職種を超えるコミュニケーションデザイン ~デザインドキュメントを書いてみよう~
この記事は、デザイナー向けの社内勉強会の書き起こしです。
職種を超えた情報共有の難しさ
デザイナーどうしのやりとりでは問題がなくても、別の職域のメンバーとはなかなかうまくいかない。仕事をしていて、そんな経験はありませんか?
同じデザインを見せても、相手によっては真逆の評価になることがあります。この原因のひとつとして、意図や目的といった文脈の共有が行われていないことが挙げられます。文脈の共有なしのフィードバックは、個人の好みによる感想になってしまうのです。
日々違う知識に触れ、違う目標を追って、違う経験をしてきた人間どうしがわかりあうためには、コミュニケーションのデザインが必要です。
デザイナーたちの間で「なんとなくいい/悪い」のようなコミュニケーションに甘んじていれば、もちろん、職種を超えて、そのデザイン価値が伝わっていくことはないでしょう。
コミュニケーションデザインのメリット
コミュニケーションデザインを行い、プロジェクトチームとして文脈を共有した環境をつくることで、デザイナーは、以下のような利益を得られます。
デザイン作業がやりやすくなる
デザイン価値が正しく伝わる
適切なデザイン評価を得る
よりよいデザインのためのイテレーションを回す
まず、制作の背景や意図を知ることで、デザイン作業自体がやりやすくなります。優先順位や打ち出しの方法を考えやすくなるのです。
次に、プロジェクトメンバーに、デザイン価値を十分に伝えられるようになります。デザイン上のトレードオフや制約を伝えることで、課題に基づいた議論が可能になります。
その結果、適切な評価を得ることができるようになります。最終的に、評価に基づいた改善を回し、よりよいデザインに近づいてゆけるようになります。
協働のためにできること
職種を超えたプロジェクトチームでの協働のためには、言語化と明文化が何よりも大切です。まずはチームで、以下のようなことを話し合ってみるのはどうでしょうか。
ユーザーに提供するデザイン価値は何か
そのデザインはどんな課題を解決するか
施策はメンバーが納得できるものか
そして、その共通認識をドキュメントとして残してみましょう。チームとしてドキュメントをともに作り、誰もが見られる・編集できる場所に置き、日々使っていくこと。そうすることで、少しずつお互いの理解が深まっていくはずです。
デザインドキュメントを作ってみよう
コミュニケーションデザインのためにデザイナーが一歩踏み出す方法として、デザインドキュメントを作ってみることもオススメです。デザインの解説を書くのは実際手間です。デザイナーの仕事は文章を書くことではなくデザインを作ることだ、と思う人もいるでしょう。しかし、それを越えるメリットが、確かに存在します。
デザインの意図が簡単に説明できるようになる
途中でチームメンバーが増えた時に、文脈が伝わりやすくなる
見た目の良し悪しの話ではなく、課題解決の話がしやすい
デザインドキュメントで伝えたいこと
デザインゴール
デザイン指標
やったこととその意図
デザインドキュメントの項目例
🔎 調査で得たニーズ:定性・定量調査の概要
🏢 その他課題:ビジネス、開発から出た課題
🗒 仮説:デザインが解決すべき課題は何か
⚖️ 指標:KPI, UX指標
🎨 デザイン案:メリット、デメリット、リスク
⏩ 次のアクション:次にやること
ワーク(30分間)
勉強会の後半で、最近の制作物に関するデザインドキュメントを書いてみるワークを行いました。
感想
最近参加したセミナーで、Goodpatch ではデザイン成果物として、膨大な量のデザインドキュメントも納品している、というのを聞きました。デザイン文化を支えるドキュメント、いいなあと思ってこのような勉強会を企画しました。内容は以下リンクの記事を参照しています。