ひとりでネタをやる
ひとりでネタをやりました。
果たしてネタと呼べるのかは不明ですが、楽しかったという感情が巻き起こりました。
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コンビを解散し、札幌に活動拠点を移した今、MCを中心に色々とやらせていただいています。
ですが、芸人と名乗るのであればやはり「ネタ」というものは切っても切れないもの。
「ネタもやらない癖に偉そうなこと言ってんじゃねーよ」
なんて乱暴なことを言われることは決して無いのですが、やはり思います。
こんな僕でもたまに後輩から「ネタについてアドバイスをください」なんて言ってもらえることがあります。もちろん足りない頭でその時に言えることをお伝えするのですが、僕の頭の片隅には「俺ネタやってないしな」がこびりつきます。そして相手もきっと「でもこの人ネタやってないしな」が浮かぶはず。
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芸歴が15年目?となりました。その中で、ひとりでネタをやったことは片手で数えるくらいのものです。
R-1ぐらんぷりに出場する為とか、はるか昔養成所に入る前にオーディションライブでやったりしたくらい。まともに頭を駆け巡らせて作ったネタがウケなかったり、半ばふざけてやったものがR-1で2回戦に進んだりなどありました。
ひとりでネタをやるなんて怖くて仕方がありません。臆病者です。僕は。
ですが、色々な方に言われます。「ネタはやった方がいい」と。ピン芸人としてバリバリネタをやっていくという考えではなくて良く、すべってもいい。「きちんとネタも考えてやる人なんだ」という認識にならなくては全てのことに説得力が無くなるからと。確かにその通り。
でもね、ひとりでやるネタなんてほとんど作ったことが無いのです。じゃあ作ってみたらいいじゃない。ということで作りました。
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毎週水曜16時からモユクサッポロという商業施設の1Fで、札幌よしもとのお笑いライブが開催されています。
週替わりで芸人が2~3組登場してやんややんやとやるのですが、先日はさまざまな要因で1組のみ登場という日がありました。
ざっくりですが、このイベント自体は30分ほどを予定しております。僕がMCとして登場してわーっと喋ったとしても、まぁまぁな負担になります。
これは由々しき事態だとなり、僕は人生で初めてスケッチブックを買い、フリップネタを作る事にしました。
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労働から帰宅。テーブルの上にはスケッチブックと黒のペン。初めてのフリップ製作。なんとなく今まで観てきたものを思い返しながら、なんとなくこんな感じかと描き始める。
今回は「お酒あるある」というものをやることにした。
自分もお酒が好きで、それにまつわることであれば共感してくれる人もいるだろうと考えた結果である。
作り始めてすぐに「これは大変だ」と悟った。
まず、フリップに書く文字は、「大きくかつ見やすいもの」にしなくてはいけない。その為の文字を形成するのに時間がかかることかかること。文字を型取りそれを塗りつぶす。最初のページを完成させるだけで20分はかかったのではないだろうか。僕はひとりでふふふと笑っていた。
そんなこんなで書き終えたのが夜中の3時。これを明日の出番に持っていく。
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お笑いライブ当日。生憎の天気。
野外でのイベントは天候に左右される事が多くあります。今回は条件としてはなかなか厳しいものになりそうでした。
家を出る前に自分で撮影してネタの練習をしました。ザーッと頭の中に組み立てたものをやってみると気付くこともあるが、まぁ悪くないだろうという結果に。
会場に向かいいざ本番。
「いつもMCで進行ばかりですが、今回は私もネタをやらせていただきます」
とマイクスタンドを立てフリップを持ち出しネタを始めた。
するとどうでしょう。家でやっていたものが上手くできないのです。
「あーあのセリフ言うの忘れたな」
「あ、ここでこれやるんだった」
「なんだかテンポ悪いなぁ」
なんて思いながらやっていました。これがとても不思議な感覚でした。
今までどんなこともなんとなくやれていたのですが、1人でネタをやるということに関してはどうにも上手くできなかったのです。これは何故か。「圧倒的な経験の少なさ」によるものです。
でも同時に「ネタを作って披露する」という楽しさを思い出しました。
僕の頭の中でニヤニヤしてるものを形にして提供して楽しんでもらう。お笑い芸人の原点の気持ちを取り戻すことができた気がします。それだけで大きな収穫。それに一緒だったスキンヘッドカメラのシモさんが2~3個笑ってくれてたので更に良しとします。
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そんなこんなでまたひとりでネタをやる機会がありましたらどうぞ楽しんでください。まだ赤ちゃんなので上手くできないかもしれませんが、赤ちゃんはバブーとか言っただけでみんな笑ってくれます。なので笑ってください。
ここで今回のネタ「お酒あるある」のお気に入りをご紹介します。
・日本酒の味はよくわからない
・ゲロを吐いている人を見るのがたまらなくおもしろい
・度数の高い缶チューハイが大量に捨てられているのを見ると戦慄が走る
以上、なまらあつしでした。どうもありがとうございましたー(下げ囃子ジャージャージャー)