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はじめてのお年玉

僕には姪っ子が居ます。38歳にして初めて会いました。そして初めてお年玉をあげました。

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昨年、札幌に戻ってきたことにより正月に実家を訪問することが可能になりました。思い返せばおよそ20年ぶりに正月を実家で過ごしたことになります。

その間、兄に子供が産まれていました。俗に言う姪っ子です。その子には今まで一度たりとも会ったことはありませんでした。
たまに帰省した時に親から話は聞いていましたが、正直顔もピンときていません。

ですがこれは致し方がないことなのです。
我々のような職種、生き方をしている者は世間が集まる時や休みの時に馬車馬に働くものなのです。例に漏れず僕もそのひとり。帰れる訳がないのです。
なので姪っ子の存在は知れど、遭遇することはありませんでした。

逆を言えば姪っ子側もそうです。

「ワタシには見たことも聞いたことない叔父さんが居る。そしてその人はどうやらお笑い芸人らしい。知らんけど」

きっとそう思っているはず。あまりにも未知との遭遇過ぎる。

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元旦。雪は降り積もるが突き抜けるような青空。新年を迎えるのには非常に気持ちが良い。ザクザクと歩みを進め実家に向かう。

無事に到着しガラガラと玄関を開ける。新年の挨拶と共に飛び込んできたのは2人の姪っ子。上の子はもう中学生なんだそう。しかも背が高い。僕とほぼ同じ身長だった。
僕の第一声は「でっか」だった。もっと気の利いた挨拶すればよかったな。

下の子はまだ7歳。いきなり現れた変なおじさんに興味はあるが照れて距離を取っていました。距離を取られるのはバイト先の女子大生だけでいいのに。

兎にも角にも未知との初遭遇は果たした。

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正月の食卓というものはとても豪勢。普段ろくなものを食べていないのでお腹がびっくりして何回もトイレに行っています。こんな朝っぱらからお酒を飲んでも許されるのですから。毎日正月であれ。

だが小さい子供たちには退屈な時間でもある。
僕も小さい頃は「早よお年玉よこせ」と思いながら餅を食べていた記憶がある。

そして母親が徐ろに立ち上がって奥からポチ袋を持ってきた。とうとう来た。お年玉タイム。
父母から受け取った姪っ子達はニコニコでありがとうと言っていた。

そして母親から「あんたも持ってきたんでしょ?出しなさい」とカツアゲかのように言われた。よっこらしょと立ち上がり僕は用意してたポチ袋をふたつ取り出して渡した。

姪っ子たちはイオンで福袋を買いたいらしい。このお金でおじさんにもお土産買ってきてねと言ったら嫌だと言われた。その代わりにグミをひと粒もらった。何よりも美味しかった。

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おねぇちゃんの方とLINEの交換をした。

「お年玉ありがとうございます。今度ライブに行きたいです」

おじさん頑張るよ。


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