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『対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解消のための対話の心得』を読みました

最近仕事でUXリサーチのためのユーザインタビューをはじめました。またデザイン系の業務をやっていると、社内案件でも依頼人のやりたいことや困っていることをヒアリングする必要があります。デザインでもっていったい何の課題を解決したら満足してもらえるのか。ヒアリングからの課題発見スキルを身につけなければなと思う日々です。

傾聴テクニック的な方法も色々あると思うのですが、もう少し本質っぽい理論とか思想のところの本を一冊読んでおけばいろんなところで応用効くかなと期待しています。こちらのnoteで良書と紹介されていたので『対話のことば』をポチりました。

この本のもとになっているのは、問題を解消するための対話方法として精神医療の場面で利用されている「オープンダイアローグ」というものです。これを日常的な対話や思考に取り入れていくための心得がまとめられています。具体的なマニュアルとかテクニックではなく、行動のための指針が少しだけ抽象的に示されています。この抽象具合がめちゃくちゃちょうどいいです。

対話の考え方の大カテゴリ3つ

特に仕事で使っていけそうなのは1つ目の「体験している世界」カテゴリかなと思います。3つ目の対話のみによって解決をめざすところなんかはデザイン制作的にはあまりあたらなそうなので、、とはいえマネジメント系の対話には使えそうです。

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1. 体験している世界
相手から聴いた話を、自分の捉え方や常識に当てはめて理解すると、その人が意味しているところを理解することにはなりません。その人がどのように物事を捉え、どのような「世界」に生きているのかを、対話を通じて理解していきます。

2. 多様な声
ひとりの人から話を聴いているだけでは、問題の状況や経緯がどのようなものなのかを捉えることは難しく、問題を解消するに至ることができません。

3. 新たな理解
起こっている自体に対して対応策を講じたとしても、問題が生じる要因に踏み込んでいないと、問題が再発してしまう恐れがあります。そこで、問題やその状況について、共有し得る新しい理解が得られるまで、さまざまな視点を踏まえて対話を重ねていきます。

デザイナーとして使っていきたい対話の心得3つ

使っていきたい考え方はたくさんあるのですが、欲張ると対話自体への注意が削がれてしまうということで、3つピックアップしました。

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No.6 そのままの言葉
相手が発した言葉を、専門的な言葉や自分の慣れている言葉に言い換えてしまうと、違う意味が加わり、相手が語ろうとしていることから話がずれていってしまいます。相手が用いている表現には、その人なりの意味合いが込められています。その人が体験している世界を理解するために、印象的な言葉はそのまま繰り返したり、自分の発言の中でその言葉を使ったりして、相手の言い方を大切にします。

No.10 内側から捉える
語られたことを、自分の視点から捉えているだけでは、それが相手にとってどのような意味を持ち、どのような感情を生むものなのかを実感することはできません。その人の「世界」に没入して出来事を追体験することで、いま捉えている問題がその分脈の中でいかに生じてきたのかを理解することができます。

No.21 リフレクティング・トーク
対話の場を開いたメンバー同士で、ここまで話されたことについて感じたことを話し合います。それを聴いた本人たちは、自分たちの体験や語りについて他の人がどう捉えているのかを目の当たりにし、気づきを得ることができます。
こちらのnoteで紹介されていた対話フレームをデザインチームで試してみた時にも、自分の話したことを客観的に振り返ってクールダウンの時間を取るのはかなり有効だという感想が出ました。

おわりに

全然内容とは関係ないんですけど、この本のあとがきでドストエフスキーのポリフォニーについて触れられていたのでずっと積んでた本崩しました。ロシア文学長くてだるいのでちょっと読んでは放置しがちなんですけど、こうして何かきっかけあると環境が整うものですね。こういう出会いのために色々読んだり積んだりしてるんだと思います。

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