タバコが吸いたいときに限ってライターがないときのような
欲しい時、必要な時にほど何故か近くにない。どこにもない。そんなこと、そんな時ありませんか?
「いつまでもあると思うな親と金」という言葉があるように、いつかはなくなってしまうような物事がこの世にはたくさんあります。
そして大抵のことはもうどうしようもなくなり後悔してしまう。人生とはそんなものなのです。
何が言いたいかというと、僕は今サンダルが欲しいということです。
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札幌に越してきておよそ10日くらい。やっと荷解きが終わり、段ボールも処分できた。物の配置は完ぺきではないかもしれないが、おおよそこのレイアウトで問題はなさそう。
パソコンの配線もできたし、配信できる環境も整った。自分としてもスムーズに物事が進めることができたことでうはうはしている。
だが、新生活はなんだかんだで物を買うことが多い。
気が付けばあれがないこれがないと必要なものが出てくるし、あれがあればこれがあればと欲しいものも出てくる。
そんな時によっこらしょと街に出向きドン・キホーテなんかに買い物に行くのだが、ここで問題が発生する。
我が家にはサンダルがないのだ。
素足でサッと履いてそのまま外に飛び出していけるような履物
がない。これがかなり不便なのである。
東京から引っ越すタイミングでかなりのものを断捨離した都合で、我が家のシューズボックスには必要な数と特にお気に入りの靴しかない。
以前はビルケンシュトックのボストンというサンダルを好んで履いていた。おすすめなので是非履いてみてください。
札幌はもうすぐ雪も降り始めるのでサンダルの出番がなくなると思いこちらも手放した。
それが失敗であった。マジで外に出るのがめんどくさい。
ちょっと外のゴミ捨て場にいくのにも革靴とか履かなくてはいけない。
わざわざ靴下を履いて靴ひもを結ばなくてはいけない。
コンビニに行くだけなのに足元だけおしゃれになってしまう。
ストレス。
そんなちょっとしたことで日々の生活に違和感を抱かせるなど言語道断。
僕はサンダルを買いに街へ繰り出した。
靴屋に入る。ぐるぐると回る。お、この靴いいな。あら?エアフォース1ってこんなに高くなったんだ。などとショッピング脳を刺激しながら店を回るのだが、どこにも無いのだ。サンダルが。
めちゃくちゃに良いものを買うつもりはないのだが、どうでもよいものを買うつもりもない。
最近は自分が気に入ったものしか身に着けたくない症候群に陥っており、すこしでも気に食わないと捨てたりするくらいまできている。おかげでクローゼットはすっきりした。
そんなことはどうでもよい。僕にはサンダルが必要なのである。
無印良品に向かう。お値段の割には良質な商品が並ぶのでとても重宝している。MUJI Laboというシリーズは毎シーズンなにかしらのアイテムを身に着けている。おすすめです。
そんな無印良品にもサンダルがない。もはやこの世にはサンダルというものが消滅してしまったのではないだろうか。そう思わざるを得ないくらいだ。
あぁ、なぜ僕はあの時サンダルたちを手放してしまったのだろうか。無くなって初めて気が付く。そんな経験は何度もしてきたはずなのに。人は過ちを繰り返す。
タバコを吸いたいときにライターがない。そんな時人間はどうしても吸いたくなる。吸わないといけないと思うようになり一種の狂乱状態になる。
必要な時に必要なものがないというのは人間を狂わせる。欲求に抗うことはできないのだ。
サンダル。お前はどこにいる。お前が必要なのだ。早く戻ってきておくれ。
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そして今日もまた不便な気持ちでゴミ捨て場に行く。着心地が良いだけのスウエットと、若干季節外れのハーフパンツ。
そして足元には革靴。