
まぁ正直言うと、挨拶以降は何言っているか全然分かんないのだけども。
…
イチナナライブ上での(希薄な)関係が出来上がっていく中で、ある日、僕の心の中に歪んだ自己顕示欲が湧き上がってくるのに気が付いた。
(僕も配信してみたい…)
ふと浮かんだ欲望を、必死に掻き消した。「いやいやー!」と、冷静になる。
流石に、配信側に回るのはやりすぎだ。そんな恥ずかしいこと絶対できない。
というか、配信して何を喋ることないだろ。うんうん、僕は見るだけで十分。何より、誰がお前の配信を見に来るんだよ。
そうやって、アプリのホーム画面中央に堂々と配置されてる「配信開始」のボタンから、指を離した。
…はずだったのだが、数週間後、僕は人生初のライブ配信をしていた。
スマホを机に置き、左にはPCで日中辞書を開き、右には単語帳をセットした状態で。
僕は気が付いたのだ。これはチャンスだと。よく考えてみれば、僕のイチナナアカウントのフォロワーは全員台湾人である。つまり、配信しても基本的に台湾人しか来ない。
つまりこれは…スピーキングの練習になる!(あと、外国人相手だと何故か緊張しない)
ということで、僕はライブ配信でスピーキング練習をすることにした。新時代すぎる(2回目)
僕がスピーキングという名の一人語りをしつつ、見に来てくれた台湾人がコメントで応えてくれるという、驚異の学習方法である。
僕はリスニングよりもリーディングの方が圧倒的に得意なので、コメントで間違いを指摘されると、より理解しやすい。
また、台湾人は日本語が上手い人がめちゃくちゃ多いので、最悪日本語で返してくれる。めっちゃ助かる。マジ台湾人大好き。
まぁこれも正直に言うと、僕のスピーキング力が低すぎて、向こうも何言ってるか全然分かってくれないことの方が多く、配信時間の半分は、気味の悪い笑顔を浮かべているだけとなっているのだけど。
つまりは、僕の中国語レベルはどうしようもなく低い。
…
そんな感じで、僕はライブ配信を行う、いわゆるライバーとしての顔も持つようになった。
といっても、月に2~3回、1時間もやれば多い方という超低頻度ではあるのだけど。
でも、ライブ配信というのは、始める前に想像していたよりも随分簡単で、楽しい。
自分のために集まってくれて、わざわざコメントを残してくれるというのは、現実世界ではなかなか味わえない感動がある。それが外国人ともなると、余計感慨深い。
ゲーム配信やカラオケ配信などもできるので、気になった人は気軽にやってみることをオススメしたい。勿論顔出しもなしで配信できるので、ハードルは相当低い。
ちなみに、一度3時間くらい配信したことがあるのだけど、2人しか来なかった。最強ライバーの道は険しいようだ。
おわり
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